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Eternal World Online ~のんびりVRMMO日誌~   作者: はらみ
第一章 「カーネーションをあなたに」
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聖霊様との闘い 5

やっぱり戦闘シーンは苦手です。



黒い靄が私を貫こうと襲い掛かる。

よけることも魔法で防御することもかなわなくて、目をつぶった。




「・・・?」



全然、体に衝撃が来ない。

目を開けると、光の壁に黒い靄が止められていた。



『・・・え?』



光の壁を作ったのは、女神様からもらったあの鍵―女神の寵愛の証―だった。

どうして、これが私を守ってくれたの?

呆然として見ていたら、鍵に罅が入っていきパリンとガラスが割れるように壊れて消えた。

ひとかけらの破片も残さずに。

聖霊様からあふれる靄が消え、動きが止まった。




『う・・あ・・・?』



今なら、声が届くかもしれない。



「聖霊様、どうか聞いてください」

『・・・・』

「皇子様は、殺されてなんかいませんでした。あの時、皇子様は殺されかけましたが生き延びていたんです。皇子様が知らせを聞いて戻ってきたときには、帝国は滅び、聖霊様は狂わされ封印された後だったんです。その後、皇子様は聖霊様が封印された森の近くに家を建てて、死ぬその時までそこで過ごしたんです」

『・・・・・・・・』

「皇子様は、聖霊様を忘れたことはなかったそうです。ずっと、ずっと聖霊様を想っていました。その気持ちは皇子様が死んだ今も消えてません!」



聖霊様は無言のままだった。

まだ、聖霊様を動かすには足りないんだ。

何か・・・




「皇子様は、自分が死んだあとに聖霊様の封印が解けた時のためにメッセージを街に残していたんだ」


この声は・・・。



「皇子様はメッセージを見つけた人たちに、手紙を残していた。聖霊様への言葉もそこに記されていたよ」

「ガンテツさん、ハナミズキ・・・」

「チェリー、大丈夫かい?」

「ヴァイスさん・・・。遅いですよぉ」



ほっとして涙が出てくる。

皆が慌ててる。だけど、そんなことかまってられないからスルーします。

私にはやることがあるんだから。



「聖霊様」

『・・・・』

「このカーネーションをあなたに」



私はインベントリからモイラさんからもらったカーネーションを取り出した。

聖霊様が目を瞠る。



「これは、皇子様が聖霊様にと」

『・・・っ・・・!』

「『私は幸せだったと。少しの間だったがあなたと過ごせてとても幸せだった』」

『・・・あ・・・うぁ・・・』

「皇子様からの手紙にはそう記されてました」




震える聖霊様の手が私の持つカーネーションへと伸びる。

その手がカーネーションに触れたとたん、カーネーションから光があふれる。

あたたかくて、泣きたくなるほどやさしい光だった。




『フレーベル・・・』



光に手を伸ばし、聖霊様はつぶやく。

聖霊様の体からは、黒い靄でできた鎧は跡形もなく消えていた。

真っ白い服を着た聖霊様がそこにはいた。



『フレーベル・・・。・・・っ。うぅ・・・。うああああああ」


聖霊様の泣き声が森の中に響き渡る。

その手にカーネーションを握りしめて。

読んでいただきありがとうございます。

これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。

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