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BLUE・STORY  作者: 森田しょう
◆1部:僕と彼と彼女たちの日常
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8章:さようなら 近くて遠い星への旅路へ


 メールが届いた。修哉からだった。


「3週間の停学処分」


 退学ではなかった。それで少しホッとした。

 学校では、やはり修哉や和樹のこと、そして僕のことで話題が持ちきりだった。クラスメイトは僕から一歩引いたところで知らないふりをしているようだった。良くも悪くも、空の話は出てこなくなった気がする。

「…居心地、悪いね」

 美香は頬杖をつきながら言った。

「ギシギシしてる。嫌な空気だよ、ホント」

 いつになく、啓太郎はイラついていた。無理もない。

「こんなにも学校が嫌だなんて、生まれて初めてだよ」

「…………」

 啓太郎が言っていることには、ある程度同意だな。そう言っておきながら、啓太郎はちゃっかり来ているわけだし、自分と美香もそうだ。

「……それにしても、日常なんてのは簡単に変わっちゃうものだな……」

 僕は他愛もないように話しているクラスメイトたちを眺めた。大笑いしたり、ゲームの話で盛り上がったりしている。

「つい最近までは僕たちにとっての普通があったのに、今ではいつか割れてしまいそうな湖の氷みたいだ」

「何かあれば、すぐに以前みたいなことが起きるってこと?」

 美香がそう言うと、僕はうなずいた。

「対人関係はもろいよな。なのに、なかなかそれがわからない」

「……そういうもんだよ、きっと」


 昼休み。教室では食事しにくいので、僕たちは屋上で食事をしていた。

「修哉、停学3週間なんだね」

 美香はご飯を口に運びながら言った。

「まぁ……あれだけのことをやっておいて、退学にならなかっただけマシだよ」

 僕は苦笑いをしてしまった。危うく、殺すところだったからな。

 ……それにしても、修哉ってあんなにパワーがあるんだな。拳が床にめり込んでたし……格闘家もびっくりだろうな。

「和樹も退学にならなくてよかったよ。相手を骨折させちゃったのにさ」

「あいつはそれなりに優等生だからね。それに、生徒会役員でバスケ部のエースだ。学校側も、一回くらいは許してあげるつもりなんだと思う」

 啓太郎の声には元気がなかった。啓太郎は和樹と幼いころからの知り合いだ。つまり、僕にとっての修哉のような存在だ。

「そう言えば、空も生徒会だよね?」

「ん? そうだけど……」

 すると、美香と啓太郎は目を合わせて笑い出した。

「な、なんだよ?」

「なんか……空って、あんまり生徒会役員としての風格が漂っていないっていうか…」

「影が薄い、かな」

「あのなぁ……」

 どうせ書記ですよ。ふん。



〈2年3組出席番号3番、東空君。1年1組27番日向海さん。至急、校長室へ来てください。繰り返します……〉



 校内アナウンスだ。

「空と海ちゃん…? なんでまた……」

「…………」

 どことなく、嫌な予感がする。

「…とにかく、行ってくるよ」

「弁当食べてからでいいだろ? 絶対に昼休み終わっちゃうよ」

「そしたら授業サボるよ」

 僕はそう言って笑い、屋上から出て行った。



「失礼します」

 ノックをし、僕は校長室に入った。ここに入るのは初めてだ。よっぽどの用事がなければ来ないところだし、来る理由のないところだ。

 校長室にはすでに、海が来ていた。

「あ…空」

 僕はうなずき、彼女の隣に座った。

「…校長先生、一体何でしょうか?」

 僕はうろついている校長に話しかけた。

「…うむ。実は、君たちに用事のある方々がお見えになってるのでね…」

 すると、校長はもう一つの部屋に案内した。そこはお客様用の部屋…のようだった。長いソファーが二つあり、それに挟まれるように木製のテーブルが置いてある。

 一つのソファーには背広を着た男性が、たばこを吸いながら座っていた。その後ろに、同じような背広を着た男性が立っていた。それも、背筋を真っ直ぐにして。

「お待たせいたしました」

 校長は座っている男性に一礼した。

「…では、校長先生…」

「あ、はい」

 男性の低く、冷たい声が放たれると、校長はこの部屋から出て行った。

「……………」

「…何してる。座りなさい」

