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Eternal World Online ~のんびりVRMMO日誌~   作者: はらみ
第一章 「カーネーションをあなたに」
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聖霊様との闘い 4

お久しぶりです。はらみです。

なかなか投稿できなくてすみません。


・・・それぞれが自分の敵と対峙する。

私の目の前には、黒い靄の鎧を身にまとった聖霊様がいる。



「聖霊様・・・」

『返して!返して!』



私の声は聖霊様には届かない。

聖霊様の叫びとともに黒い靄が伸びてきて、私を貫こうとする。

私はそれに必死によける。反射神経いいほうではないから、結構かすってる。

少しHPが減っては、スキルによって回復する。

・・・その繰り返しだ。



『どうして?あの子は何も悪いことをしていないのに!』



聖霊様の叫びが森の中に響く。

哀しくて、狂おしくて、泣きたくなるような声。

もう、これ以上聞きたくないと心が叫んでいるような気持ちになる。

だけど。



「聖霊様!」



私は伝えないといけない。

皇子様のことを。皇子様の気持ちを。



「聖霊様、どうか聞いてください」

『どうしてどうしてどうしてどうしてどうして。あの子が死なないといけなかったの?私は私は私は私は私は私は』

「皇子様は殺されてなんかいませんでした。殺されかけたけど生き延びたんです」

『あの子はずっとずっとずっとずっと虐げられてきて、やっと逃れられたのに。これからいぱいいっぱい幸せになるはずだったのに!」

「皇子様が知らせを聞いて戻ってきたときにはもう、帝国は滅んでしまっていたんです」

『返して返して返して、あの子を返してよ!!』

「皇子様は、聖霊様が狂わされて封印されたと聞いて、封印の森の近くに家を建てて死ぬまでそこで過ごしたんです。聖霊様のそばにずっといるために!」

『どうして!私のあの子を奪ったの!!いやああああ!!!』

「うあっ!」




聖霊様の一際大きな叫びとともに、黒い靄に体が吹き飛ばされる。

そして、大きな木に叩きつけられた。



「・・・っ!」



痛い。体じゃなくて、心が痛い。

泣きたくなる。嘘。もう泣いてるんだ。涙が止まらない。




『返して!返して!私のあの子を返して!大切なあの子を!』



届かない。私の声は届かない。

分かってた。本当は、最初から分かってた。

聖霊様に、私の声なんて届かないって。

女神様たちの声すら届かなかったのに、聖霊様となんの関係もない私の声なんてもっと届かないって。

だけど、「大丈夫だ。私の声は届く」って必死に言い聞かせて。

ハナミズキを、みんなを巻き込んで。

もう、取り返しがつかないところまできて。

皇子様からの手紙を読んで、もっと不安になる心を必死に隠した。

罰が下ったんだ。私が自分の心を騙したことへの。




「ふっ・・・くっ・・・」




泣いたってもう遅い。後悔したってもう遅い。

ハナミズキにみんなに慰められたあの時も、本当は不安だった。

だって仕方ないじゃん。慰められて、まだ泣いていたらなんか嫌なやつになっちゃう。

みんなに嘘ついたからこうして今、その付けが回ってきてるんだ。

私は駄目だったんだ。皇子様のこともなにもかも聖霊様に伝えられないまま終わるんだ。

街の人を守れないまま終わるんだ。

聖霊様は一歩一歩私に近づいてくる。黒い靄はあふれ続ける。

ああ、私。聖霊様に殺されちゃうんだ。ごめんなさい、女神様。皇子様。

私、何もできませんでした。



『あの子をあの子をあの子をあの子をあの子があの子がなんで』



怖い。殺されたら、きっとこの不安から解放されるのかな。

この気持ちはなくなるのかな。

でも、でも、でも!本当は諦めたくない。諦めてたまるか。

約束を守れないまま、終わるなんて。そんなのは嫌だ!



『私のかわいい子を返してよぉ!』



黒い靄が私を貫こうとする・・・。

はやく魔法で防御をしないと!

私が魔法を展開するより、黒い靄のほうが速い。

どうしよう、間に合わない!

読んでいただきありがとうございます。

これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。


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