神界にて
今回4つの話をくっつけました。3000字越えです。
もぐもぐ。
ステラ様が出したお菓子はクッキー。
これがめちゃくちゃおいしい。
『なるほど。あの絵本を読んだのね』
お茶をしながら、ステラ様に経緯を話す。
「知ってるんですか?」
『だって私、神様だもの』
神様だから?…はっ!まさか神様が使えるスーパーな力があるとか!?
『冗談よ。あの絵本は元が聖書だからその関係で知ってるのよ』
なあんだ。というか
「聖書、ですか?」
『ええ。神殿にあるの。あの絵本は子供たちに分かりやすく聖書を伝えるために作られたものだもの』
なるほど。聖書か~。いつか読んでみたいな。リヒトさんに頼めば読ませてくれるかな?
『ねえ、お菓子おいしい?』
「はい、とっても」
『良かったわぁ』
「ステラ様はお菓子が好きなんですね」
『ええ、とっても』
「…そういえば、ステラ様はケーキとかは食べないんですか?」
『え、ケーキ?なあに、それ?』
知らないのかな?絶対好きだと思ったのにな。
とりあえず、ステラ様にケーキついて説明する。
『ケーキ。食べてみたいわ…』
この世界にケーキはなくクッキーぐらいしかお菓子がないらしく、ステラ様はケーキを食べてみたがっていた。
『ケーキ。素敵なケーキ。食べてみたいわ、ケーキ』
「…あの、私が作りましょうか?」
『いいの?!』
「簡単なものでよければ…。材料があれば作れます」
『用意するわ!何がいるの?』
ステラ様に用意してもらったのは、卵、小麦粉、砂糖、バター。
残念ながら、ケーキじゃないけど作るのはマドレーヌ!
途中で気が付いたけど、道具がない…。
どうしようかと思って、マドレーヌの型とかオーブンとか調理器具もろもろはステラ様にお願いしてみたら、『えい!』の一声で出してくれた。すごい!
あと、材料どうやって量ろうかなとか思ってたら、≪料理≫で量れることが判明。
≪料理≫すごい。ゲームって便利。現実でもこんな機能があればいいのに。
そんなこんなで準備ができたので、お菓子作りを始めていく。
「えーっと、まずは下準備っと」
バターを湯煎で溶かすのと、小麦粉を二回ふるっておく。
あとはオーブンを180度に予熱する。これも≪料理≫のサポート!
「次は、生地を作る」
ボールに卵を割って、ハンドミキサーで混ぜるんだけど…。
「というか、ステラ様が出してくれたハンドミキサー、どうやって使えばいいんだろう?」
コードとかそういうのが一切ないんだけれど。…困ったなぁ。
『言ってなかったかしら?それは魔道具になっているのよ』
「魔道具?」
『それは魔石の魔力で動くから、スイッチを入れるだけで使えるわよ』
なんと!しかも強さが調整できる!すごい!
気を取り直して、卵をハンドミキサーで一分くらい混ぜて、砂糖を三回に分けて加えて、すじが残るようになるまでさらに混ぜる。
小麦粉を二回に分けて加えてゴムベラで混ぜる。
溶かしたバターを四回に分けて加え、なめらかになるまで混ぜる。
型を天板に並べて生地を入れる。
あとは、オーブンに入れて、十五分くらい焼く!
『なんかいい匂いがしてきたわ!もう食べられるんじゃないの?!』
「ふふ、まだですよ」
確かにいい匂いだけど…。今はまだ生焼けじゃないかなぁ。
**
十五分経ったのでオーブンからマドレーヌを取り出す。
ふわんと広がる、バターのいい匂い。
はあ、幸せ。
<≪料理≫のレベルが上がりました>
あっ、料理のレベルが上がった!
『ほわー、いい匂い。おいしそう!食べてもいい?いいよね!?』
いい?って聞いときながら返事を待たずに食べようとするステラ様。
でも、
『あっつーい!』
そりゃ、そうなるよね。焼き立てだもん。
指をふーふーと息を吹きかけながら冷ますステラ様。
そんな姿はとてもかわいらしい。美人はお得だなぁ。
『そんなあ、こんなにおいしそうなのに、食べられないなんて…』
「少し冷めたら食べられますよ」
『うぅ…。今すぐ、食べたいよぉ』
まるで子どもみたい。
することもないので、冷ましている間に片付け…と思ったけど、ここはゲーム。
振り返ったらすべてが片付いた状態に。すごい、現実でもこんな機能欲しいな。
そんなことを思っているうちにマドレーヌが冷めてきたので、食べることに。
気になったので、食べる前にちょっと鑑定してみる。
アイテム名;バターたっぷりマドレーヌ ☆6
説明;<創造の女神>ステラ様が作ったバターをたっぷり使って
作られたマドレーヌ。
効果;防御力10%増加
製作者;チェリー
☆6ってどういう意味なんだろう?
