手紙
ちょっと読みづらいかもです。
「お恥ずかしいところをすみません・・・」
「いえいえ、気にしてません。それより、うちのハナミズキがすみません」
「ふぇ!?」
「あ、すみません。思い出させてしまいましたか」
「うぅ・・・」
「もう、お姉ちゃん。ダメじゃん」
「元の原因はハナミズキでしょ?」
「はぁい。・・・ごめんなさい、モイラさん」
「あ、いえ!・・・コホン!本題に戻りますね」
「はい。お願いします」
ハナミズキのかわいい発言にダウンしたモイラさんは30分後に回復した。
本当にすみません。うちの弟が天然たらしで。
「主様からの伝言・・・。いえ、伝言じゃありませんね。主様からの手紙を預かっております」
「手紙、ですか?」
「はい。いつか、地図をもち、この家を訪れた者に渡すようにと」
モイラさんから、手紙を預かる。
綺麗な封蝋が施されている。モイラさんがペーパーナイフを貸してくださったのでそれを使って開ける。
『この手紙を読んでいる者へ
初めまして。私はフレーベル・A・オーリック・エマンダという者だ。
君たちがここにいるということは、私が図書館に寄贈した本を読んでくれたということだね。
ここまでよく来てくれたね。モイラが迷惑をかけていないだろうか。
あの子はとてもおっちょこちょいだからね。とても心配なんだ。
私がいなくなってしまった後、家は無事だろうか。
あの子がうっかり壊してしまっていないか、心配だ。
・・・本題に戻ろう。
君も気づいているだろうが、私はエマンダ帝国の第一皇子だった者だ。
私は15歳の時に隣国に留学に行った。
そこで暫く平穏な生活を送っていたが、いつからか本国の者が私の命を狙うようになった。
詳しい理由は私にもよくわからないが、恐らく私の存在が目障りになったからではないかと思っている。
あまりにもしつこいので、私は死を偽装し留学先から逃げ出した。
そして、大陸を放浪しているときに帝国の滅亡を知った。
急いで国に戻ると、そこに待っていたのは様変わりしてしまった故郷だった。
そこには城も、王都も、何一つ残っていなかった。
そこには人も、物も、そして聖霊様もいなかった。
何か残っていないかと探して見つけたのがあの文官の日記だった。
どれだけ探してもそれ以外の何も見つからなかった。
あの日記が一部分だけでも残っていたのが奇跡だったのだ。
そして、私は帝国に何が起きたのか調べた。
だが、断片的なことしか分からなかった。
私が知りたかった詳しい情報は一つも手に入らなかった。
そして、ある日私は知ったのだ。
聖霊様が狂わされてしまい、そして神々に封印されてしまったと。
・・・私は知るのが遅かった。
聖霊様が苦しんでいたことも、狂わされいつ目覚めるかわからない眠りについたことも。
知るのが遅すぎたのだ。
母のように思うあの方をずっと一人にしてしまった。
だから、私は封印の森に近いこの場所に家を建てた。
せめて、聖霊様に近い場所で最後まで生きようと。
どうか、君たちが生きる時代に聖霊様が目覚めたら、あの方にカーネションを渡してほしい。
そして、私は幸せだったと。
少しの間だったがあなたと過ごせてとても幸せだったと伝えてほしい。
フレーベル・A・オーリック・エマンダ 』
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。