~補足~
補足とはいっても、大したことはないです。
ゼテギネア、ソフィア、ティルナノグの人物について簡単に説明したりなんだり。
本編のネタばれみたいなあれです。
ソフィア教国
◆クピト1世 シャルフィル=クピト=レレウィーゼ=ヴェルエス
16歳にしてソフィア86代教皇。84代オディオン5世の次子であり、クーデターで即位した叔父の85代ハロルド10世を倒し、3年前に即位した若き教皇。まだ不穏分子が残る聖都において、ほとんど人前には姿を現さないため、その人物像ははっきりとしない。とはいえ、教国に安定をもたらした手腕はなかなかのものと言える。その正体は東樹ことユグドラシル。
◆ヴァルカン=スウィフト
ソフィア教皇直属の親衛隊総隊長。3年前のクーデターにおいて最も活躍した神聖騎士で、一人で一個中隊を壊滅させたといわれるほどの腕前を持つ。へらへらしているが、仕事はそつなくこなす。今も昔も教皇の右腕と言われる。その正体はシュヴァルツ=グランディア。
◆トルーマン大司教
聖都ソフィア大司教。穏健派の筆頭といわれ、旧大司祭派である保守派と対立している。穏健派であるクピト1世教皇の信頼篤く、今は不在である聖帝中央庁を束ねる枢機卿に推薦されている。
◆セヴェス=フェルト=クピト=ヴェルエス
クピト1世の実兄で、東空のこと。13年前のクーデターで、ある陰謀に気が付いた父・オディオン5世によって弟の樹、母・リリスと共にガイアへテレポートさせられる。そこで、東夫婦に拾われた。
◆オディオン5世 オディオン=フェレス=ノア=セレティア=ヴェルエス
84代ソフィア教皇。弱冠15歳で即位し、何度もルテティアとゼテギネアの戦争の仲介役として、戦争を休戦に導かせた。同族で直系のリリスと結婚し、彼女の妹の夫であるヴェリガン王太子と共に古代ヴァナヘイム文明や、神話・伝説について研究する。しかし、弟のハロルド大司祭によって反乱を起こされ、その最中に戦死する。
ヴェリガンとは幼い頃からの親友同士であり、夢を語り合った。聖帝中央庁の最上部にある隠された部屋に入ってしまい、ジュリアス(2代教皇)の書物を見つけてしまう。そこに「約束の刻」のことが記されてあったため、自分たちで世界を護ろうと考えた。平和の中で道標を見出そうとする彼に対し、ヴェリガンは徹底的な破壊と戦争で二大陸を統一し、人々の意思を一つに固めてから行おうとしたため、徐々にその関係には溝ができていった。
◆リリス=ヴェルエス
オディオン5世の妻。80代教皇の孫娘で、こちらがヴェルエス宗家になる。後継者争いから免れるため、隠されたといわれる。政略結婚ではあったが、夫を支える良き妻として人気があり、相思相愛だった。大司祭による反乱の中、夫によってガイアへと転移されるも、そこですぐに死去する。
◆ハロルド10世
85代ソフィア教皇。オディオン5世の異母弟。兄の即位に従って聖都大司祭になったが、14年前、突如としてクーデターを起こす。兄との確執や、兄への羨望、権力欲に囚われたなど、噂は様々。即位後、国内は不安定になった。彼の傍には、常に黒衣の男がいたとされる。後、甥のシャルフィルの手によって殺される。
神聖ゼテギネア帝国
◆ゼナン5世 ゼナン=ヴィルヘルム=ルートヴィヒ=フォン=ペンドラゴン
神聖ゼテギネア帝国6代皇帝・ペンドラゴン朝ウィルガイア王国22代国王。先帝が急死したため、皇子であった彼は若干7歳で即位した。現在は12歳ながらも、議会との調和を図りながら政務を取り仕切り、王者の才を備えた人物。
母は平民出身であったため、正式に皇后として認められることはなかった。そればかりか、かつての政敵ヴェリガンを崇める旧過激派の帝国議会議員によって暗殺されてしまう(本当は彼を庇おうとして殺された)。3歳で母を亡くし、7歳で父を亡くしたが、それでも強く生きていこうと誓う。何よりもゼテギネアという国を愛し、父が築こうとしている平和国家こそが自分の理想でもあるから。
◆ベオウルフ=ヴォルガンフ=フリードリヒ=カール=ペンドラゴン
神聖ゼテギネア帝国宰相。先帝の異母弟で、ゼナン5世の即位により宰相となる。彼に代わって政務を取り仕切り、事実上の最高権力者として君臨していた。人前には姿を現さず、ほとんどが謎に包まれていた。