ヘルプは…っと、あった。
えーっと、☆はおいしさの評価で10段階評価。☆の評価が高いほどおいしくて効果があるらしい。住民の人が作るものは基本的に☆3らしい。
ちなみに☆評価は≪料理≫だけでなく、≪錬金≫や≪調薬≫でも出るみたいだね。
☆評価が高いほど、効果が高くなるらしい。今度何か作ってみようかな?
『……・』
先に食べたステラ様が何も話さない。どうしたんだろう?
もしかしておいしくなかったとか?めちゃくちゃ気になるよ~。
よし、私も食べてみよっと。
もぐもぐ。
「…っ!」
声が出なかった。
これ、めっちゃおいしい。すっごくふわふわで、口の中であっという間になくなる。
バターの味がとっても濃厚なのに、後に残らない。いくらでも食べれそう。
私が作ったなんて思えないよ。
『ちょっと、これ。すっごくおいしいわ』
ステラ様も気に入ったみたい。
おいしくて二人してもぐもぐ食べ続ける。
ひたすら食べ続けて、たくさん作ったマドレーヌも残り1個。
最後の1個本当は食べたいけど、ここは…
「ステラ様。どうぞ『ステラお姉さまどういうことですの?!』…え?」
誰?!
最後の一個をステラ様に譲ろうとしたら、金髪で金色の瞳のド派手な美女が乱入…。
髪がドリル…。
ん~?どこか見たことあるような…。
『もぉうシャイン、いきなりなあに?』
『ステラお姉さまだけずるいですわ!』
あ、<太陽の女神>シャイン様か。神殿の神像で見たんだ!
『何が?』
『ステラお姉さまだけそんなおいしそうなもの食べて…。ずるいですわ!』
金髪で縦巻きロール。口調はお嬢様みたい。
『わたくしにも、くださいな』
『いやよ。これは私のものよ』
『ステラお姉さまは、もうたくさん召し上がったのでしょう?わたくしに譲ってください!』
『いやよ』
女神様たちが私の作ったマドレーヌを巡って子供みたいに言い争ってる。
なんだか気が遠くなりそうな光景かも。
『それに、チェリーが私に作ってくれたのよ。だからこれは私のものなのよ』
『チェリー?その方がそれを作ったの?』
あ。シャイン様の注意がこっちに…。
でも、いいのかな?
『もぐもぐ』
『あっ!ステラお姉さま!?ひどいですわ!』
目を離した瞬間にマドレーヌはステラ様の口に消えてしまった。
『ふふ、チェリーのマドレーヌは私のものなのよ』
『っ!酷いですわぁ!!お姉さまのばかぁ!!』
あ、シャイン様撃沈。
ちょっと、シャイン様がかわいそうに見えてきた。
『チェリー、マドレーヌをありがとう。とってもおいしかったわ』
ステラ様、シャイン様は放置なんですね。
「いえいえ」
『他のお菓子も作れるのよね?』
「はい」
『そう。なら、あの調理器具やオーブンとかの料理セットはあなたにあげるわ』
「えっ!そんないいです!」
『私はあなたに他にもお菓子をたくさん作ってほしいの。そのためには必要でしょう?』
「そうですけど…」
『じゃあ、決まりね。あ、この料理セット、野外でも使えるようにしておくわね』
「あ、ありがとうございます」
ステラ様からあのハイテク料理セットを受け取る。
マドレーヌ作っただけなのに…。嬉しいけど、ちょっと困ってしまう。
ステラ様が好意でくださってるのは分かってるんだけどね。
『そこのあなた!』
あ、シャイン様復活した。
『今度、お菓子を作ったらわたくしにも献上なさい。と、特別に受け取って差し上げますわ』
お?これはもしや…。
『シャインってば、普通にお菓子を食べたいって言えばいいのに…。素直じゃないんだから』
『ステラお姉さま!』
シャイン様ってツンデレみたいな感じかな?…かわいいな。
「私のお菓子でよければ、ぜひ」
『そ、そう』
ツンツンなシャイン様。甘いもの好きなのかな?
可愛いなあ。
『じゃあ、またお菓子を作ってね、チェリー』
『…マドレーヌも作るのよ』
そんな声を聴きながら、私は神界から神殿に戻った。
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。
[こぼれ話]
クッキーはプレーン、ココア、ジャムクッキー、ナッツクッキー、紅茶クッキー。
[こぼれ話]
主人公のマドレーヌの☆評価は、神々の用意した高ランク食材と主人公の現実の技術により、ランクが高めです。
[こぼれ話]
<太陽の女神>シャイン
髪;金色 肩より長いくらい ドリルヘアー
瞳;金色 トパーズみたいかな
備考;お嬢様口調のツンデレ
懐くとデレデレ。