用語集~EPISODEⅢ版~
ここではEPISODEⅢの登場人物や用語など載せております。実際に投稿したものに登場していない人物もいたりしますが、省いてしまっているだけですので、ご了承ください。
今後、いろいろと追加する可能性もあります。
①登場人物
()内は本編登場時の年齢。ユリウス・シリウス・サリア・レナ・バルザックはガリア参戦時の年齢。
◆シリウス=アイオーン=ヴェルエス(16)
エピソードⅢの主人公。ティルナノグ帝国318代天帝ジークフリート21世の第二子であり、322代天帝ユリウス12世の腹違いの弟。本来であれば帝位継承権のある皇子だが、地上人イリヤとの子供であるため、直系でありながら継承権はない。
実権を握った叔父ガルザスによって処刑されそうになるも、幼い兄ユリウスが庇ったため、生き永らえた。皇族とは認められなかったものの、後宮で住まうことを許され、従兄妹であるサリア王女・レナ王女・バルザック=グランディアと育った。
容姿は父帝に似ていると言われ、性格は温厚で真面目。正義感に溢れ、傀儡同然だった兄・ユリウスとともにクーデターを画策するほどの行動力も併せ持つ。
その反面、幼い頃から“下賎の血を持つ”と中傷されたためか、卑屈な面を持っている。自分に自信がなく、常に一歩引いて行動をする。
反乱軍に参加してからは軍師としての才も開花。自身が指揮を執った戦いでは無敗を誇り、帝国の常勝将軍ランスロット卿もその才を評価している。
戦闘能力もバランスが良く、魔法も攻撃・補助・治癒を無難に使いこなす、オールラウンダー。
他者からの人望も厚く、老若男女問わず慕われており、イデアの残党軍を再結成し、解放軍“ソティス”を結成させる。
◆ユリウス=フェムト=ヴェルエス(17)
ティルナノグ帝国322代天帝。若干7歳で即位させられ、叔父ガルザスの傀儡とされた。歴史上では彼が最後の天帝とされている。
叔父が恐怖政治を敷いたためか、或いは命を狙われ続けたためか、臆病な性格になっている。周囲の人たちの目や評価を気にし、常に猜疑心と劣等感を抱いている。とくに異母弟シリウスに対し、大きい嫉妬を抱いていることに、本人は気付いていない。
それでも他者に非常に優しく、人助けをすることに何ら躊躇いがない。大切なものを守るためならば、自身の命を投げ出そうとさえする。
シリウスとは違い、攻撃特化型。特に接近戦と攻撃魔法に関しては解放軍トップクラスと言われた。反面、人を率いて戦うということを苦手としている。
地上での幼馴染リタと夫婦になるも、彼女が惨殺されたことを受け、精神が崩壊。憎しみに支配され、世界を破壊することを目的として行動することになる。
◆サリア=ヴェルエス=セントジネス(16)
本作のヒロイン。ティルナノグ帝国の皇族で、シリウスたちの従兄妹になる。シリウスと同い年で、彼らとは幼馴染になる。武芸の棟梁であるセントジネス公爵バイロン卿の孫でもあり、格闘術の達人。
性格は非常に活発で明るく、ネガティブになりがちなシリウスに叱咤激励をする。何事も前向きであり、その明るさは周囲の人を元気づける。
近接戦闘力においてはシリウスたちよりも上であり、魔法を応用した格闘術は武器がなくとも敵を圧倒する。魔法においても、特殊なエレメンタル“紺碧”を応用したものを利用しているため非常に強力。
彼女は“ティルナノグの巫女”の一人。星の遺産こと“セレスティアル”を制御するための重要なファクターであり、ガルザスはそれ故に彼女に危害を加えていないといえる。
前向きな性格の中で、シリウスたちのクーデターを止められなかったことや、虐待により精神が歪んでしまった異父妹レナを救うことができなかったことを常に悔やんでおり、その心は意外にも脆い。
◆レナ=ヴェルエス=セントジネス(15)
