できることを
「うぅ…やられたー…」
「くそー」
大きな負傷もなく勝利。よかった。
ちょっとHPとMPが減った程度。ポーションで回復しといたし、大丈夫かな。
「お、結構白兎持ってたな」
「がっぽりね」
「やっぱりプレイヤーを狙ってく方がいいみたいだね」
「だねー」
相手が落とした白兎を確認する。20匹くらい落ちてた。これで私たちが集めた分も合わせたら30匹を超えた。あの人たちもプレイヤーを狙って集めたんだろうな。
私たちもまだまだ集めないとね。
「そろそろ移動するかな」
「そうね」
この開けた空間は良くも悪くも視界がいいから狙われやすそうだもんね。
目指すは近くなってきたお城。遠くから見てた時も大きいと思ってたけど、近くまで来るとその大きさが良くわかる。
でかい。
「この辺りに他にプレイヤーはいるか?」
「そうね…。いるけど、ちらほらって感じだし。ここからだと少し進路からそれそう」
カリンさんが答える。
わたしにはプレイヤーの気配はわかんないけど、カリンさんはわかるらしい。スキルかな。
ってことは、さっきの人たちはそれを打ち消すスキルみたいなものを持ってたのかも。
これからもカリンさんのスキルだけじゃ気付けない相手は出てくるだろうな。うぅ、一気に緊張してきた。ゲームだとはわかってても、命の取り合いは怖いな…。
魔獣との戦いだと実感しづらいけど、人との戦いは怖い。むぅ。
でも、みんなと一緒に…
「無理する必要はないからね、チェリー」
「ヴァイスさん…」
そばに寄ってきたヴァイスさんが私にこっそりいう。
どうしてわかるんだろう…。
「無理して戦う必要なんてないさ。PVEは得意でも、PVPは苦手なやつはたくさんいる。気にする必要はないよ。できることをやればいい」
「はい…!」
わたしにできることからやればいいもんね!
気負う必要はない。仲間だっているし、楽しむことが1番。
うん。がんばるぞー!!
「ところで、ぴーぶいぴーとかぴーぶいいーとかって何のことですか?」
「えぇ…そこ??」
ヴァイスさんのおかげで、落ち込みかけた気持ちも無事に復活した。
紫の色の森を順調に進行して…まぁときどき寄り道したけど。某配管工の巨大キノコみたいなキノコを見つけて食べようとしたりとか、『Drink me』って書かれた瓶を見つけて好奇心から飲もうとして止められたり…いろいろあった。
キノコは冗談だったのに怒られちゃった。さすがにキノコは加熱しないと食べられないんだからね!そう言ったらすごい顔をされた。反省しました。
他のプレイヤーとの闘いも無事勝利し、たくさん冒険をした私たちは今。
「えぇ…」
『んしょ…んしょ…』
ペタペタ。ペタペタ。バシャン。
ペンキを刷毛で、バケツからこぼす音がする。
『早く塗れー!!』
「なんだ、これ…」
『早く塗らなきゃ怒られちゃうよ!』
「この子達、トランプ??」
トランプから顔と手足が生えた人たちがぴょこぴょこ動く。
「なにこれ」
私たち、ただ今未知との遭遇中⭐︎
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。
よろしくお願いします。
9/12
主人公もだいぶぐじぐじしなくなりました。書いてるわたしがそう思うようになりました。
いろいろ些細なことたまに思い悩むことのある主人公ですが、たくさんの人との触れ合いの中で成長していく…という表現ができるようなら頑張ります。