 座っている男性は顔も動かさず、目も動かさずにそう言った。僕たちはとりあえず、反対側のソファーに座った。

 目の前の男性は、オールバックのひげ面だ。年齢は…40代前後だろうか。後ろの人はまだ若輩者で、20代前半だろう。

 それにしても、なんだ…この異様な空気は…。

「…空……この人、なんだか怖い…」

 海は男性に聞こえないくらいの小さな声で言った。僕は「大丈夫」と返した。

 男性は何も言わず、持っていた何枚かの書類を眺めていた。

「アズマ……空、君だね?」

 すると突然、男性は僕に目をやった。

「…はい」

 少し驚いたが、落ち着きながら答えた。

「ヒナタ……海さん?」

「は、はい」

 心なしか、海の声は小さかった。

「さて、と」

 男性は書類をきれいにまとめ、後ろの男性に渡した。

「君たちがどうしてここに呼ばれたのか、わかるかい?」

 前のめりになった男性は、たばこをくわえながら言った。

「……いえ」

 とりあえず、僕が答えた。

「ふむ、なるほど。では……」

「あの、その前に」

 僕は手を挙げた。

「まず、あなた方が誰で、何なのか教えてくれませんか? 何も知らされないまま呼び出されたので、困惑しているんですが」

 そう言うと、男性はじーっと僕を見た。そして、たばこを口から離した。

「……困惑していると言う割には、冷静に見えるのは気のせいかな?」

「気のせいですよ。僕はともかく、彼女が困惑していると思います。な?」

「えっ? え……と、はい」

 海はきょろきょろして言った。なるほど…この人たちが誰なのか、わかった。

「とにかく、誰かなのか教えてくれませんか?」

「…ハッハッハ……なるほど」

 男性は少し笑い始めた。

「たしかに、何者なのかも教えぬまま話を進めてはならないしな。…私たちは警察だよ、空君」

 警察…。やっぱりな。

「私たちが誰なのかを言えば、なぜ君たちが呼び出されたのか容易に理解できると思うのだが……どうかな?」

「…空のことですか?」

 そう言うと、男性はうなずいた。

「5月12日の夕方……日向空さんが行方不明になった。その現場で、君たちは気を失って倒れていた。…そうだね?」

 僕たちは何も言わず、うなずいた。

「…同級生で親友の柊修哉…彼によって救出された…だね?」

 再びうなずいた。

「…単刀直入に聞こうか」

 男性はたばこを吸い、フー……と煙を吐いた。

「あの、たばこはやめてもらえますか? 未成年の前ですよ」

 僕はズバッと言った。

「…そうだったね」

 男性はたばこを消し、灰皿に置いた。

「…君たちは彼女がさらわれる現場にいた。それは間違いない。なら…誘拐した犯人を見たはずだ。それについて教えてもらいたいのだが…」

「…体が大きく、そう…2メートル近い身長をした男性で、格闘家のような筋肉を持っていました」

「……服装は?」

「全身を黒いタイツできていて、青っぽいベルトをしていました。フードのようなものを深くかぶっていたので、顔はよくわかりませんでした」

「なるほど……」

 すると、男性はソファーにどっしりと座った。

「…では、次は海さんに答えてもらおうか」

 男性は視線を海に移した。

「校内で空君が殺して埋めたんじゃないかという噂が流れていることについてどう思うか…答えてくれないかな?」

「えっ…?」

 海は表情がこわばった。

「待ってください。そういう話を彼女に……」

「私は彼女に質問をしている。……君には訊いていないんだよ」

「…………」

「…それで? どうかな…海さん」

「…噂は、ただの噂です。何も知らない人が勝手に空想で話して、それが勝手に独り歩きして……。真実とは全く違います。それは、現場にいたからはっきりと言えることです」

 海は強い言動だった。

「…なるほどねぇ…」

 男性は視線を下にやると、すぐに上げ、今度は僕を見た。

「…それにしても、空君。君は幼馴染がさらわれたっていうのに…冷静だね」

「…………」

「普通、目の前でさらわれたらショックがあるだろうし…。なぜ、そんなにも冷静でいられるのかな? それとも、たいして気に留めることでもないということかね?」

「何言ってんですか! 空は…空は…!!!」

 海は突然立ち上がった。

「海、よせ」

「でも……!」

「いいから、座れって」

「………わかった」

 海は顔をそらしながら座った。

「…それで? 質問に答えてもらえるかな」

「…………」

