聖霊様との闘い 4
お久しぶりです。はらみです。
なかなか投稿できなくてすみません。
・・・それぞれが自分の敵と対峙する。
私の目の前には、黒い靄の鎧を身にまとった聖霊様がいる。
「聖霊様・・・」
『返して!返して!』
私の声は聖霊様には届かない。
聖霊様の叫びとともに黒い靄が伸びてきて、私を貫こうとする。
私はそれに必死によける。反射神経いいほうではないから、結構かすってる。
少しHPが減っては、スキルによって回復する。
・・・その繰り返しだ。
『どうして?あの子は何も悪いことをしていないのに!』
聖霊様の叫びが森の中に響く。
哀しくて、狂おしくて、泣きたくなるような声。
もう、これ以上聞きたくないと心が叫んでいるような気持ちになる。
だけど。
「聖霊様!」
私は伝えないといけない。
皇子様のことを。皇子様の気持ちを。
「聖霊様、どうか聞いてください」
『どうしてどうしてどうしてどうしてどうして。あの子が死なないといけなかったの?私は私は私は私は私は私は』
「皇子様は殺されてなんかいませんでした。殺されかけたけど生き延びたんです」
『あの子はずっとずっとずっとずっと虐げられてきて、やっと逃れられたのに。これからいぱいいっぱい幸せになるはずだったのに!」
「皇子様が知らせを聞いて戻ってきたときにはもう、帝国は滅んでしまっていたんです」
『返して返して返して、あの子を返してよ!!』
「皇子様は、聖霊様が狂わされて封印されたと聞いて、封印の森の近くに家を建てて死ぬまでそこで過ごしたんです。聖霊様のそばにずっといるために!」
『どうして!私のあの子を奪ったの!!いやああああ!!!』
「うあっ!」
聖霊様の一際大きな叫びとともに、黒い靄に体が吹き飛ばされる。
そして、大きな木に叩きつけられた。
「・・・っ!」
痛い。体じゃなくて、心が痛い。
泣きたくなる。嘘。もう泣いてるんだ。涙が止まらない。
『返して!返して!私のあの子を返して!大切なあの子を!』
届かない。私の声は届かない。
分かってた。本当は、最初から分かってた。
聖霊様に、私の声なんて届かないって。
女神様たちの声すら届かなかったのに、聖霊様となんの関係もない私の声なんてもっと届かないって。
だけど、「大丈夫だ。私の声は届く」って必死に言い聞かせて。
ハナミズキを、みんなを巻き込んで。
もう、取り返しがつかないところまできて。
皇子様からの手紙を読んで、もっと不安になる心を必死に隠した。
罰が下ったんだ。私が自分の心を騙したことへの。
「ふっ・・・くっ・・・」
泣いたってもう遅い。後悔したってもう遅い。
ハナミズキにみんなに慰められたあの時も、本当は不安だった。
だって仕方ないじゃん。慰められて、まだ泣いていたらなんか嫌なやつになっちゃう。
みんなに嘘ついたからこうして今、その付けが回ってきてるんだ。
私は駄目だったんだ。皇子様のこともなにもかも聖霊様に伝えられないまま終わるんだ。
街の人を守れないまま終わるんだ。
聖霊様は一歩一歩私に近づいてくる。黒い靄はあふれ続ける。
ああ、私。聖霊様に殺されちゃうんだ。ごめんなさい、女神様。皇子様。
私、何もできませんでした。
『あの子をあの子をあの子をあの子をあの子があの子がなんで』
怖い。殺されたら、きっとこの不安から解放されるのかな。
この気持ちはなくなるのかな。
でも、でも、でも!本当は諦めたくない。諦めてたまるか。
約束を守れないまま、終わるなんて。そんなのは嫌だ!
『私のかわいい子を返してよぉ!』
黒い靄が私を貫こうとする・・・。
はやく魔法で防御をしないと!
私が魔法を展開するより、黒い靄のほうが速い。
どうしよう、間に合わない!
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。