サリアの異父妹。父は帝国内でも有数の地位にあるロンバルディア公爵ウーニウェル卿。父が自殺したためロンバルディア公爵家は取り潰され、彼女はセントジネス公爵バイロン卿によって引き取られた過去を持つ。
王女に相応しい温厚で慈愛に満ちた佇まいをしており、その容姿端麗さから姉のサリアとともに人気が高かった。
戦闘能力は無いに等しく、魔法もあまり得意ではない。しかし、その潜在能力はサリアを凌ぐとされ、発露した時は周囲を破壊しつくすほど。
幼い頃、父によって性的虐待を受けたことで多重人格となった。心優しいユリウスといる時に発露することはなかったが、彼が粛清されると(思われていた)、精神が一時的に崩壊し天空都市のひとつを破壊してしまった。
彼女もまた“ティルナノグの巫女”であり、その力の制御はできないものの、強大な能力を有する。
◆バルザック=グランディア(18)
枢機卿として実権を握っていたオドアケル卿の孫。政府幹部であり、ガルザスの片腕とも言われるアイン=ロロ=グランディアの実子。シリウスたちと兄弟同然に育ったが、自身は皇族ではないので家臣としての立場を弁えている。
冷静に周囲を観察できる力があり、感情的にならずに行動することができる性格。シリウスと同じで正義感に溢れ、現状の帝国に対し苦い思いを抱いている。
銃を得意としつつも、魔導士としても一級品。グランディア家は代々魔法を得意としており、彼もまたあらゆる魔法に精通せんがために努力をしている。
行方不明となったユリウス・シリウスと合流し、ともに戦うことを決意する。
◆フィン=フィンド=ディルムン(44)
南方の大陸・ロンバルディア大陸の遊牧民族ディルムン家当主の息子であり、解放戦線“イデア”の首領。第一次天地戦争の引き金となったガリア解放戦線が大敗北した後、地上での反乱軍の中心となった。クイクルムにてシリウスたちと出会い、彼らとともに地上解放を目指した。
地上人でありながら魔法の心得があり、その技術を応用して兵士個々の能力を高めた。また、自身も剣を得意としており、娘・ロスメルタと甥であるレーグの師でもある。
明朗快活な性格でありながら、どんな事態にも冷静に対応できる判断力を併せ持つ。部下想いな面があり、非常に人望が厚い。彼を慕ってイデアに参加したという者がほとんどである。
◆ロスメルタ=ラルフェン=ヴァハ=ディルムン(17)
フィンの一人娘。解放戦線イデアにおいて最前線で戦う少女。
華奢な体でありながら、その剣技は他者を圧倒する。若干18歳にして組織の中で最も武芸に秀でているとさえ言われるほどで、周囲からは“剣姫”と評される。
猪突猛進な性格で、とにかく喧嘩っ早い。戦場においては冷酷ともとられがちだが、周囲への気配りができる面もある。本人も自身のがさつさを認識しており、女性らしさというものを常に目指している。
シリウスたちのことを最初はあまり信用していなかったが、彼らの誠実さと実直さに感心し、後に信頼するに足る人間だと認めている。
◆レーグ=リアンガヴラ(26)
フィンの片腕とも言われる男性で、彼の甥にあたる。彼を師と仰いでおり、両親の反対を押し切って彼とともに歩むことを決めた。ロスメルタの教育係としても活動しており、やんちゃな彼女に振り回されながらも、実力は彼女と同等、大局においては判断力等含め、彼の方が能力は上と言える。
多少楽天的な性格に囚われがちだが、誰よりも状況把握能力に長けている。シリウスと並んで、イデアにおいては参謀として名を馳せる。
◆カラバーン=オドネイア(52)
ガリア解放戦線の老兵。元は軍事都市カルヌントゥムの警護兵。現在の帝国のあり方に疑問を抱き、ガリア結成時に参加。シリウスたち第9師団に所属し、彼らを補佐する。
老兵でありながらも達観した価値観を持ち、感情的になりがちなシリウスやユリウスたちを制御できる器の持ち主。
