逃避
これから、ストックがなくなるまで三日おきに更新します!といっても、十話もありません。
本当は、二章全部書いてから上げようと思ったんですが、思ったより書けなかったのと私の性格に合ってなさ過ぎて無理でした!
これからものんびり更新であげていきます。定期的な更新ができなくなる時もあるかもしれませんが、温かい目で見守ってください・・・。
お兄ちゃんたちに体当たりする勢いで突っ込んで自分の部屋に駆け込んだ。
布団の中に潜り込んで外の世界から逃げた。
思い出すのは、お兄ちゃんがまだこの家にいたころのこと。
私が小学校を卒業して中学生になる年だった。もうすぐお兄ちゃんが家を出るからその時期、私はお兄ちゃんにべったりだった。
あの日、朝の天気はよかったのにお昼ぐらいから天気が悪くなっていた。
お兄ちゃんは朝から友達と出かけてて傘を持っていってなかった。
だから、お兄ちゃんに傘を持って行ったの。内緒で行って驚かせようと思って、お兄ちゃんには行くことを言わなかった。場所は前日にお兄ちゃんが電話で話してたのを聞いてたから知ってた。お兄ちゃんを見つけて声をかけようとしたときに聞いてしまったの。
お兄ちゃんが私のことを「嫌い」って言ってるのを。凄く凄く悲しかった。
大好きなお兄ちゃんが私の知らないところで嫌いと言ってたことがショックだった。
直接嫌いと言われるよりも、誰かに言ってるのを聞いてしまったことが辛かった。
だから、私はお兄ちゃんの前に出て言った。
「大っ嫌い」
って。お兄ちゃんは何か言ってたけど、聞きたくないから走って帰った。
途中で雨が降り始めたけど、気にせず走った。
悲しくて辛くて涙がでたけど、雨が全部洗い流してくれる気がした。
その日も家に帰ったあと同じように布団にこもった。今と違うのは大泣きしたことだけ。
しばらく部屋にこもってた。家族も部屋から引っぱり出したりはしなかった。
数日たって、部屋から出たらお兄ちゃんは家を出てた。
私に、別れも何も言わずに。話す機会すら私にくれなかった。
「桜・・・」
「・・・」
お兄ちゃんの声が外から聞こえる。
頭がぼーっとする。ふと窓の外を見たら、明るくなってた。
布団にこもってたらいつの間にか寝て朝になってしまったらしい。
お兄ちゃんの声に返事する気力もない。
それに、お兄ちゃんは私のこと嫌いなんでしょう?だったらほっといてよ・・・。
お兄ちゃんが話しかけてくるけど、耳をふさいで聞かなかった。
しばらくしてお兄ちゃんはドアの前からいなくなった。
「どう、したらいいのかな・・・」
ぼそりとつぶやいた言葉に誰も返事はくれなかった。
何が正解かなんてわからない。誰も教えてくれないし。
それにじっと考えるのは苦手だ。思考がネガティブな方へと行ってしまう。
私の悪い癖。
だから、現実逃避をしようと思う。このままならない現実から逃げてしまおう。
逃げて逃げて、そのあと考えよう。
よく言うものね、仮想現実は現実逃避だって。
もしかしたら、どうしたらいいのかわかるかもしれないしね。
ログインして目を開けると、第二の街の宿屋だった。
こっちの世界でも、もう朝だった。
部屋のドアのほうを見たら隙間から手紙が差し込まれてた。なんだろう。
ドアの隙間から手紙が入れられるのって、ファンタジーっぽくてワクワクするね。
中身はカリンさんからで、しばらく別行動するっていうのとリティアさんへ伝えるのを頑張って、応援してるというものだった。
カリンさんって律儀でいい人だなあ。胸がジーンとしたよ。頑張ります。
宿屋で朝ごはんを食べて、おなかを満たす。腹が減っては戦ができぬというものね。
今から行くのは戦ではないけど。気合を入れていくぞー。
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。