 僕は小さくため息をついた。

「…僕は冷静でいないといけないんです」

「……ほう…なぜかな?」

「そこまで、あなた方に言う必要なんてないと思いますが?」

「! なんだと…!!」

 すると、後ろの男性が動いた。

「安原。お前は黙ってろ」

「…………はい」

 再び、石のように止まった。さっきから、僕の言動にイライラしていたんだろうな、あの人。ざまぁみろってんだ。

「…君は面白いな」

「………?」

 男性は自分のあごひげを触りながら、僕を見ている。

「君はその年齢で自分を押し殺そうとしている…。誰にでもできることではない。…彼女たちの存在が、君をそうさせたのかもしれないな…」

「…………」

「だが、覚えておくといい。君のその能力は果たして、結果的に最善の事態を招くとは限らない。たぶん、そうした経験は何度もあるはずだ…」

「…余計なお世話ですよ。誰も、あなたに精神分析なんか頼んではいないと思いますが? それとも、そういうのが趣味ですか? だとしたら気味が悪い趣味ですね」

 僕はあざ笑うかのように微笑んだ。

「その口のきき方、いい加減にしろ!!」

 後ろの下っ端が突然、怒鳴った。

「…安原……貴様がいい加減にしろ…」

 男性は後ろへ振り向かないまま言った。

「し、しかし、克正さん……」

「安原…今日、この場でしゃべることは許さんと最初に言ったはずだ…。それ以上しゃべったらどうなるのか…わかっているのか……?」

 ゾッとした。背筋に、氷を突然つけられたような感覚だった。それは、海も同じだったに違いない。

 でも、この感じ…誰かに似てる気がする…。

「…まぁいいだろう…。今日はここまでにしておこうか…」

 そう言って、男性は立ち上がった。

「…君たちも帰っていいよ。…すまなかったね、昼休みの最中に…」

「…………」

 まったくだ。昼飯、食い損ねたじゃんかよ。

 僕たちは立ち上がり、部屋から出て行った。警察の二人も、同じように出て行った。

 校長室に入った時、突然、廊下への出口のドアが開いた。そこから、停学中である修哉が入って来たのだ。なぜか制服だった。

「しゅ、修哉!?」

「修哉君!」

「…よっ」

 修哉は小さく手を挙げた。そして、何なのかよくわかっていない校長の前に立った。

「校長、これを」

 すると、修哉はポケットから何かを取り出し、校長の机に置いた。

「…これは…!!」

「俺、今日限りでこの学校を辞めます」

「!!?」

 や、辞める!?

「修哉、ど、どうして……!?」

「…いいか、空。こいつら、なぜ俺を退学にしなかったんだと思う? なぜ、十数人に大ケガをさせ、一人は精神病院送りにしたのに、処分はたかが停学なんだと思う?」

「えっ……?」

「それは、俺が全国トップレベルの成績の持ち主だからだよ」

「……!!」

「こいつら教師は、自分たちの手柄を離したくないがために、俺を退学にさせなかったんだ。考えてもみろ。唐橋を含め、3年生の5人は退学処分だ。あっちから手を出したとはいえ、あまりにも理不尽な処分だ」

 座って口を開けている校長を、修哉は見下していた。

「自分たちの利益のために、評価のために生徒を犠牲にする。……空。世界ってのは所詮、こんなもんだよ。限りなく理不尽で、限りなく不公平なんだ。学校では教師たちの欲望が渦巻いている。俺たちは、そんな奴らのための捨石にされる。……そんなこと、俺は認めない。絶対に認めない。…だから退学を決意した」

 修哉は僕に顔を向けた。

「…でも、これからどうするんだよ!? 高校を中退したら……」

「そうだよ! せっかく、修哉君にはいい大学にいけるほどの能力があるのに…」

 僕たちがそう言うと、修哉は笑顔で首を振った。

「高校中退だろうがなんだろうが、俺は俺のために生きる。俺は生まれた時から俺のものだ。何かを失って、何かに傷つけられたとしても…世界が俺を否定しようとも、俺自身が正しいと信じた道を選ぶ。俺は…俺たちは決して独りじゃない。そうだろ?」

「……修哉……」

 その時、自分の心の中で何かが動いた。

「高校に通わなくたって、大学に行かなくたってできることはいくらだってあんだよ。自分が諦めない限り、俺の道は閉ざされない。そう信じてる。馬鹿にされようが、けなされようが、そんな奴らは放っておけばいい。俺にはお前たちがいる。…それだけで十分だ。それだけで、笑顔でいられる」

 心の在り方…。どうやって生きるのか。逃げないで、駆けてゆけるのか。

 