◆リタ=ペインツ(18)
商業都市クイクルムの宿屋の娘で、地上に捨てられたユリウスたちとともに育った。
性格は温和で優しいが、臆病。子供の頃は、ユリウスに手を引かれていたこともあったほど。それもあって、ユリウスは多少なりとも逞しくなったともいえる。面倒見もよく、近所の子供を集めて遊んだり、勉強を見てあげるなどをしており、将来は教師になるのが夢だったという。
戦争に巻き込まれ、ユリウスが身を案じ、イデア軍に同行させた。
◆アドルフ=アルフォルス(58)
ガリア地方アクィタニア州首相で、創始歴7960に軍事都市カルヌントゥムを襲撃し、「ガリア解放戦線」の結成を宣言、帝国へ宣戦布告を行った。これが“第一次天地戦争”の始まりである。
州首相時代は人柄が誠実であったため人気があり、10年もその地位にあるなど長期政権を担い、帝国からもその手腕を評価されていた。
その裏で反ガルザス派に唆され、技術を横流しされていた。かねてから黒い噂はあったものの、他に適任者がいなかったため、長期政権を得るに至った。
ガリア結成以降は慢心し、自堕落な生活を送るようになる。
◆オーウェン=イルヴァ(31)
アドルフの側近で、彼の娘婿。アドルフには息子がいなかったため、彼が実質的な後継者と目されていた。
自身が平凡な人間であることを自負しており、特別な者になろうと考えていない謙虚な性格。それ故、帝国を打倒した後に公邸になることを夢見るアドルフに対し、内心嫌悪感を抱いている。
ガリア軍に対する支援は専ら彼の評判によるものが大きく、また多くの人材を集めていることでも有名だった。魔法を扱えるユリウス・シリウス兄弟の噂を聞きつけ、軍に入ってくれるよう懇願したのも彼である。
◆ガルザス=シヴァー=オルド=ヴェルエス(41歳……第二部開始時)
ティルナノグ帝国318代ジークフリート21世の異母弟で、シリウスたちの叔父。不貞の中で生まれた皇子であったため、皇位継承権はない。母はペンドラゴン家令嬢・ミドレ公女。
武芸・政治力・指揮力など、あらゆる才覚に恵まれ、努力も惜しまない人間。それ故、幼い頃は誰よりも将来を嘱望されていたが、不義の子であることが露呈すると、朝廷から継承権を剥奪されてしまう。兄であるジークフリート21世よりも才覚に溢れ、次期天帝と目されていた中でのことだった。
それでも、手腕を振るい時の政敵・オドアケル枢機卿を失脚させ、長らく外戚によって支配された朝廷を取り戻した。
しかし、それ以降彼は変貌。時の天帝である321代天帝を暗殺、甥であるユリウスを即位させ、傀儡政権を樹立。政敵は皆殺しにし、かつて仲間であった反オドアケル派さえも罪を着させ、処刑した。
クーデターを画策したユリウスたちを追放(国内には暗殺されたとした)したあとは、天帝空位とし自らは最高権力者として君臨した。
アムナリアとは異父兄妹であるが、本人たちはそれを知らない。
◆アムナリア=ペンドラゴン(26歳……第二部開始時)
ティルナノグの皇族で、ペンドラゴン家令嬢。父は321代天帝アーレス=ノヴァ9世で、319代天帝の姪であり、318代ジークフリート21世の従妹になるため、ユリウスたちの叔母にあたる。
“帝国の剣”“皇室の矛”と呼ばれるペンドラゴン家の公女であるため、自身の戦闘力自体も高い。甥であるユリウスたちに武芸を仕込んだのは彼女であり、サリアにとってはまさに師である。
また、“帝国随一の美女”と揶揄されるほど美しく、彼女に求婚する人は多かった。それはガルザスも例外ではなく、何度も彼女に求愛しては振られていた。
シリウスたちのクーデターが失敗し、処刑されそうになるも、ガルザスの妻になることを条件に救うことに成功した。
実はガルザスと異父兄妹。
◆ランスロット=ペンドラゴン(33)
現ペンドラゴン家当主。爵位は候であり、帝国軍中将。アムナリアの従兄にあたる。