父は大帝ベルセリオス6世、母はイデア王家ディルムン家に連なる、とある部族長の娘・クラン。容姿は母方の祖父に似ており、肌の色や髪の色もイデア系。瞳だけは皇室の証「碧眼」であるが、イデアの容姿を色濃く受け継ぐ彼を、ベルセリオス6世は愛そうとしなかった。クランは元々イデアで生活していたが、身を隠してロンバルディア大陸を視察していたベルセリオス6世に見初められ、半ば強制的にゼテギネアへ渡り、当時生まれたばかりだったゼナン皇子(ベルセリオス7世)の乳母として後宮に入る。ゼナン皇子が2歳の時に実母(皇后)が病死したため、彼の母代わりとなっていた。ベオウルフを妊娠するも、生来頑丈ではなかったため体調を崩しがちになり、皇帝が他の女性と関係を多数持つことによって精神的なストレスもたまっていった。ベオウルフがそれを知ったのは兄・ゼナンが没してから。全てを知ったベオウルフは、自分を救い上げてくれた兄のために、平和を愛した母・クランの願いを果たそうとした。
◆ベルセリオス7世
5代皇帝・21代国王。ゼナン5世の父で、ベオウルフ宰相の兄。かつては穏健派の筆頭として父帝との溝を深めたが、即位してからは国を改革させ、対外戦争を一切行わずに国力を増大させた。今までにない皇帝であったため、国民からの支持は絶対だった。しかし、わずか33歳の若さで亡くなる。
ベルセリオス6世の長男で、母はオルドヴァス王の姪(ヴェリガンの母方の従姉)に当たるタニア皇后。母を早くに亡くしたが、代わりを務めたクランに対して大きな感謝を抱いている。だからこそ、クランが思い描いていた「両大国の平和」を築こうとした。そのために父帝との確執、アヴァロン王家を筆頭とする最大派閥との政争……彼自身が最も嫌悪していた血生臭いことを、自らの意思で乗り越えなければならなかった。彼の妻も壊滅させたはずの過激派によって暗殺されてしまい、精神的にも、肉体的にも疲労が蓄積されていた。病に付してからあっという間に没してしまったのも、無理に無理を重ねてきた結果といえる。
◆ベルセリオス6世
4代皇帝・20代国王。ベルセリオス7世とベオウルフの父。厳格で帝国主義であり、積極的に対外戦争を進めてきた。強い皇帝として人気はあったが、敵も多かった。彼の急死によって皇室内部の争いが勃発し、20度目の戦乱は終了した。
◆デュラン=カルヴァス2世
3代皇帝・19代国王。ベルセリオス6世の父。初代皇帝の第4子にあたる。過激派に触発されて、何度もルテティアと戦争を行った。各地で反乱が相次いだのもこの頃。もともとは2代皇帝(兄)の息子である皇子が成人するまでの間の皇帝であるはずが、いつしか権力に囚われ兄の一族を追放、暗殺した。有能な兄とその息子である皇太子を危険視していたとも言われる。
◆アヴァロン王・オルドヴァス
1900年代後半に即位したアヴァロン王で、当時の帝国議会議長。3代皇帝の弟にあたり、初代皇帝の末子になる。過激派によって担ぎ上げられ、後に帝位継承争いに巻き込まれてしまう。本人はその気はなかったが、穏健派の謀略により処刑される。性格は非常に優しく、甥の皇帝とも仲は良かった。
◆ゼナン4世
2代皇帝・18代国王。初代皇帝の長子で、デュラン=カルヴァス2世やオルドヴァスたちの実兄。父にも劣らないカリスマ性と、卓越した政治力を持ち内政においてゼテギネアという複合民族国家を一時的にまとめ上げた皇帝であり、他国からも尊敬されていた。皇太子時代も父の片腕として、ゼテギネア連邦(神聖ゼテギネア帝国の前身)内で国家間の仲介者として活躍した。しかし、在位わずか6年で死去。子供が幼かったため、弟のデュランに後を託した。
◆デュラン=カルヴァス1世
初代皇帝・17代国王。皇帝になるまでは「デュラン4世」と名乗っていた。ゼテギネア連邦と対立していた国を滅ぼし、連合国家「神聖ゼテギネア帝国」を成立させ、皇帝となった。アルカディア大陸(ソフィアのリーベリア地方を除く)を統一したのは、約2000年ぶり。畏敬される強い皇帝であったが、帝国を力技で成立させたため、各地で反乱などが相次いだ。
◆ヴェリガン=オットー=ゲルド=フォン=ペンドラゴン
オルドヴァス王の嫡男にして、アヴァロン王太子。当時の帝国の中では権力の在った若者で、帝国海軍総督。皇帝独裁主義を掲げ、帝国の改革を進めようとしていたため、父よりも彼の方が過激派の筆頭であったとされる。皇帝に近づき、その派閥は日々力を付けるばかりで、議会は完全に彼に支配されていた。義兄であった教皇と共に、歴史学・次元学を積極的に研究していた。帝国の実権を握るために暗躍したが、政敵であるゼナン皇子によってその夢は砕かれ、ガイアへと逃亡した。
オディオンとは幼い頃からの親友であり、世界が崩れる瞬間――「約束の刻」を知ってしまってからは、お互いにそれを食い止めるべく研究を重ねていた。元々は世界を護るため、その意思だけであったはずが、いつしか殺意へと変貌した。それもこれも、妻であるニーナが死んでしまったからであろう。彼女の存在が彼にとって、ある意味で全てとなっていたから。帝国を牛耳ろうとしたのも、戦争へ繋げようとしたのも、国が多く別れているからだという彼の考えがあってこそ。イデアを除けば、二大陸の民族は地上人の末裔。統一――民族的な同化を行うことは、何も間違ったことではないと考えていた。
