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Eternal World Online ~のんびりVRMMO日誌~   作者: はらみ
第三章 「うさぎパニック」
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ハートの女王


ばら撒かれたたくさんのお菓子。

甘くておいしそうなお菓子。

あまりの光景に思わず絶句する。

お菓子作るのってすごく手間がかかるし大変なんだぞ、わかってるのか、と首をがくがく揺らしたくなる。思わず声をあげそうになる私の口を、そっと押さえる手がある。

…カリンさん。ふるふると首を振って私を止める。まだ様子見しようってことかな。

そうだ。感情に任せて行動するのは良くない。落ち着け私。



「お前たちは悪い子ね」


「そ、そんな…」


「私たちはまだ!!」


「お黙り」



少女はぴしゃりと言い切る。

その言葉に体をびくつかせ、言葉を発していたトランプ兵たちは怯えたように少女を見る。

トランプ兵たちは少女を“女王様”と呼んだ。

白兎、帽子屋、トランプ兵。ここまできて不思議の国のアリスで女王様といったら、ハートの女王だよね。

彼女はきっと、この世界におけるハートの女王的な存在になるわけだ。そしてハートの女王と言ったら…



「あたしの言うことを聞かない悪い子はいらないの」


「ひ…!!」



少女が手をあげる。親指をぐっと突き立て首の前に持ってきて…。そう。まるで首を切るように、動かした。



「お前たち、もういらないから死んでよ」



わお、物騒。

にっこり笑顔で告げる言葉じゃないよ。表情と言葉が全く合ってない…。

いらないと言われたトランプ兵が少女の言葉に怯えて逃げ出す。

それを少女は笑顔で見届ける。どこからともなく赤い扇子を取り出し広げる。そして逃げたトランプ兵にあっという間に追いつき、



「バイバイ」


「ひ…!」



すぱっと、トランプ兵の首を切った。

まるでナイフで紙を切るようにすぱっと。

あの扇子、すごく切れ味がいいなぁ。そして無慈悲。一瞬だよ、一瞬。



「さて、次は誰…。ん…?」



あ。

ばちりと目が合う。

お互い固まって、何をするということもなくただ見つめ合う。



「おいお前ら、気づかれないうちに移動するぞ」



少女に聞こえないようにと、小さな声でガンテツさんが指示を出す。

相手がどんな力を持ってるかわからないし、余計な戦闘はしないほうがいいもんね。

でもねガンテツさん。



「ガンテツさん、ガンテツさん」


「んあ?なんだ、早く移動を…」


「あのね、あれ」



怪訝なガンテツさんの視線をわたしの指さす方へ導く。

それに釣られてカリンさんやハナミズキたちもそちらをみる。



「…」



大きな目をまんまるくした少女と目が合う。

うん。隠密作戦はどうやらここまでのようだ。うっかり目が合っちゃったんだよね!

まるで運命的だね!ごめんなさい!




読んでいただきありがとうございます。

これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。

よろしくお願いします。


ちょっぴり短い…

でもキリがいいから…

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