ペンドラゴン家は“帝国の剣”、“皇室の矛”と歌われ、騎士の棟梁として名高く、長い歴史を持つ。その中で、ランスロットは卓越した才覚を持ち、帝国随一の軍人として畏敬の念を集めている。そのため、ガルザスも彼のことを認めており、軍部に関してはある程度実権を委任している。
厳格でありながらも情に甘く、それ故か人望も非常に厚い。
第一次天地戦争が起きると、ガリア解放戦線を潰すべく、帝国軍最高司令官に任命される。
◆ガレス=バース(45)
帝国軍少将であり、“三神将”の一人。ペンドラゴン家を守るバース家の当主。バース家はペンドラゴン家の分家にあたる。
ランスロット卿の幼少期は教師としても面倒を見ており、彼が成人してからは良き相談相手でありながら、主君として忠誠を誓っていた。騎士道精神にあふれ、多くの将官を育ててきた。
◆ガラハッド=シュトラースブルク(31)
帝国軍少将であり、“三神将”の一人。ペンドラゴン家に仕えるシュトラースブルク家の者。
皇族以外(ペンドラゴン家は皇族の遠縁)で少将になったのは、彼が初めてである。
容姿端麗で、“灼熱の若獅子”の異名を持つ。
第二次天地戦争時、ランスロット卿の命で地上東部方面軍司令官に任命され、ソティス軍と戦う。
◆ガヘリス=フォン=エッシェンバッハ(35)
帝国軍大佐であり、“三神将”の一人。ペンドラゴン家に仕えるエッシェンバッハ家の者。
魔法に特化した将であり、それに関しては師でもあるガレスを超えると言われる。
幼い頃のあだ名である“ガルハール”と呼ばれており、ランスロット卿とガラハッドとは兄弟同然に育った。
第一次天地戦争ではカナンの戦いに、第二次天地戦争では地上の南部方面軍の参謀長として参加し、ソティス軍と戦う。
◆アイン=ロロ=グランディア(40)
帝国人事省主席政務官であり、摂政ガルザスの側近。彼の政敵だったオドアケル枢機卿は実父。
本来であれば父及びオドアケル派が粛清されたタイミングで処刑を免れないと思われたが、世間の予想とは裏腹に、彼はガルザスの抜擢で政府中枢の要職に就いた。これにはオドアケル派の残党勢力に一定の配慮を示したとか、或いは彼が父を売った……など、様々な憶測が出ている。
この物語の黒幕。“プロジェクト=ジェネシス”を推進すべく、様々な策謀を張り巡らせる。オドアケル枢機卿の失脚、シリウスたちのクーデター失敗、天地戦争、リタの惨殺……ほとんどのことに、彼が関わっている。
◆オドアケル=グランディア
アイン=ロロの父で、バルザックの祖父。グランの地を治め、爵位は“大公”。天帝の娘を妻にし、枢機卿として朝廷を支配した一時代の権力者。当時の朝廷はオドアケルの息のかかった人物たちで固められていたため、“グランディア朝”と畏怖された。しかし、政治は非常にうまく進めており、地上では目立った混乱も起きず、権力闘争を除けばいたって平和な時代を築いたとも、後の歴史家たちに評価される。
後にガルザス皇子と敵対し、政争を繰り広げるも、自身の娘婿である321代天帝アーレス・ノヴァ9世に反旗を翻され、処刑される。
◆アルヴィン=グランディア
オドアケルの父。元々はグラン伯爵だったが、皇族による政治腐敗を取り除き、朝廷内の混乱を治めたことで“グラン公爵”となり、後に最高の爵位である“大公”を賜る。
当時は外戚から天帝以外の皇族によって政治闘争が繰り広げられており、天帝の権威が落ちていたため、当時の天帝である317代アーレス・ノヴァ8世に帝王学を叩きこみ、彼の絶大な信頼を得て、帝国宰相としても腕を振るった。
その後、“大公”を賜ると野心を膨らませ、自身の息子をアーレス・ノヴァ8世の娘婿にし、外戚として権力を握ろうとした。その矢先に病に倒れ、亡くなってしまう。
◆バイロン=セントジネス(71……第二部開始時)
