常闇の夜 2
なんとか常闇の夜編書き終えたので投稿します!
とりあえず、3日後に続きです。
この話と次の話はリティア目線です!もしかしたらおかしなところがあるかもしれないですが、よろしくお願いします。
side リティア
チェリーさんの体から力が抜けてふらっと倒れそうになるのを支える。
近くにあったベンチに寝かせる。…本当にありがとうございます。
チェリーさんから預かった髪飾りを落とさないように身につける。髪飾りの効果で私の周りに黒い靄ー穢れた闇ーは近づかない。
どうして、穢れた闇がラクトから溢れたのかわからない。ここ最近、あの子とは話せていなかったから。
チェリーさんと約束した。それに、私もラクトとちゃんと話したい。
あの子を見つけないと。でも、見つからなかった。広場にいないようだった。
「どこに行ったの?」
移動したのかもしれない。
黒い靄が私の周りを避けているとは言え、変わらず辺りを覆いつくしている。
視界が悪すぎる。やみくもに探すのは危険。
あの子ならどこに行く?あの子が好きな場所はお父さんたちの仕事場だけど、この状態でいくとは思えない。実際にあの黒い靄に触れて分かるけど、この靄は心の黒い部分、触れてほしくないところに触れてくる。黒い靄があの子からあふれたのならむしろ嫌いな場所に行くと思う。
「神殿…?」
あの子がこの街でひどい扱いを受けることになった原因。
私も神殿は好きではないけど、あの子は神殿が嫌いだった。いつもなら近づきもしないけど、今はそこにいるとしか思えない。
…今ここで何もせずにいるより、行ってみるしかない。
移動してる間も黒い靄に覆われる。もしかして街全体がこの靄に包まれているのか。…こんな大事になってしまったら。ラクトはこの街でどんな扱いを受けてしまうだろうか。私は守り切れるの?
「…行かなきゃ」
ここで不安になっていても何も変わらない。今動かないときっと私は後悔する。
やらないで後悔するよりやらないと。後悔するなら行動してからなの。私はラクトに何もできなかった。それをずっと後悔してきた。なら今、行動しないでどうするの。
止まりかけていた足を必死に動かす。どこまで行っても広がる黒い靄にひそかに絶望する。
この黒い靄がまるでラクトの心にある闇のようで。
「姉さん……来たんだね」
「ラクト…」
気がつけば神殿についていた。ラクトは、やっぱり神殿にいた。
ラクトの体から黒い靄が溢れて神殿を覆い隠す。周りが黒いから、ラクトの顔の青白さが際立ってる。目も私を見てるようで見てない感じがする。肌が粟立つ。
「ラ、ラクト…」
「姉さん。姉さんのことは僕が守るから」
「え?」
「街の人も神殿の人もみんな、みんな姉さんを狙ってる。姉さんを祭り上げて聖女にしようとしてるんだ。そんなこと姉さんは望んでないでしょう?」
「何、何を言ってるの…?」
「あいつらは姉さんを聖女にして自分たちの欲を満たそうとしてるんだ。姉さんは平穏にこの街で過ごしたいのに、姉さんの意思を無視して言うことを聞かせようとしてたんだ。父さんと母さんがいなくなった今、僕が姉さんを守るんだ」
「ラクト…」
「僕の加護を憎むやつを気にしたことはないよ。排除しなければならないのは、姉さんを祭り上げようとしてる奴ら。だから姉さんが気にする必要はないよ」
「ま、待って…」
「姉さんはそこで待ってて」
「待って!!」
制止も聞かずに、私を置いてラクトがどこかへ行ってしまう。
取り残された私は、知らなかった事実に涙がこぼれる。守られてた。守ってるつもりだったのに、私が守られてた。お父さんもお母さんも私を守ってくれてた。ラクトも…。なのに私は何もできなかった…。
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。
よろしくお願いします。




