アジト
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お久しぶりです。
ちまちま書いていきますが、気分屋なのでのんびり行きますね。
一体、どういうことだろう。
あれ、というかこれって前にもあったような。
そうだ、モイラさんと会った時の…
「《魔法解析》…うん、前に見たやつと似たようなやつだ」
やっぱりそうか。
でも何でそんなものが崖に仕掛けられてるんだろう。
もしかしてここが例の悪い奴らのアジト?
「おーい、早く来なよ」
「あ、今行きます!」
奥の方からカリンさんに声をかけられる。慌てて中に入ると、空間がかなり奥まで続いていた。
これは、洞窟?天然ものか人工ものか。そういう方面に詳しいわけでないからわからないけど。外の明かりだけでは先が真っ暗で何も見えないくらい奥まで続いている。
カリンさんがインベントリからランタンを取り出す。さっと、それにハナミズキが火を灯す。一気に洞窟内が明るくなった。
「じゃあ、いこっか」
カリンさんが歩き出す。
その後ろをついていく。この先に何があるって言うんだろう。
「それで?」
「え?」
「せ・つ・め・い!歩きながらするんじゃなかったの?」
「ああ、そうだったね」
むっとしたハナミズキに対して、カリンさんはケラケラ笑う。
ハナミズキ、やっぱりちょっとツンツンね。かわいいけど。
カリンさんの説明だと、ここはリティアさんのお父さんたちを捕まえていた悪い奴らのアジトらしい。私の予想は合っていたってことだね。
もともとはとある迷子になったプレイヤーを救出するためだったんだけど、住民さんたちが捕まってることが判明したみたい。判明したけど、場所が分からなかったから衛兵さんたちが動けなかったからプレイヤーが集まって救出したとのこと。そのあと、このアジトにいた悪い奴らは縛り上げて、住民たちを街に送り届けたんだと。まあ、街に戻った時は穢れた闇が街を覆ってて外で様子を見ることになったらしいけど。
「その悪い奴らは今どうなったの?」
「さあ?」
「さあって…」
「衛兵たちに事情聴取を受けて場所の説明をした後、衛兵たちはここに来たらしい。でも、一人もいなかったって」
「一人も?」
「ああ」
ということは、全員逃げてしまったということ?
悪い奴らが野放しになっているのは危険だな。指名手配された凶悪犯が逃走中、みたいなものだよね。怖すぎる。
この世界の人なんて、死んだら生き返れないからもっと怖いだろうな。
「一人もいなかったってことは逃げたの?」
「…逃げたって言われてるけど、違うんじゃないかなって思ってる」
「なんで?死体とかあったの?」
「死体とかはなかったけど、縄が…」
「縄?」
「そいつらを縛っていた縄が、そのままの形だったんだ。縄をほどいて逃げたんだったら、結び目はなくなってるはずだし、切ったんだったら切れ目があるはず。一本に戻ってるはずだろ?でも、そうじゃなかった」
「カリンさん、それって…」
「消えたんだ。体が、痕跡すら残さずに」
悪い奴らは逃げたわけじゃないってこと。
捕まえていたはずの悪い奴らは、痕跡すら残していない。
残ったのは、縛ってそのままの形の縄。
ここは剣と魔法の世界。私の知らない魔法で縄から抜け出したのかもしれない。
でも、それは縛られた悪い奴らにできること?
少なくとも、私が知ってる魔法では、体が消える魔法がない。
ということはもしかして
「口封じ…?」
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。
よろしくお願いします。