セントジネス家当主であり、爵位は公爵。セントジネス家は“武門の棟梁”として名高く、ペンドラゴン家と並んで名門と謳われる。バイロン卿はその中でも仁義に厚く、人情味に溢れ人望のある人物として評判で、また帝国内では中立派を堅持しており、ガルザスも彼には手を出さないようにしていた。
セントジネス家は武器を使わない格闘術を専門にしており、元々はアムナリアの師であり、孫娘であるサリアも彼から武を学んだ。
帝国の混乱を憂いつつも、先祖代々政争には関わらないとの信念の下、ガルザスの恐怖政治を黙認していたために、一部の貴族や天空人からは“日和見公爵”とも揶揄された。
サリアたちのユリウス・シリウス兄弟の捜索には陰ながら援助をしていた。
◆フィリップス=ルシタニア(24)
東部エリアの中央政務区であるルシタニアを治める若き領主。若いながらも野心に溢れ、天空都市での反乱を率いた人物の一人。地上反乱軍の首魁であったフィンと接触を図るも、拒絶された。
◆エンヴィー
レナのもう一つの人格。彼女が幼い頃に受けた実父による虐待により誕生した別人格であり、その存在意義は“泣き虫のネガティブな感情を引き起こすものへの粛清”。虐待をする実父から自身の精神を護るためにレナが本能的に作り出した人格であるが、その精神コントロールはエンヴィーが主導権を握っている。
レナと違い、“星の幼子”の力を自由に扱える。それ故、物語上では彼女の圧倒的な魔力の前に歯が立たない。
性格は非常に好戦的で、且つ冷酷。レナとは対照的な性格をしているが、それはレナ自身が求めていた“強い女性像”によるもの。
レナの“セレスティアル”との非常に高い親和性により、エンヴィーは元来レナが扱えるはずの力を行使できるようになっており、そのため太古の記憶を保持している。
◆リリー=エバー
エンヴィーは彼女を“原初のヒト”と呼ぶ。
②用語
◆ティルナノグ帝国
創始歴0001に至上天帝リュングヴィ1世により建国された帝国。初代天帝~8代アーレス4世までは天帝による絶対的な専制君主制だったが、皇族による内乱により一定の権力を朝廷へと委譲され、長きにわたり安定した政治が続いた。
世界を支配し、「天空」と「地上」という階層に分けた。天空においては、天帝及び貴族による支配であり、地上では民主主義的な選挙により各エリアの首相が指名され、一定の権利が与えられていた。そのため、地上においては大きな混乱もなく、現在まで続いていくことになる。
創始歴7900年代に入ると、天帝と外戚による政治闘争が勃発し、混乱に陥る。オドアケル=グランディア枢機卿が権力を掌握したことにより、闘争は一旦落ち着いたものの、反オドアケル派によってガルザス皇子が頭角を現し、再度政権内で混乱が生じる。その後、ガルザス皇子がオドアケル派を粛清し、甥のユリウスを天帝に据え、自身は摂政となることで傀儡政権を樹立し、後の天地戦争へと繋がっていった。
◆天帝
ティルナノグ帝国の皇帝位を兼ねる、ヴェルエス家当主。初代天帝リュングヴィ1世は、世界を統一したことで「天と地を掌握した者」を表す者として、“天帝”となった。天帝はリュングヴィ1世の直系のみ継承ができる。
◆ヴェルエス家
ティルナノグ皇室のこと。生まれながらにして特異なエレメンタルを保持しており、至上天帝が“破壊神”と揶揄された理由の一つ。
様々な分家が存在しており、武芸の棟梁の一つとして名高い“セントジネス家”、騎士の棟梁でもある“ペンドラゴン家”などがある。
◆天地戦争
創始歴7960に勃発した、地上人の反乱による戦争の総称。第一次と第二次の二つに分けられている。
第一次はアクィタニア州首相・アドルフ=アルフォルスが軍事都市カルヌントゥムを襲撃し、ガリア解放戦線の成立を宣言、帝国へ宣戦布告したことで始まった。これを機に、各地から多くの賛同者が参加し、ガリアは瞬く間に巨大化していった。
