またもやナンパ
自分がポンコツ過ぎて嫌になりそうです。
ヴァイスさんと、アルさんを間違えるという・・・。
以後気を付けます・・・。
がやがや。
始まりの街の中央噴水広場。
前に絡まれてしまったことがあるからあんまりいい思い出のない場所。
この場所はいつもよりもずっと人が多い。
人酔いしそうなほどに人がいる。私の目の前は人、人、人、人、人人人人・・・。
アップデートが終わってすぐにログインしたせいか、とんでもない人混みだった。
なんとか噴水に腰掛けれてるけど、これじゃあハナミズキたちが来てもわからないなあ。
それに・・・。
「ねえねえ、君一人?」
「・・・・・・」
「もしよかったら、俺たちと一緒に第二の街に行かない?」
「・・・・・・・」
「俺たち強いから、一緒に行こうよ」
さっきから無視をし続けてるのに、ひたすら話しかけてくる人がいるし。
前回のことから学んで、目を合わせないようにしてるし話しかけられても無視してる。
無視するのって、最初の方は心が痛んだんだけど、しつこすぎて今はなんとも思えない。
無の境地だよ。
うざくても、相手にしちゃいけない。うっかり話したらだめ。
放っておいたら、そのうちどこかに行く。
「ねえ、聞こえてるよね?」
「・・・・」
「いい加減に無視するのはやめてくれないかな?」
「・・・っ!」
しつこい男が手を伸ばしてくる。
セクシャルガードがあるってわかってても怖いものは怖い。
ぎゅっと目を瞑って、体を小さくする。
「はーい。そこまで」
「いでで、何すんだよ!」
「嫌がる女の子に何してるの?」
目を開けると、私より背の高い人が男の人の手を捻り上げていた。
白くて長い髪を後ろで一本のみつあみにしてまとめている。
ちらりと見えて横顔はとてもきれいだった。
「お前には関係ないだろ!」
「関係あるわよ。だってこの子私の妹だし」
「え!?」
「そうよね?」
「あ、はい!そうです!」
振り返った顔はにっこり笑っていてなんだか逆らえなかった。
でも、私を見る桜みたいな薄ピンク色の瞳がとてもやさしくて温かく感じた。
「あ、そうだ。さっきGMコールしといたから」
「な!?」
「そろそろ迎えが来るんじゃない?」
その瞬間、あの男の人は目の前から消えた。
ど、どういうこと?
「あの、さっきの人は・・・?」
「運営に連れていかれたんじゃないかな」
「そ、そうなんですね。・・・あの、助けていただきありがとうございます」
「ん?ああ、気にしないで。君は大丈夫だった?」
「はい!なんともありません」
この人、なんだかすごくいい人な気がする。
それに、あの目。
初めて会った気がしないんだよね。
「それより、なんでGMコールしないの?」
「GMコール?」
「え。知らないの?」
「そういう機能があるのは知ってます」
冗談でしょ!?っと説明してくれた話しによると、何か問題が起きた時にGMコールをしたらいいんだそう。
プレイヤー間で問題が起きたときや、バグが発生したとき、キャラクターに異常が起こったときなどにするのだそう。
さっきのような事態になった場合も対処してくれるらしい。
「もしさっきみたいなことになったら、すぐにGMコールするのよ?」
「わかりました!」
やっぱりすっごくいい人だった!
「本当にありがとうございます!私、チェリーって言います。もしよかったら、お姉さんの名前を聞いてもいいですか?」
「カリンよ」
そういって、ふわりと笑うその人はとても綺麗であたたかかった。
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。
よろしくお願いします。