 自分は…何をしたいのか…。


 すると、オールバックの男性が修哉に近づいて行った。何も言わず、ただにらみ合っているように見えた。

「……これは、ある意味あんたが望んだことだ。文句は言わせないぜ?」

 修哉はニヤッとして言った。すると、男性もフッと微笑んだ。

「…いいだろう。お前が何をしようとし、何をしたいのか…よくわかっているつもりだ。私の知る範囲内で、好きなようにやるがいい」

「…………端っから知ってるさ、そんなことはさ……」

 修哉がそう言うと、男性は不敵な笑みを浮かべたまま、出口へ向かった。そして、僕に振り向いた。

「……これからも、仲良くしてやってくれ。空君…」

 不敵な笑みを浮かべた。そして、下っ端の警察官を連れて出て行った。

 そうか……あの人は……

「…まさか………修哉君のお父さん…?」

 聞いたことがある。修哉のお父さんの職業は…警官…だと。



「悪かったな、変な時にあんな話しちゃってさ」

 廊下。修哉は窓の外にある中庭を眺めていた。

「…………」

 海はふてくされていた。

「そんな顔しないでくれ。これは、俺が決めたことなんだから」

「…勝手に辞めるだなんて…ひどい」

 修哉は「参ったな」と言いつつ、微笑んだ。

「……俺は自分ができる、精一杯のことをするためにここを辞める。そもそも、俺は前々から辞める予定だったからな」

「えっ…?」

「ずいぶん前から決めてたんだ。俺はここにいるべきじゃない。ここにいて、親の敷かれたレールを進むことが、俺の進むべき道だとは到底思えなかったんだ。俺が行く道は誰かに決められたものでも、定められているものじゃない。己自身で定めるものだ。…俺は、その当たり前のことをしたまでってことさ。こんなんでも、かなり熟慮した結果なんだよ」

 修哉の目はキラキラと輝いていた。それが、とてもうらやましかった。

「……修哉、お前…何をするつもりなんだ?」

「…………」

 修哉は腕を組み、考え始めた。

「……まだ漠然としたものなんだけど、要するに……」

 彼の顔に、僕と海の視線が向く。

「……世界を変えるようなことをしたい。そんで……理不尽な運命とやらをなくしたい。……ハハ、何言ってんだか」

「…………」

 恥ずかしがりながら照れるその姿の中に、修哉の決意は確固たるものなのだと認識させる、何かが見えた。

 僕にはそのような決意はあっただろうか。修哉の決意と同じほどの強固な意志を持っていただろうか。「彼女を助ける」というのは己のしようとすることではなく、ただの願いだったのかもしれない。

 そういう風に考えてしまうことさえ、自分は軟弱なんだと知らしめるものだった。こうやって考えてしまうのは自分の悪い癖だ。ネガティブ思考…。

 どれほど彼女のことを愛しているのか…。少し考えれば、わかることではないだろうか。自分のことは、自分がよく知っているはずなのに。



「…あれ? 修哉じゃないか。なんで?」

 教室へ戻る途中にある渡り廊下で、美香と啓太郎が待っていた。

「二人とも、何してんだ? 授業中だろ?」

「少しくらい大丈夫よ。それより、大丈夫だった?」

「…まぁね。イラついたけど」

「突っかかりすぎだと思うけど……」

 海は苦笑していた。

「ところで、修哉はどうしたんだよ?」

 啓太郎が言った。

「ん? 退学届を出しに来たんだよ」

「…へ?」

「えっ?」

 この後の、啓太郎と美香の驚きようは半端ではなかった。




「どうしたんですか? 柊さん」

「…………」

 修哉の父・克正は校門の前で立ち止まった。

「…なかなか、面白い少年ではあったな…」

「? 東空ですか? ただの悪ガキですよ。口のきき方ってのがなっちゃいない」

「フッ……お前たちなら、そうとしか思えないだろうな……」

「……はい?」

 克正は上空を見上げた。

「……どのような器になるか……これもまた、一興だな……」




 夕食を食べ終えた後、僕は部屋のベッドの上で仰向けになっていた。


「俺自身が正しいと信じた道を選ぶ。俺は…俺たちは決して独りじゃない」


 修哉の言葉が刻まれた、僕のつたない脳みそ。今でも、あの時のように心拍数が高い。はっきりとわかる、己の鼓動。

 何かが動き出そうとしていた。

何かが、僕の中で行動を起こそうとしていた。

 正しいのかどうか、わからない。少なくとも間違ってはいない。そう信じられるほどの決意が、僕の中で産声を上げようとしていた。でも、それを認めるということは、今ある全てを捨てなければならないということ。

 決意を固めるというのは、そういうこと。

 こうして思えば、自分はどれほど助けられ、支えられて生きて来たのかがわかる。僕の周りには大切な人が多い。多すぎると思うほどに…。

 こんなにも愛されていて、こんなにも生きることが大切だなんて思いもしなかった。本当は単純なことなのに。なぜなら、人はちょっとしたことで幸せを感じる。ほんの少し、大切に思われるだけで…「ここにいたい」という気持ちを強くできる。