第二次はガリア~イデアが帝国に敗れた後、その残党軍を再編成し、新たな組織“ソティス”をシリウスが結成したことに端を発する。
◆ガリア解放戦線
アドルフ=アルフォルスが結成した地上人の軍事組織。地上を天空人による支配から解放することを目的とし、創始歴7960に設立された。
当初は地上人による評判も良く、多くの賛同者が集まったが、帝国に連勝していくと、傲慢さが広まったため、各地で“資金提供を呼び掛けるため”と言っては略奪などを行った。
“カナンの戦い”において、帝国に大敗北。アドルフ=アルフォルス及びオーヴァン=イルヴァなどの司令部は全て処刑されてしまい、ガリアは瓦解した。
◆イデア解放戦線
フィン=ディルムンによって設立された軍事組織。ロンバルディア大陸において結成され、ガリアとは違い、ゲリラ戦によって帝国を苦しめた。
アイン=ロロ=グランディアの後ろ盾を得ており、移動戦艦など様々な支援があったため、帝国に連戦先勝した。
ダマスカスにおける戦いにおいて、撤退中にランスロット卿率いる帝国軍に急襲され、フィンが死亡。そのまま瓦解していった。
◆ソティス
フィンの意志を継いだシリウスが、イデアの兵を再編成し結成した地上解放軍。
地上において全ての帝国軍を撃破し、地上の帝都直轄領ロムルスの制圧に成功した。
正規軍と呼ばれるシリウスが率いる部隊と、ゲリラ活動を主に行うロスメルタ隊に分かれている。
◆魔法
体内エネルギーを利用し、外界に現象を起こすこと。様々な属性が存在するが、基本元素と光陰二元素が基礎である。
この頃の人類は大きく分けて「天空人」と「地上人」に分けられており、魔法を扱えるのは専ら天空人のみ。それは建国当初、地上人が力を得ないようにと制御するためのエレメンタルを植え付けたことが起因する。
◆グラン大陸
世界で最も広大な大陸。天空都市群はこの上空に位置する。
グラン大陸は豊饒な土地が多いが、南部は乾燥した大地が広がり、北部は極寒の地で、多種多様な気候を持っている。
また、この大陸は5つのエリアに分かれており、それぞれ4~5地方、計19の地方に分けられている。中央エリアは“ロムルス”と呼ばれ、地上における帝都直轄領となっており、天空都市並みの都市・カナンがある。
◆ロンバルディア大陸
グラン大陸の南東部にある大陸。グラン大陸同様、豊かな大地が広がっているものの、本土から離れているためグラン大陸よりも自由な風土が形成された経緯がある。
ロンバルディア大陸の南東部には遊牧民族が多数存在し、そこには世界で唯一、帝国から“国”として認められている「イデア王国」が存在する。
“ロンバルディア”とは、かつてヴァナヘイム文明発祥の地の名であり、数多くの伝承が残っている。
◆イデア王国
ロンバルディア大陸の南東部にある王国。ティルナノグ帝国から冊封国とされており、自治権を与えられている。
古くは神国戦争時代(現在より1万年前以上昔)から存在していると言われるが、事実は定かでない。しかしながら、この国には原初の文明と言われるヴァナヘイム文明のことがかろうじて口伝で残っているため、確証はないものの世界最古の国と言える。
多くの部族によって形成されており、“五首長族”と呼ばれる部族によって王位が継承されている。現在はエリドゥ家によって王位が保たれている。
◆クイクルム
東部エリア・アガルタ地方にある商業都市。周囲には草木がほとんど生えない乾燥した地だが、各地の交流地点として栄えていた。
◆ダマスカス
南部エリア・キサルピナ地方にある城塞都市。帝都直轄領に繋がる都市で、軍略上重要な拠点と言われる。都市の背後には岩肌が剥き出しの山々が連なっており、難攻不落の“堅牢都市”と称される。
◆ノーレイア
