封印の森
「それにしても、どんどん奥に入るな」
ガンテツさんの言うとおり、私たちはまだ鍵に先導されて森の中を歩いていた。
かなりの距離を歩いた気がする。森は奥に入るにつれて、どんどん暗くなる。
うーん、不気味だね。暗いから光魔法の【魔法カスタマイズ】で光源を作ってみる。
何気に【魔法カスタマイズ】を初使用。光源だけなら、そこまでMPを取らなかった。
攻撃を強くしたら、その分MPを取られていくみたい。
ちなみに、名称は自由に変更できるので【ライト】として登録した。
痛い名前はあとで困るのでつけません。まあ、これってただの光源だしね。
「あれだけいた魔獣が一匹もいないんだけど・・・」
「気味が悪いね」
いくら【ライト】で明るくしても気味が悪いものは悪いんだよね。
よくある、何かの鳴き声がしそうな森、みたいな感じ。
ああ・・・、こういうのって苦手。
「あれ、鍵が止まったよ?」
「本当だ」
私たちを先導してきた鍵が急に止まって、くるくると回り出す。
淡い輝きがどんどん強くなっていく。
そして、私たちの周りをぐるりと一周する。
おお?これはどうなるの??
「ぎゃ!!」
「眩しい!」
「目がぁああ!!!!」
阿鼻叫喚ですね。
鍵の光が直視できないくらいに強くなったからね。
一瞬前まで見れるくらいの光の強さだったのに、急にすっごく眩しくなった。
ちかちかするってレベルじゃないんだよ。
目を開けてるのに、あんまり見えない・・・。
あ、これ状態異常だ・・・。表示出てた。
「【キュア】」
「あ、見えるようになったな」
「これって状態異常だったんだ」
「ありがとう!」
周りは森。
だけど、さっきまでいた場所と少し違う。
木が密集していない、開けた場所。空が見えるのに、薄暗い。
なんだか不気味で、ちょっとだけ怖い。
「これって・・・?」
一番の違いは、目の前にある建物。
街にあった教会より小さい白い建物。たくさんの蔦が絡まっている上に、手入れがされてないからかとてもボロボロだ。
そして、そこからとても嫌な気配を感じる。
―――ここが、封印の森か・・・。
「黒い靄みたいなのが出てるね」
「・・・聖霊様の力かも。触れないように気を付けてね」
「了解」
「・・・中に入ってみようか」
「おう」
とても緊張する。心臓がバクバクして飛び出そう。・・・深く息を吸って深呼吸。
私は、一人じゃない。仲間がいる。何かあったら頼れる仲間。
私一人だけで背負わずにみんなで力を合わせる。一番難しいけど、頑張ろう。
聖霊様を助けたいからね。
一人だけなら、難しくてもみんなで力を合わせれば百倍くらい簡単になるはず。可能性が増えるものね。
「開けるぞ」
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。
最後の独白、一瞬の間に行われてます。
漫画やアニメとかでよくあるやつですね。