 今、ここにいたい。


 それでも、僕はやろうとすることがある。すべきことではなく。それは自分が望んだことであり、自分が生きる意義そのものなんだ。

 この世で最も愛している人を助ける。それが今、唯一の願いであり、僕がすることだ。平穏な場所で過ごしていたって、何も変わりはしない。自分で変えようとしなければ、今の現実は変わらない。大切な人はいないままだ。多くの人の心に穴を空けたまま、鳴りを潜めるわけにはいかない。

 愛する人とともにいたいと願うのは、至極当然なこと。

 そして、それは人としての意義、そのものなんじゃないだろうか。

 何かを得るには、それと同じ代償が必要。僕にとっては空と、今の世界なんだ。どちらも大切だ。できれば、どちらも捨てたくはない。でも、僕は選んだんだ。自分が今、精一杯しようと思うことを。

 どれが大事なのか………優先順位があるわけではない。どちらかが一方、捨ててもいいものではない。そもそも…比べること自体が違うんだ。どれも独立した大切なもので、自分を支えてくれるもの。そして、それらもまた、支えを必要としているものなんだ。彼女が支えを必要としているように、他のものもまた、支えを必要としている。

 僕にできること。それは、もうわかった。これ以上、考える必要はない。



 …僕は空のために存在していて、彼女の存在は己の存在の証…



 そんな気がした。そう思うと、自然と顔に微笑みが出てきた。

 その時、携帯が鳴った。電話だ。画面には、海の文字があった。

「…もしもし」

「今、部屋?」

「ああ。どうした?」

「…ちょっと、空の所に行ってもいい?」

 どこか、彼女の声が震えている気がした。

「あぁ…うん。でも、ちゃんとおばさんに言っておくんだぞ?」

「うん、わかった。じゃあすぐに行くから…」

 ……何かあったのだろうか。喉に引っ掛かる感じというか…。


 コンコン

「はい?」

 返事をすると、部屋のドアが開いた。

「…お邪魔するね」

 海は声を小さくしながら言った。

「そこら辺に座れよ」

「うん、ありがと」

 海は僕の隣にちょこんと座った。僕はほほをさすった。なんだか痒かったんだよ。

「ごめんね、もう8時なのに……」

「いいよ、別に。どうせ明日は休みだしさ」

「……明日はもう土曜日かぁ……」

 海は小さく息を吐いた。

「…んで? どうした?」

「…え?」

 海は僕に顔を向けた。

「元気がなさそうだった。何か、相談したいことでもあるんじゃないのか?」

「………」

 僕から目をそらし、彼女はうつむいた。

「やだな……。空には、お見通しなんだね…」

「…何年お前たちの世話やってると思ってんだ?」

 そう言うと、彼女は少し微笑んだ。

「そうだね…。もう、何年になるんだろ…」

「もう…13年かな。うろ覚えだけど、あの頃のお前はおとなしい女の子だったよな」

「何よ。まるで今はおとなしくないみたいじゃない」

 海は顔を膨らませて見せた。

「…いや、本当の部分では今も昔も変わらない」

「…………?」

「お前は…本当は空と同じで、おしとやかで…つつましくて、おとなしくて…泣き虫で。そう見せないのは、お前が自分らしさを作ろうとしたからだと思う」

「…………」

「海は、空と比べられるのが嫌だった。だから、髪の毛を短くしたり、服装を違った感じにしてるんだろ?」

 海の瞳は潤んでいた。水面のように、揺らめいている。

「…空の双子…。そういう風に言われたくないから、そうしてたんだろ? …でもな、僕は今も昔も、お前は変わってないと思うよ」

「…え?」

「…今も、昔もお前は変わらない。何一つ変わっていない。そして、空とは全く違う、優しく…かわいい女性。僕の…大切な幼馴染さ」

 それは本当の気持ちだった。見た目は一緒かもしれないが、中身は違う。たとえ双子ではあっても、人はそれぞれ違う心を持っている。

「空……」

「…泣くなよ」

 彼女の瞳からたくさんの涙が流れ落ちていた。

「…だって……だって…」

「…だって?」

「……本当は…すごく怖かった…。黒い何かが、私を殺そうとしてて……私が助かる代わりに、お姉ちゃんがさらわれて……」

 自分が助かったから、空がさらわれた。海は自分を責めてる。けど、どうしもうもなかったことだとわかっている。それでも、自分を責めてしまうのは、彼女の心がもろい代わりに優しいからだ。それは……空も同じだった。