東部エリア・ノリクム地方の大都市。平野部に位置しており、他の都市に比べ非常に大きい。
創始歴7964、ここで帝国軍とソティス軍による、天地戦争最大の戦い“ノーレイアの会戦”が起こり、30万人以上の死者が出た。
◆ロムルス地方
地上唯一の帝都直轄領。中心には天空都市群に繋がる装置もあり、大都カナンがある。
◆大都カナン
“地上の都”と呼ばれる大都市で、ロムルス地方の首都。かつて、グラン大陸を支配していたシアルフィ帝国の首都・ウートガルズがあった場所で、ここの地下深くにある王家の墓所に星の遺産“セレスティアル”が安置されていた。
天空都市に劣らぬ高度な都市で、多くの科学的な実験、軍事的な開発が行われていた。
遥か古の時代、ここは神聖ユグドラ帝国の都が鎮座しており、周囲は海だった。しかし、帝国による破壊兵器“ガイア”の使用により、海底が地上へと露になり、巨大な大陸を形成した。それが現在のグラン大陸である。
◆ペンドラゴン家
皇族に連なる、武門の貴族家。代々、帝国軍の司令官を輩出しており、“騎士の棟梁”と名高く、“帝国の剣”、“皇室の矛”と謳われる。
ペンドラゴン家の人間は氷雪系の魔法を得意としており、家長には“霊剣アロンダイト”が与えられている。また、ペンドラゴン家には3つの一族が仕えており、それぞれもまた帝国軍の幹部を輩出している。これらはペンドラゴン家とは逆に炎熱系の魔法を得意にしており、それはペンドラゴン家が皇室に刃を向けた際、対応できるようにするためのフェイルセイフとなっている。
現在の当主は若き軍神“ランスロット”。
◆霊剣アロンダイト
ペンドラゴン家に伝わる宝剣。透き通るような水色の刀身が特徴で、“霊剣”と評される。
その鍔には核エレメンタルが仕込まれており、星の遺産“セレスティアル”から作成されたものと伝えられている。
◆聖剣エクスカリバー
皇室に伝わる、三種の神器の一つ。初代宰相アベル=フェイウスが作成した、エレメンタル兵器。
エレメンタルでほとんど構成されており、星の遺産“セレスティアル”の一部が組み込まれており、使用者にはそのエネルギーが半永久的に供給される仕組みになっている。そのため、エレメンタルの枯渇というものがない。
また、一時的ではあるが、ヴェルエス家の持つ特殊なエレメンタルを封じ込める力も持つ。それはある意味、神の一族であるヴェルエス家に対するフェイルセイフとも言える役割を担う。
◆星の遺産――セレスティアル
天空都市群を浮遊させている物体。“星の遺産”とも呼ばれ、星のエネルギーそのものと云われる。星の元素“紺碧”によって構成された純精霊石であり、そのコントロールには“星の巫女”たる“ティルナノグの巫女”が必要。
シアルフィ帝国の地下墓地から発見された。
◆シアルフィ帝国
かつてグラン大陸を支配していた大国家。至上天帝リュングヴィ1世はこの国の将兵であり、そこで頭角を現し、地位を確立した。
帝国でありながら、皇帝位は選挙によって選ばれ、他国家に比べ民主主義が進展していた。
帝国の建国当初は世襲制で、その頃の墓地が首都ウートガルズの地下深くにあり、そこに星の遺産が眠っていた。
◆セントジネス家
ペンドラゴン家に並ぶ貴族家。ペンドラゴン家が騎士であるのに対し、ここは格闘術を極めており、“武芸の棟梁”として名高い。
古くはティルナノグ帝国と敵対したシアルフィ帝国の皇室の流れを汲んでおり、決してティルナノグに屈服しなかったため、その意気を認められ、貴族となったとの伝承がある。
そのためか、時の権力者に与することのない中立的な立場を堅持しており、多くの貴族家や民衆からの信頼も厚い。
現当主はバイロン卿で、サリア王女の祖父。
◆神国戦争時代
