月の下で
目を開けると想像していた通り、真っ暗で夜なんだなと思った。
宿の部屋にいるけど、明かりをつけてないから真っ暗で窓から差し込む月明かりだけが頼りだった。ゲーム時間を確認したら夜中の三時半くらいだった。
「きゅう」
「!!」(ご主人様だ!)
ベッドから体を起こすと、ヒスイとセレネが寄ってくる。
そっと二人を抱き上げる。
「お外に行って月でも見ようかなって思うの」
「!!」(素敵だね!)
「きゅきゅう!」
この時間に門の外に行くことはできないから、街の中で月を見ることになるけど。
でも、現代の日本よりは絶対に綺麗に見えるはず。
開けた場所のほうがよく見えると思うから、噴水広場に行こうかな。
「静かに行こうね」
「!!」(うん!)
「きゅ!」
宿で眠ってる人たちを起こさないようにできるだけ静かに廊下を歩く。
体重をかけたところがきしんでぎぃと行ったときは心臓がバクバクした。
やっとのことで外に出た時点で、ものすごく疲れていた。
「だれもいないねえ」
誰もいない街は、私の息すら聞こえるくらいとても静かで、まるで世界は私たちだけになってしまったみたいだと思った。
明かりが少ないから、星がとても綺麗に見える。山の上に行ったらもっと綺麗に見えるんだろうなとぼんやり思う。
「あれ、誰かいる」
誰もいないと思っていた噴水広場に人影が見える。
噴水の縁に座っているようだった。
不審者だったら逃げないと、と思ってこっそり覗いてみる。
「ラクトさん・・・?」
暗くてすぐには分からなかったけど、噴水のところにいたのはラクトさんだった。
私の声に気づいてか、俯かせていた顔を上げる。
私は、少しびくっとしてしまった。
その顔があまりにも暗くて。私を見てるはずなのに、見てない気がして。
「えっと、確かチェリーさんでしたっけ?」
「あ、はい。そうです」
「こんな時間にどうしたんですか?」
「なんとなく、月が見たくなって・・・」
「へぇ・・・月を」
「・・・」
「ねぇチェリーさん、もしよかったらお話しませんか?」
「お話・・・?」
今、私が話してるラクトさんは前にリティアさんと一緒の時にあったラクトさんとは違う気がする。なんだかほの暗くてとても怖い。
でも、ラクトさんを一人にするのはいけない気がする。
「私でよければ・・・」
「ありがとうございます」
ふと見上げた月は明るくて綺麗なはずなのに、なんだかとても怖く感じた。
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。
想定していた流れと違う感じになったのはこのあたりから・・・。
納得いかなくて書き直してたら流れ変わってたし、時間もかかってます・・・。
遅くなってすみません。




