闘いの後に
気づくと、あれだけいた魔獣が消えていた。
あの黒い靄が生み出していたんだろうか。
・・・というか。
『うぅ・・・。ひっく・・・』
「・・・・」
「・・・」
「・・・・」
「・・・・・」
なんかすっごく気まずいんだけど。
そりゃあ、さっきまで正気じゃなかったとはいえ殺しあってましたし?
泣いてるし?
男性陣から、お前行けよという擦り付け合いみたいな空気が出てるね。
こそこそ肘をつつきあってるし。何やってるの、本当に。
『あの・・・』
は、話しかけられたー!!
きっと今、皆の心の声はそろっただろうね。
「な、なんですか?」
『その、あの・・・。ご、ごめんなさい』
「え?」
『あう・・・。私、あなたたちにとっても酷いことをしました。許してもらえるとは思っていません。でも、謝りたくて』
「どうして、謝るんですか?そんなの気にしてないですよ」
『え?』
「だって聖霊様は悪くないでしょう?何があったのか、正確には私にも分かりませんが聖霊様は愛する人を殺され、そして狂わされてしまうほどの出来事があったんですから。聖霊様のせいではないですよ」
『でも、私。魔獣を!罪のない人を!』
「なら、それは私に謝ることじゃないです」
『そうよね。・・・困らせてごめんなさいね』
罪のない人を殺したことをあなたのせいじゃないと言い切ることはできない。
例え、正気じゃなかったとはいえ人を殺めるのは私が許すことじゃない。
「聖霊様・・・」
『ありがとう。本当に、ありがとう。私に立ち向かってくれて。カーネーションを、あの子の気持ちを届けてくれてありがとう』
「・・・」
『これは、私からあなたたちへの感謝の気持ち。あなたたちが私たちにしてくれたことに比べたら少なすぎるものだけれど』
聖霊様の手から光が四つ出て、私たちの手に収まる。
どうやら、インベントリの中に入ったようだ。
「あの、お礼は別に・・・」
『受け取って?私の気持ちを無駄にしないで?』
「・・・」
そう言われたら、受け取るしかない。
『ありがとう。・・・私はこれから、女神様たちに報告に行きます。たくさん、迷惑をかけてしまいました』
「・・・女神様たちは、心配なさっていましたよ」
『そう、ですか』
聖霊様の姿がどんどん薄くなっていく。
別れの時間が近づいてるようだ。
『そろそろ行かなくていけませんね。あまり、女神様たちを待たせられませんから』
「はい」
『こちらに戻ってきたとき、何かあったら頼ってくださいね』
「分かりました」
『ふふふ、素直な返事ですね』
断ったほうが良かったかな?
『断らなくて大丈夫です。・・・では、また』
「はい、また」
そういって、聖霊様は目の前から消えた。
≪ワールドクエスト「始まりの街防衛戦」を終了します。結果は後ほど公開されます≫
疲れた~。
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。