「お姉ちゃんは苦しんでるのに……私は空と一緒にいたりして……」

「…海…」

「今だって……そんなこと言われて……うれしくて……」

 涙を拭っても拭っても、彼女の涙は止まらなかった。

 嬉しさと罪悪感に挟まれて、海は苦しんでいた。それが痛いほどわかってしまう自分も…苦しかった。

「……空……」

 海は涙を拭い、顔を上げた。その表情には、何というか………決心の想いが込められた顔だった。


「……私じゃ………ダメなの?」


 僕の思考が停止した。

「私はお姉ちゃんみたいにおしとやかじゃないし、勉強もできるわけでも、かわいらしくもないけど………」

 彼女の瞳は潤んでいた。

「……でも、空に対する想いは負けない。空のことを誰よりも好きだって……自負してる」

「……………」

 一瞬緩んだ瞳は、強い視線に変貌した。

「私は誰よりも……空のことが好き。大好き」

「……………」

「だから………傍に居させて。ずっと………ずっと………」

 海は顔を沈め、僕をそっと抱き締めた。………肩が小さく揺れていた。怖いのか……緊張しているのか……。

「……………」

 僕はゆっくり、彼女を引き離した。

「……空?」

「…僕は、空を裏切れない。僕が好きなのは……お前じゃなく、空だから」

 はっきりと言わなければならない。…いや………彼女はわかっているはずなんだ。それをまだ……認めていないだけ。

「僕は空が好きだ。……それは紛れもない真実なんだよ」

「…………」

 彼女は何も言わず、僕を見つめていた。先ほどの強い視線は、すでに消え失せていた。

「……だから、逃げるわけにはいかない。温もりを求めて、あいつに似ているお前に逃げ込むわけには……いかないんだ」

 逃げ込んだら、楽になるだろうさ。その時だけは。……その後に待っているのは、大きな罪の意識と真実の想いの狭間で、僕は永遠に苛まれることになる。…それだけは嫌なんだ。結果的に空を……いや、海も傷つけることになるのだから。

「……僕の答えはこれだけだ。……もう…………」

「………………」

 海は顔を俯かせ、無言のまま1分が過ぎて行った。その1分が、どれほど長く感じたことか。

「……ごめんね、馬鹿なこと言って……」

「………………」

 彼女は何かを消し去るかのように、頭を振った。

「私は……さ……、お姉ちゃんみたいに………大好きな人に………大好きだよって言われたかったんだ」

 悲痛な面持ちで、彼女は続けた。

「……誰かに、大事にされたい。それだけなの……」

「………僕は、お前のことを大事に思ってる。それは―――」

「違うよ」

 彼女は僕の言葉を遮った。

「……空の言ってること、わかるよ。けど………そういうこととは、違うんだよ。ぜんぜん違うの。……私が求めてるものとはさ……」

 天を仰ぐかのように、彼女は天井を見上げた。

「大事にされたいってのは………大事にされて、大切にされることとは違う。本当の意味で……その人の……その人だけの………私になりたい………。そういうことなんだよ……」

「……………」

 僕が言っていることは、所詮……その場しのぎの言葉だったのだろうか。それとも、自己満足に過ぎない……相手を生殺しにしていることだけなのかもしれない。僕は……大バカ者だった。