ガイアへと身を隠してからは、レイディアントとガイアを掌握すべく、自分の息子を利用しながら計画を進める。しかし、最後はその息子によって殺される。
◆ニーナ=ヴェルエス・ペンドラゴン
ヴェリガンの妻で、王太子妃。オディオン教皇の妻・リリス=ヴェルエスの双子の妹で、政略結婚としてアヴァロンへ嫁いできた。幼い頃からヴェリガンとは知り合いで、軟禁先であった帝都でよく遊んでいたという。政略結婚では会ったが、夫婦仲は良く、帝都では二人の仲睦まじい姿がよく見られたと言われる。後に、夫と共にガイアへ逃亡するも、息子の出産と共に死亡する。
◆リオン=フェイト=ウルク=フォン=ペンドラゴン〈柊修哉〉
ヴェリガンとニーナの長子で、インドラの幹部筆頭。父の片腕として、レイディアントとガイアで暗躍していた。父から全ての才知を受け継ぎ、母の聖なる力を受け継いでいたため、他を圧倒する剣士だった。今回の事件ほぼ全てに絡んでおり、父を殺して全てを手に入れようとしたが……。
彼は何を望み、何をなそうとしたのか。真意は遥か深淵に沈んでしまったが、そこかしこからそれをわずかに感じることはできる。
インドラ
◆ユグドラシル
秘密組織インドラを総括する者で、幹部の筆頭。『オリジン』と呼ばれる。正体は不明ながら、その能力は他人を遥かに凌駕する者であり、世界の秘密を知っている数少ない人物。正体は教皇クピト1世こと東樹。
◆シュヴァルツ=グランディア
インドラの幹部の一人であり、ユグドラシルの片腕。笑顔の裏には残虐性があり、相手が誰であろうと容赦しない。基本的にオリジンの命で表で行動しており、ステファンなどと面識があった。伝説の一族・ラグナロクの人間で、リサ(リリーナ)の従兄。
◆バルバロッサ=グランディア
インドラの幹部の一人であり、ユグドラシルの片腕。シュヴァルツの双子の兄。見た目はそっくりで、性格もそっくり。シュヴァルツとは違って裏で暗躍し、巫女の誘拐は彼担当。シュヴァルツとはエレメンタルを共有し合っており、それを利用して本来引き出せるはずの無い力を引き出している。
◆ホリン=ガルディオス
インドラの幹部の一人で、剣士。戦闘狂であり、誰かまわず闘おうとしている。イデア王家の出自で、皇隆王の甥にあたる。
◆ミランダ
インドラの幹部の一人で、聖霊術師。見事なまでのスタイルを持ち、リサを超える美人。誰もが振り向いてしまうほど。雷鳴系の魔法を得意としており、本来一般人は扱えない禁呪や聖魔術を扱える。
出自はルテティアで、某大貴族の奴隷だった。元を辿ればシュレジエンの原住民の末裔で、魔法に特化しているのはシュレジエンという土地が、ティルナノグ時代のエレメンタル実験による失敗作の流刑地であったため。奴隷で居続けることが自分の人生であると悟っていたが、ヴェリガンによって潜在能力を開花させられる。
グラン大陸
◆アブドゥル
大樹の町ヴァルハラの村長。体毛はほとんど白くなっており、かなりの老齢と見られる。祖先はティルナノグ帝国期の貴族階級・天空人とされており、その戒めを護っている。
◆シェリア
アブドゥルの孫。女の子だが『僕』口調で、あんまり女の子らしくない。増えを奏でるのが好きで、風や動物を集めることができるという不思議な能力の持ち主。実は拾われっ子で、以前の記憶を有していない。
物語の最後で、全てを悟ったソラは彼女のことを「シルヴィア」と呼ぶ。それが何を意味するのか、そしてリーヴェでの会話……。
古代ティルナノグ帝国
◆リュングヴィ1世 カイン=ウラノス
初代皇帝・初代天帝。すでに神格化された人物で、多神教においては神の一人に数えられることもある。完璧なまでの統率力とカリスマ性を持ち、数年にして3大陸を制圧したといわれるが、それは彼の超人的な戦闘能力によるものが大きい。
◆アーレス1世
3代天帝。リュングヴィ1世の孫にあたる。祖父にも勝るとも劣らない人望を得て、帝国を動かした。祖父の片腕と言われたフェイウス卿の孫娘を皇后にしており、フェイウス家は外戚として権力を握っていった。
◆フェイウス卿
リュングヴィ1世の片腕。常に傍にいて、助言を与えていた参謀。帝国成立と共に宰相に就任、セレスティアル大公・シアルフィ王に封じられた。ティルナノグの技術は、彼の手によるものが多い。出自や経歴等は資料が非常に乏しいため不明となっている。後年になって彼の資料や開発された多くのもの――天空石、反重力システム、そして浮遊論のデータさえも消されていた。