聞き上手
読者の皆さま、あけましておめでとうございます。今年ものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってもらえると嬉しいです。特にアンチコメはお控えいただけると嬉しいです。今まで書かれたことなんてありませんが。皆様優しいので、思っていたとしても書いてないのかもしれませんが、書かれたら作者はちょっと悩みます。
このお話は大変難産でした。予約更新分が亡くなって前日に予約してるくらいには続きが書けませんでした。そして先に言っておきます。人によって好き嫌いが分かれると思われます。苦手だなって思う人はこのお話を忘却してください。話を進めるために主人公はこの選択をしてますが、人によって違うと作者は思いますので。
長々と書きました。すみません。
カリンさんの部屋に通されて、ベッドに座る。
同じ部屋のはずなのに、落ち着かない。
「あのさ」
「・・・はい」
「もしかして、さっきのラクトっていう人とは知り合い?」
「・・・はい。今日知り合ったばかりなんですけどね」
「そっか」
「でも、こんな形で知りたくなかった・・・」
どんな事情があるにしても、人から聞くのは嫌だ。
本人から聞くのと、他人から聞くのは違うと思う。それが真実であろうとなかろうと本人から聞きたかった。
でも、私は。私は・・・
「知れて良かったって思っちゃったんです」
「うん」
「止めなきゃいけなかったのに、聞いちゃいけないから止めないといけないのに。聞きたいって、知りたいって思ってしまったんです」
だから、あの時止めずに聞いてしまった。知りたいっていう気持ちは止められなかった。
聞いちゃいけないってわかってたのに聞いてしまった。
どうしたらいいのかわからない。聞いてしまった以上、普通の顔して二人に会える気がしそない。きっと顔に出てしまう。そしたら、二人を傷つけてしまう。
だって、この話は二人にとって知られたくない事なんだと思う。それを二人の知らないところで聞いてしまうのは良くない事だ。
「チェリーちゃんはどうしたいの?」
「・・・わからないんです」
「そっか」
「でも、謝りたい。聞いてしまったこと、止められなかったことをちゃんと言いたい」
黙ったままでいるっていう選択肢も存在して、そっちの方が傷つけないっていうのも分かってる。でもこのままでいるのはなんか嫌だ。うまく言えないけど・・・。
「うん」
「カリンさん、私明日リティアさんに会いに行ってきます。そして謝ります」
「そっか。チェリーちゃんが自分で決めたんだからきっと大丈夫」
「話を聞いてくれてありがとうございます!もやもやがすっきりしました!」
「なら良かった」
カリンさんがふわりと笑う。
カリンさんがいなかったら、きっと私はずっとぐじぐじ考えてただろうな。
人は好き。だけど、コミュニケーションは苦手。
だって何が正解かわからないから。間違えたことにも気づけないことのほうが多い。
だから今まで最低限の付き合いしかしてこなかった。
でもカリンさんみたいな素敵な人と出会えるならもっと頑張りたいな。
「カリンさん、おやすみなさい」
「うん、おやすみ。チェリーちゃん」
いい夢を。扉を閉める瞬間そう聞こえた気がした。少しだけ心が軽くなった気がする。
誰かに話を聞いてもらうだけで全然違う。カリンさんが聞き上手っていうのもあるんだろうけど。自分の部屋に戻ってベッドに転がる。明日はリティアさんのところに行こう。冒険者ギルドに行って、どこか空いた時間に話を聞いてもらえないか聞いてみよう。無理そうなら別の日にでも。
・・・現実だともう16時だ。一回ログアウトして晩御飯作らないと。目を閉じてログアウトする。体を起こすと背伸びをする。四時間弱、ベッドで横になってただけだしね。
運動がてら、スーパーに夕飯の買い物に行こうかな。そう思って扉を開ける。
ガチャとあく音が隣からも聞こえた気がして、思わずその方向を見る。
「「・・・・」」
そこには同じようにドアを開けたお兄ちゃんがいた。
どうやら同じタイミングでドアを開けたらしい。
・・・・気まずい。すごーく気まずい。ドアは閉めたけど、何を話したらいいか分からなくてただただ無言で見つめあってる。
「・・・これからどこかに行くのか?」
「夕飯の買い物に行こうかなって」
「そうか。・・・俺も行く」
「なんで?」
「男手は必要だろ」
気まずい時間がまだ続くのか・・・・!!
頑張ろう私。昨日を思い出すんだ。あれだけ自然に話せたでしょう!?
いやでも、昨日の私は昨日の私。今日の私は今日の私だし。もしやあれは別人だった?
何話したらいいかわかんない・・・。とりあえずスーパーに行けば何とかなるよ、うん。
読んでいただきありがとうございます。
のんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。




