ふぇいとおぶぐろーりー
なかなか先に進まない!
自分にいらいらします。
やけにキラキラした人が声を掛けてきたなぁ。
というか、この人たち誰なんだろう?剣聖はハナミズキのことだから、この人たちはハナミズキと一緒に組む相手だったってことかな。
でも、一緒に組むって約束したしなぁ。
それになんかこの人たち・・・・。
「えっと、あなたたちはどちら様ですか?」
「俺たちかい?」
「ええ、まあ」
この流れであなたたち以外の誰に聞くっていうんだろう?
おバカさんなんだろうか・
「俺たちはフェイトオブグローリーだ」
「ふぇいとおぶぐろーりー」
ふぇいとおぶぐろーりー・・・・フェイトオブグローリー・・・・。
あ、「fate of glory」か。直訳すると、「栄光の運命」だね。
随分と御大層な名前だなぁ。
「そうだ」
「はあ。で、その栄光の運命さんが何の御用ですか?」
「日本語訳しないでくれ。・・・・そこの剣聖とパーティーを組もうと思ってね」
「さっき聞きました」
「・・・君が彼とパーティー組んでいるんだろう」
「そうですね」
ああ、なんだかだんだん面倒くさくなってきたよ。
この人たちの相手って疲れるなぁ。
・・・私、なんだかこの人たち苦手。早く帰ってくれないかな?
「僕たちは今回のイベントでトップを目指しているんだ。そのためには彼の力が必要なんだ」
「はあ」
「だから、僕たちに彼を譲ってくれないかい?」
「・・・・・」
「僕たちがいい結果を残せば、この町の人たちもきっと喜ぶだろう。町での買い物だってしやすくなるはずだ」
「お断りします」
「は?」
「お断りします。ハナミズキは私と組むんです。あなたたちとは組みません
「な、何を言って!?」
「それに、ハナミズキは物じゃありません。譲って欲しいなんて言い方はひどいです。ハナミズキに謝ってください」
「っ!」
「あんた生意気ね!」
「さっさと、俺たちに譲れよ!」
今まで黙っていたお仲間さんたちが言い返してくる。
何で、こういう風に言ってくる人たちがいるんだろう?
人の価値観や考え方は人それぞれだし、それを理解し、分かり合えたらその人と仲良くなれると思ってる。自分と違う考えを聞くのは楽しくて好き。
だけど、こういう風に自分のことしか考えられない人の考えは理解したくないな。
「いい加減にしてくれる?」
「剣聖、君からもその人に言ってくれないかい?」
「言う?何を?」
「僕たちのパーティーに入りたいと。だから、」
「何を勘違いしているのかは知らないけど、僕は君たちとは組まないよ。僕はお姉ちゃんと組むから」
「な、なぜだい!?僕のチームは今回のイベントのトップ候補なんだぞ!その僕たちが直々にこのパーティーに入れてあげようというのに!」
直々に?入れてあげよう?
この人たち上から目線で・・・。私たちのこと見下してるんだ。
腹が立つけど、ハナミズキがキレっちゃったからなぁ。
自分より怒ってる人がいたら、ちょっと落ち着いた。腹は立ったままだったけど。
「まず、君たちはしつこい。僕は何度も断った。だけど、毎回毎回声を掛けてきて。いい加減うざい。次に、君たちとは価値観が違いすぎる。多少の価値観の違いは理解するのが楽しいけど、君たちは僕とは正反対だ。組んでもお互い辛いだけだ」
「そんなこと!」
「組んでみないと分からないじゃない!」
どうしよう。ハナミズキがめちゃくちゃ成長してる!
この人たちよりも大人だよ!
すごい!うちの弟はすごい!
「君たちは今回のワールドクエストをただのイベントとしか見ていない」
「それがなんだよ!そんなの普通だろ!」
「けど、僕にとっては受け入れられる考え方じゃないんだ。この世界の住人は死んだら二度ともとに戻らない。今回のワールドクエストだってそうだ。もし、町に魔獣が侵入して、住民が襲われたら・・・」
「そんなこと、あるわけないだろ!ここはゲームなんだよ」
「確かにここはゲームだ。だけど、ここの運営はゲームだからって、この町に障壁を作るわけでもないし、特別な力が授けるわけでもない。君たちはそういうことを考えない。だから、僕は君たちとパーティーを組みたくない」
「・・・・」
ハナミズキにいろいろ言われて、黙りこくったフェイトオブグローリーはすごすごと立ち去って行った。
って、謝ってもらってない!
「いいよ、お姉ちゃん」
「でも!」
「気にしてないから!それより、早く図書館に行かないと時間無くなるよ!」
「・・・・・そうだね」
いろいろ思うことはあるけど、ハナミズキは随分と成長したなぁ・・・。
こんなに立派になって、自慢の弟だよ、瑞樹。
読んでくださりありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。