「……ごめん、海……。僕は……浅慮だったよ……」

「………ホントにそうだよ……ホント……」

 僕は言葉が無かった。

「……だから、さ」

「…………?」

 それは、一瞬だった。ほんの一瞬の隙を取られた。


「………!!」

「……………」


 海は僕にキスをした。ほんの一瞬の隙をついて……1秒間ほど。

 彼女はそっと離し、僕を抱きしめた。

「お、お前………!」

「最後のお願い………聞いてくれる?」

 海は僕の質問に答えず、言った。

「お願い………少しの間だけ、抱きしめて………」

「……海……」

「…お願い…。ほんの……ほんの少しだけでいいの……」

「……………」

 僕は何も言わず、彼女を抱きしめた。

 細く、小さな肩。爽やかなシャンプーのにおい。…空と同じ。

 …ああ……わかってる。僕は…迷わないと決めた。己が定めたものに、素直に生きていく。どこかで壊れてしまうとしても…。

「やっぱり…ほっとする…」

 海は小さな声で言った。

「…空が傍にいてくれるだけで……すごく…」

「…そりゃよかった。お前が泣き止まなかったら、大変だもんな」

 そう言うと、海はクスッと笑った。

「…いつもね…」

「…ん?」

「…いつも……夜になると眠れなかったんだ…。でも、空がいてくれると…」

「…ここで寝な。傍にいてやるから」

「ホント? ……ありがとう……空……」

 しばらくすると、海のかすかな寝息が聞こえてきた。僕は彼女をゆっくりとベッドに仰向けにさせ、布団をかけた。

「…ごめんな…。約束……守れそうにない……」

 眠る彼女の表情は、とても穏やかだった。遠い夢の中で、空と一緒に過ごしているのだろうか。

 花舞う地で、彼女はしばしの夢に就いた…。

 僕は支度を始めた。とは言っても、必要最低限のものだ。お金はいらないだろうし(紙幣が違うと思う)、武器なんてものもないし。歯ブラシだって…まぁ必要かな。

 机に就き、手紙を書いた。




「…みんなへ。空を探しに行きます。心配しないで…という方が無理だと思うので、まぁ気長に待っててください。なんにしても、必ず助けます。


 さて…こうして手紙を書くと何を書こうか迷ってしまうものですね。…とりあえず、感謝の想いをつづりたいと思います。


 父さん、母さん。これまで育ててくれて、ありがとう。わがままを聞いて、ここまで大きくさせてくれたこと…本当に感謝してます。あなたたちの息子として産まれたこと…あなたたちの下で育ったこと…幸福に感じます。いつか帰って来た時、もう一度、二人の息子として過ごさせてください。


 おじさん、おばさん。空を護れなくて、本当にごめんなさい。自分の無力さに歯がゆいです。…けど、必ず助けだし、笑顔であなたたちに会わせます。その時まで、どうかお元気で……。


 和樹。お前が啖呵をきってクラスメイトを殴ったこと…傍から見れば、乱暴としか思われないかもしれない。でも、僕はお前のことを誇りに思う。お前がしたことは許されないかもしれない。それでも、僕はお前のしてくれたこと…うれしかった。お前と高校で出会えたことは、本当に幸運だと思うよ。


 啓太郎。お前はいつだって冷静で、ほつれかかった僕たちの糸を結び直す役目をしてくれていた。誰よりも他人の気持ちを考え、察するお前の友達で…よかった。これからも、和樹の面倒を頼む。お前がいれば、和樹は悪さしないだろうしな。…中学の時、お前と知り合えてよかった。


 美香。お前のおかげで、僕は大事な人への気持ちに気が付いた。お前が言ってくれなければ、僕は迷いながら…強くもなれなかった。不思議だな。男と女の友情ってのはさ。いつか、お前にふさわしい男が見つかるといいな。…お前は、最高の女友達だ。ありがとう



 修哉。長い付き合いだけど……お前はいつだって、厳しかったよな。それでいて、誰よりも優しかった。誰よりも他人を気遣い、それを表に現さなかった。そういうところが好きだよ、ホント。…お前のおかげで、僕はこうして決心することができた。お前がいなければ、きっと旅立つこともできなかっただろう。お前の勇気と言葉に触れて、僕はようやく空を助けに行けられる。…ありがとう。お前と出会えて、本当によかった…。



 そして、海。お前を残していくことを……許してくれ。お前は止めようとしたり、自分も行くと言いそうだった。だから、何も言わずに行く。お前はこの世界で、生きていってほしい。そして、空が帰るのを待っていてほしい。お前がいなければ、空も帰ったって嬉しくないだろうしな。…お前と出会ったのは、遠い昔のようで、最近のようだ。お前と巡り合えたこと…いるかどうかも分からない神様に感謝するよ。…「海」という名のように、広く…美しい…優しい女になれよ。大好きな人を見つけろよ…。…そして、約束を守れなくて…本当にすまない…。



 …近くて、遠い世界へ行きます。たぶん、今のところ僕しか行けれないでしょう。探さないで、待っててください。空を助けだし、普通の生活を取り戻す。どれくらいの時間がかかるかはわからないけど、絶対に助けます。

 それじゃあ…行ってきます。…お元気で。

                              空より」








 朝5時半。僕は忍び足で家を出た。5月とは言え…寒いな。長袖一枚じゃあやってられないよ。

 鳥のさえずりが聞こえる。太陽の光が、山の向こうからこちらへ伸びている。世界中を照らす光…。旅立つには、いい感じだ。

 僕は大きく背伸びをした。体中の骨がポキポキと鳴る。

 さてと…行こうか。



 山への道のりの途中にあるもの全てが、懐かしさを醸し出すものだった。あの電柱も、あの屋根の色も。ちょっとした張り紙でさえ、僕の記憶と想い出の一部になっていた。普段、過ごしている時には何も感じないものばかりだけれど、こうして2度と帰って来ないのだと思えば、全てが感傷に浸らせる。

