戦いの前の休息
門番へ挑戦しますかという画面が目の前に展開される。
ここまでたどり着くのに時間がかかるかと思ったけど、予想していたよりも早く着いた。
「ここまでの敵は問題なかったな」
「余裕を持てて来れて良かったよ」
ノス森林の時とは違って、敵の強さも違うしカリンさんもいるしね。
正直言って、ここまでの道のりは大変楽だった。
連携も取れるようになってきたし、油断しなかったら門番もいける気がする。
フラグになりそうだから、心の中にとどめておくけど。
「どうする?もう挑戦する?」
「ん~。ちょっと休憩したいかな。回復したい」
「同じく」
「僕も」
「分かった。時間に余裕はあるし、休憩しようか。ここだと他の人の邪魔になるから、場所を移動しよう」
確かに。この場所には門番に挑戦しに来た人で溢れかえっていた。
街の中央噴水広場再び、だよ。
それでも、門番への挑戦はインスタントダンジョンになっていてパーティーごとに違う空間に送られるみたいで目の前でどんどん人が減っていった。
「これは、すごいね」
「この調子だとしばらくしたらがらがらになりそうだな」
「クリアしたら、また現れるのかな」
「なんか、ちょっと違う位置に出るらしいよ」
「そうなんだ」
じゃあ、ここに人が溢れかえるという事態は防げるね。
どんどん消えていく人を眺めながら、持ってきたお菓子を摘まむ。
芋を買ったから、今回はポテチを作ってみた。うす塩味しか作れなかったのが残念だけど。
かための食感のも作ってきたから、飽きることはないはず。
うーん、おいしい。油って美味しいね。現実だと太っちゃうけど、ここならいくらでも食べれちゃうから嬉しい。
「チェリーは料理上手なんだね」
「えへへ。ありがとうございます」
「お姉ちゃん、美味しいよ!」
「ありがとう!いっぱいあるからたくさん食べてね」
カリンさんもハナミズキも褒めてくれてうれしいなあ。
ただお芋を薄くスライスして揚げただけなんだけど、褒められるとふわふわしてしまう。
嬉しくって、インベントリからポテチをどんどん取り出す。
「お!まだあるのか」
「美味しいよ」
「インベントリの中は時間が止まってるので、揚げたてがキープされるんですよ」
便利だよね。現実世界にもあってほしいけど、あったらあったでちょっと怖い気がする。
しまったものと取り出したものが本当に同じかは分からないし。
インベントリはゲームの中だけでいいや。
「・・・」(おいしそう・・・)
「きゅう・・・」
ヒスイとセレネは生のジャガイモのスティックだ。
ポテチは、クッキーよりも油が凄いからね。私たちに影響がなくてもこの世界に生きているヒスイたちへの影響は分からないからなあ。
太ってもかわいいだろうけど、抱っこするのが大変になるのは辛いもん。
ダイエットダイエット。
「お。そろそろ人が減ってきたな」
「みんな、回復はどんな感じ?」
「もう大丈夫よ」
「準備できた」
「大丈夫です!」
「じゃあ、門番に挑戦しようか!」
「「「「おお!」」」」
「!!」(おお!)
「きゅう!」
私の腕の中で、ヒスイとセレネも声を上げる。
一緒に頑張ろうねと腕の中のかわいい存在に笑顔を向ける。
そして、私たちは門番が待つ空間へと転送された。
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。
よろしくお願いします。