ティルナノグ帝国の成立より約一万年以上前の時代のこと。当時も世界には数多の国々が列挙し、先進的な科学技術を応用した戦争が繰り広げられていた。それを後世の人々は“神国戦争”と呼び、化学兵器により地上は瘴気に汚染され、さらに破壊兵器の使用により巨大津波が発生、人類の多くは死滅。一部が地下巨大シェルターを建造し、生き永らえた。
◆神聖ユグドラ帝国
神国戦争末期、現在のグラン大陸のある中心地に海上都市群を形成していた巨大国家。かねてより開発されていた破壊兵器に“ある物体”を組み込み、完成させると、その兵器で周辺国家を壊滅に追い込んだ。各国は対ユグドラ帝国連合を結成し、破壊兵器(当時は“大量殺戮兵器”と言われ、人類を滅亡に追い込むと危険視された)の破棄及び帝国の解体を要望した。しかし、当時の皇帝はそれを拒み、全面戦争となった。神国戦争の中で、最も化学兵器の投入された戦争で、人類の未来を救うと大義名分を掲げた連合国軍も容赦なくそれらを使用するという矛盾が起きていた。
連戦連敗を続けた帝国は、海上帝都を包囲されると、破壊兵器“ガイア”を起動する。それは一瞬にして連合国軍だけでなく自国さえも消滅させ、海底の地殻変動を引き起こさせた。結果、巨大津波が発生し、戦争による瘴気で減少していた人類はさらに死滅し、90%以上が死亡したとされる。この影響で、残された人類は地下へと居住地を移さざるを得なくなった。
この地殻変動により、多くの大陸が消失したが、海底が盛り上がり、現在のグラン大陸を形成したと云われる。
◆破壊兵器ガイア
神聖ユグドラ帝国が開発した、究極の破壊兵器。帝国はかねてより最新鋭の技術を駆使し、帝国を形成していた。海上都市群がそれを代表し、帝都はそれの最たるものだった。
帝国は古代ヴァナヘイム文明の文献を発見し、それを基にある“物体”を発見する。当時の研究者たちは、それこそが“この星のエネルギーそのものを孕んでいる”と確証し、それを開発中だった破壊兵器のシステムに組み込んだ。結果、その兵器はエネルギーの枯渇を知らない、無尽蔵に動き続ける兵器となった。皇帝は、それを「星そのものの力」として、“ガイア”と名付けた。
この兵器の初陣では、西方に広がる遊牧民族国家を一夜にして滅ぼし、皇帝を喚起させた。しかし、兵器は止まることを知らず、さらに同盟国をも攻撃し始め、住民全てを殺戮尽くしてしまった。あまりの破壊力に、当時の皇帝は恐怖を抱き、全世界に詫びるのと同時に兵器の封印を約束した。しかし、それから数世代後、世界の支配を目論む“オーディン5世”が兵器の復活を宣言、瞬く間に周辺国家を侵略した。こうして、神国戦争最後の大戦争が起こることとなったのと同時に、この時代は終焉を迎えることとなる。
そう、この兵器のメインシステムなのが“星の遺産”である――。
◆ヴァナヘイム文明
神国戦争時代より、さらに古――原初の文明と呼ばれる、最古の文明。資料が乏しく、存在していたと口伝で伝わるのみである(ティルナノグ時代においては)。現代をはるかに凌駕する科学技術を保持し、ティルナノグ同様、一つの統一政府が世界を掌握していたと云われる。神の怒りに触れたヴァナヘイム文明は、一夜にして消滅したと伝えられている。
◆破壊神エヴァ
ヴァナヘイム文明を滅ぼしたと云われる、伝説上の魔神。空想上のものと思われるが、実際にヴァナヘイム文明は一夜にして滅んでおり、天災、或いは何らかの事象が起きたとされるのは間違いなく、それを“破壊神”と古代の人々が例えたのではないかと云われている。
◆審判の日
破壊神エヴァによって、ヴァナヘイム文明が滅ぼされた日のこと。これに限らず、様々な神話・伝説にも登場しており、一様にして文明の崩壊が記されているため、おそらくだがヴァナヘイム文明のことを指すのではないかとされる。
別の神話においては、“天神ヘイムダル”の怒りに触れたため――とも記されている。ヘイムダルは、後のソフィア教典においては“主神”として扱われている。