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Eternal World Online ~のんびりVRMMO日誌~   作者: はらみ
第二章 「仲直りのカモミールティー」
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エピローグ:仲直りのカモミールティー

第二章、これにて完結!


目を覚ましたらいつもの見慣れた天井だった。

リティアさんたちとたくさんお話してログアウト。かなり遅い時間だったのでそのまま寝たんだっけ。

ぐぅっと背伸びして起き上がる。眠気はもうない。でも汗をかいたのかべたべたするのでシャワーを浴びようかな。

時計を見るとまだ朝の五時だったから静かに廊下を移動する。まだ皆ねてるよね。

さっさとシャワーを浴びる



「ふう、さっぱりした」



シャワーしか浴びてないけど、凄くさっぱりした。

昨日、迷惑かけちゃったから今日は私が朝ごはんを作ろう。時間あるし、和食にでもしようかな。

ご飯を作る前にふと思い出す。戸棚を開けると、こないだ仕舞ったおしゃれな箱。

なかにはいろんな種類のティーバッグが入っていた。いい香り。

飲んじゃおっかな。瞬間湯沸器に水を入れてスイッチを入れる。待ち時間に選んじゃおう。



「おはよ」



いきなり声をかけられてびくっとしてしまった。

振り返るとお兄ちゃんがいた。いつからいたんだろう。全然気づかなかった。

じっと私を見ている。



「…何?」


「俺の分も作ってくれないか?」


「別にいいけど…」


「ありがとう」



そう言ってテーブルの方に行ってしまう。

茶葉を選ぼうとしてふと思い出す。昨日見た、いや見せられた悪夢の内容を。

お兄ちゃんに嫌い、大嫌いだって言われるの。二度と近づくなって言われて涙が出た。

凄く悲しかった。目が覚めてそれが夢だと理解したとき凄く安心した。

ちゃんとわかったの、お兄ちゃんに嫌われたくないって。今が話すときだよね。

箱の中を見て、目的のものを探す。見つけたそれを、コップに入れてコポコポとお湯を注ぐ。ふわりと香る、甘い匂いに勇気をもらう。



「はい、どうぞ」


「ありがとう」




ティーバッグを取り除いて、はちみつを垂らしたそれをお兄ちゃんに渡す。

お兄ちゃんの向かいの椅子に座って、ちびちびと飲む。

いざ話すとなると緊張する。でも、逃げないって決めたから。



「あのね、お兄ちゃん」


「おう」


「私、お兄ちゃんと話したいことがあって…」


「…俺も、話したいことがある」



ぽつりぽつりと話していく。私が見たこと、聞いたこと。そして、私の気持ちを。

あの日聞いたお兄ちゃんの言葉。お兄ちゃんの友達が言ってたこと。それに対して私が思ってること含めて全部話した。話してるうちにどんどん涙が出てきた。涙声で何言ってるかも分からなかっただろうに、お兄ちゃんは全部黙って聞いてくれた。全部話し終わった後、お兄ちゃんはしばらく俯いた。



「ごめん、ごめんな。桜」



もう一度顔をあげた時、お兄ちゃんは泣いていた。

ごめんなっていいながら泣いていて、驚いて私の涙が一瞬止まった。だけど、お兄ちゃんにつられてまたこぼれだす。



「俺、お前のことが可愛くて可愛くて仕方ないんだ」



そうお兄ちゃんが言った。誰にも会わせたくなくて会わせろという友達をずっとごまかしていたと。だけどあんまりにもしつこくて、大嫌いだと嘘をついたと。嫌ってるから会わせたくないと嘘をついたんだって。そこに私がいたらしい。あの時は、言葉が衝撃でちゃんとみてなかったけど、今なら分かる。今、お兄ちゃんは嘘をついてない。お兄ちゃんが嘘をつくとき、右手で首を触るの。お兄ちゃんの癖。しかも無自覚。お兄ちゃんはこれを知らないから演技してない。



「信じる。お兄ちゃんを信じる。お兄ちゃん、嘘ついてないもん。お兄ちゃんの友達より、私はお兄ちゃんのことを知ってるから」


「桜…」


「私たち、ただただお互いが大切で大好きなだけだったんだね」



なんという盛大なすれ違い。

どこの恋愛マンガだよって言いたくなる。なお、兄妹愛。

どこのだれか知らない人より、何年も一緒にいたお兄ちゃんの方がよく知ってるし信頼できる。知らない人の言葉に惑わされた時間がバカみたい。



「今度からは嘘でも嫌いなんて言わないでね。もし言ったら私、お兄ちゃんのこと嫌いになるから」「絶対言わない」



凄い食い気味に誓われて、思わず笑う。

笑ってる私につられてお兄ちゃんも笑いだす。本当になんて無駄なすれ違いを知ったんだろう。気持ちは一緒だったのにね。

…ああ、ちゃんと話せたのも、仲直り出来てこうして仲直りできたのも全部。



「カモミールティーのおかげかな」


「急にどうした?」


「ううん、なんでもない」


まあ、カモミールティーはきっかけに過ぎないんだろうけど。これがなかったらきっとずっとすれ違ったままだった。話を聞いてくれて、教えてくれたリティアさんに感謝しないと。

ありがとう、リティアさん。きっとリティアさんも今日はラクトさんと飲んでいるはず。

この仲直りのカモミールティーを。








「あ、そうだ。俺、EWOをやってるんだけどさ、キャラクター名カリンだから」


「へ」


「これからもよろしくね、チェリーちゃん」


「え、え、え――――――!」


「公式イベント、一緒に参加しような!」


波乱は続く…?

読んでいただきありがとうございます。

これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。

よろしくお願いします。



自分で書いたくせに、内容忘れて矛盾させてしまってすみません…。以後本当に気をつけます。


みなさん、ついに第二章完結しました!いやあ、長かったですね!頑張りましたよ私!自分で自分をほめます。

第二章は、第一章のときから設定、双子のことは考えてました。ゲームで当時していたイベントで姉弟がでてきていいなあって思って設定作りました。…そこから長かったですね!当時考えていた予定では、2021年以内に第二章を終わらせるはずだったのですが。約一年かかっちゃいました。

こうして、第二章を完結させることができましたのは、温かく見守ってくださる読者の皆様のおかげです。作者のメンタルが折れなかったことも見守ってくださったおかげです。読んでくださる方がいらっしゃることが、作者の創作活動の励みです。これからものんびり更新で頑張ります!よろしくお願いします。


第三章ですが、やることは決まってるのに、キャラクターをどう動かしていくかなどが決まっていません。参考資料も読みたいし、やることも多いのでちょっと時間をもらいます。のんびりとやっていきます。また、三点リーダーを変換で出せるようになったので、全部変更してきます。お待ちくださいね。


最後になりますが、最近(2022.6.11)暑くなってまいりました。みなさま熱中症にお気をつけてお過ごしください。更新再開までしばしお別れです。それでは!

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