もう一度おひるごはん
ぱちりと目を開けると知らない天井だった。
・・・なんて、使い古された冗談は置いておいて。まあ、確かに知らない天井だけども。
<豚の丸焼き亭>のベッドとはまた違う質感のベッドが落ち着かない。そのうち慣れるかな宿は<ネコのお昼寝亭>っていうらしい。宿を営む人は動物が好きなんだろうか。
「こっちだと今はお昼かあ」
さっきお昼ご飯食べたばかりだけど、どこかでお昼食べちゃおうかな。
こっちだといくら食べても太らないんだし。甘いものをたっぷり食べるのもありだよね。
それはそれで贅沢だね。
「あら、起きてきたのかい?」
「はい、こんにちは。今からちょっと出てきます」
「はいよ。気を付けるんだよ。最近は、盗賊みたいな悪い奴らが増えてきてるらしいからね」
「分かりました!」
盗賊かあ。気を付けないとね。
平和なところで生きてきたから、想像がつかないんだよね。
対策って何かできるんだろう。笛とかかな。
冒険者ギルドとかで教えてもらえないだろうか。
「あれ?チェリーさん?」
「え?えっと、リティアさん?」
「わぁ!名前、覚えてくださったんですね?」
お昼ご飯を食べるところを探してぶらぶらしていたら、声をかけられた。
振り返ったら美人さんがいてドキドキしちゃった。
というか名前思い出せて良かったぁ。ちょっと焦っちゃった。
「今からお昼ですか?」
「はい。何か美味しそうなのないかなって探してました」
「そうなんですね!私もこれからお昼なので、良かったら一緒にご飯を食べませんか?美味しいところを知ってるんです!」
「いいんですか?」
「はい!もちろん!」
地元の人がおいしいっていうところは間違いないよね。すごく楽しみ。
リティアさんについていくと、落ち着いたカフェにたどり着いた。
店員さんに個室に案内される。
「ここのご飯は何でもおいしいんですよ!」
「そうなんですね!何を頼もうかな~」
渡されたメニューを見ながらウキウキする。
見たことない料理とかあって、味の想像ができなくて頼んでみたくなる。
こういうのを見ると、わくわくするよね。
「・・・チェリーさん、ここまで連れてきておいてなんですけど、もうちょっと警戒心を持った方がいいと思います」
「え?でも、リティアさんは悪い人じゃないですよね?」
「そうですけど。危ないですよ~。こんな個室に案内されて、何されるかわからないじゃないですか」
「リティアさんならいいですよ」
「え?」
「だって、そんなことする人じゃないですもん」
なんとなく、そんな気がする。こういう時の勘は外れたことないから。
目を見たら分かるとは言わないけど、いい人だと思う。雰囲気かな。
その気持ちが伝わるように、リティアさんの目をまっすぐ見る。
それに、本当に悪い人はそんなこと聞かずに騙すと思う。
「あ。わたし、これにします」
「あ、え?」
「リティアさんは何にしますか?」
いろいろ言いたいこともあるだろうけど、まずはご飯を頼みたいな。
せっかくのおすすめのところだもんね。
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。
リティアさん、出せば出すほど超不審者。
いい人なんです。いまのところ不審者でしかないけど。
みなさん、知らない人に声かけられても無視ですよ。
桜は、返事してますけど。




