警備隊
「いいから売れって言ってんだろ!」
「無理だ」
そんな押し問答が繰り広げられる。あの人はどうして分からないんだろうか。
自分が言っていることが、自分勝手なわがままだってことに。
まあ、ゲームだからって思ってるからだろうけど。
MMOとは違って、VRMMOは人と人との関わりが大事だものね。
そのことに気づいていないだけかな。
「おい、何をしている!」
騒いでいる男の人を見ながら、考え事をしていると大きな声が耳に届いた。
誰だろう?この状況を解決してくれる人だろうか。
そろそろ、ギルドに行きたいね。ずっとギルドの前で騒いでるから、入れないんだよね。
「おう!遅かったな」
「遅かったな、じゃねーよ。騒ぎを起こすんじゃねぇ」
「悪かったって。・・・こいつが騒ぐからよ」
「まぁったく、お前は何歳になっても変わんねぇな。・・・で、何で騒いでたんだ?」
「こいつらが、ポーションを買いまくってポーション不足だってのにポーション出せってうるさいんだ。材料がないから、緊急依頼を出したってのに誰もやりゃしない。住民たちのポーションが優先されるから、お前らにポーションはもう売れないって言ったら騒ぐ。・・・困った坊ちゃんたちだ」
ふふ、坊ちゃんかぁ。言いえて妙かも。
私たちはこの世界において世間知らずだものね。
まるで、どこかのお坊ちゃんみたいだね。
ナイスな例えだよ、アルさん。
・・・で、あの人誰?未だに分からないよ。
「ああ!?坊ちゃんだと!?」
「だってそうだろ」
「俺はそんなんじゃねぇ」
「いい大人は、こんなところで騒いだりしないぞ?」
「お前がポーション売らないとか、意味不明なことを言うからだろ!」
いつまで続くのこれ。
いい加減にしてほしいなぁ。
「お前ら、いい加減に黙れ!」
「なんだよ、おっさん!」
「町の人に迷惑だ。この辺りの人から苦情が入っている。詰所まで同行願おうか」
「詰所?なんだよ、それ?」
「ああ、君たちは知らないか。この街の警備隊のジェンだ」
「警備隊?」
「街で悪さをする奴らを捕らえるんだ。・・・君たちの世界には、そういう組織が存在しないのかい?」
ああ、嫌味だ。あの人はすごい嫌味を言っている。
警備隊はすなわち、私たちの世界でいう警察の事だ。
発展した国なら当然ある、治安維持のための組織。
それがないような所から来たの?なら仕方ないね。
でも、ある国から来たんだったら自分がやらかしたことを考えてみなよ。
というようなことをあの人は言っているようなものだ。
・・・あの人、警備隊だったんだ。
アルさんと、話し出すからただのアルさんの知り合いかと思ったよ。
「さあ、行くぞ」
「おい、離せよ!」
あっという間に、騒いでいた男の人は連れて行かれた。
・・・アルさんも。
「おい!なんで俺まで!」
「あれだけ騒いだんだ。当たり前だろ」
「離せー!」
ああ、やっと中に入れる。
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。
・・・作者もいつまで続くのとか思いながら書いてます。