 僕の一部…欠片そのものなのかもしれない。大切なものは、見てきた風景全てにも当てはまる。…そういうものなんだな…。

「…水臭いな、空」

 後ろから、誰かが僕の名を呼んだ。それは……

「…修哉…」

 Vネックの服を着て、そこに立っていた。

「大親友の俺に黙って、どこに行こうってんだ?」

 修哉は笑いながら言った。

「……それは……」

「まぁいいさ。お前が決めたことだ。…とやかく言うつもりはないよ」

 そう言って、修哉は僕に歩み寄った。

「…知ってるか? 世界はまもなく滅びようとしてる。その中で、生きとし、生けるもの全てがあがいている」

「い、いきなりなんだよ……それ」

「…〈例え〉だよ。もしもさ。…だが、目に見える全て…存在する全てのものは、そう遠くない未来に滅びる運命にある。…そう、『その時』は、すぐ目の前にあるかもしれない。…お前はその『時』を迎える可能性の高い世界へ…己の足で踏みいれようとしているんだろ? …それでも、お前は彼女を助けようとしているんだな?」

「…………」

 修哉の目は、二つの宝石だった。それであって、刀のようにも見えた。

「…決めたんだ。自分を犠牲にしてまでも、彼女を救おうって。間違っていると言われても、駄目だと言われても、これが…僕が選んだ道だ。何を言われても、変えるつもりはない。僕は、僕が正しいと信じた道を進む。お前と一緒さ」

「…そうか…」

 修哉は少し微笑んだように見えた。そして、彼は青白い空を見上げた。

「……親友のお前が決めたことだもんな。俺には、遮る権利も、なにもないんだ…。……どんなに狂おしい世界ではあっても、お前たちは信じてゆけるんだな……」

 そして、彼は僕を見つめた。

「…さよならだ、空」

「………いや、さよならは言わないよ」

「………?」

 修哉は少しだけ、眉を寄せた。

「僕の心はここにある。いつだって、お前たちの傍にいる。…だから、さよならは言わないよ。それに、絶対帰ってくる。絶対にな」

「…なるほどな。なんつーか、お前らしいよ」

 そう言って、修哉はフッと笑った。

「…空。お前の果てしない旅に幸運を祈るとするよ……」

「…ありがとう…」


「じゃあな。……また会うその時まで、お前はお前らしくあれよ」


 そして、修哉はそれ以上何も言わず、朝霧の向こうへ消えて行った。僕の方が、寂しく感じてどうする。帰りたいと思ってはならない。そう、彼女を……空を救うまでは。





「ようやく来たね」

 門の前で、「待ちくたびれたよ」と言いながらあくびをしているリサを見つけた。

「…ごめん。…つーか、なんでここに?」

「あんたが間違わないように、ね」

「…………」

 行く方法を間違えないようにするってことだろうか。

「ところで、準備はできたの?」

「ああ」

「家族や友人に別れは言った?」

「……ああ」

「……………」

 リサは「そっか」と言うと、門の方に振り向いた。

「…あっちの世界へ行ったら、もう戻れないかもしれない。だからこそ、あなたに問う」

 彼女は僕に顔を向けた。

「世界はあなたが思っているほど優しくもないし、美しくもない。生と死が常に隣り合わせであり、あなたは二度と陽だまりに帰れないかもしれない。それでも、あなたはレイディアントへ行くというのかい?」

「…………」

 今更、逃げない。わかってるさ。わかってて、彼女は言ってるんだろうけど。

「…ああ、行くよ」

「二度と、ここには帰れないよ?」

「自分から誘ってきたのに、その言葉はどうかと思うぞ?」

 僕は苦笑した。

「…あなたにとって、これは人生における〈大きな決断〉。だから、後で後悔しないようにしてもらうために、こうして訊いてるのよ」

 彼女なりの優しさ……か。

「……わかってるよ。僕は…空を助ける。全てを捨ててでも、彼女を救いだしてみせる。もう決心したんだ。…逃げるつもりなんて、一欠片もない」

 そう言うと、リサは微笑んだ。

「そっか。………なら、行こうか。時間は共有してるからね」

「そうなのか?」

「…いずれわかることよ」



 リサは門に触れた。すると、門は青く光り始めた。門の内側は白くなり、渦が起こり始めた。小さな渦は大きくなり、一つの光を生み出した。青く、輝く光が辺りを照らす。

「…それにしても、お前…寒くないのか?」

 僕はリサの服装を指差した。

「るっさいわねぇ。しょうがないでしょ? 朝なんだから」

「…ただ単に、めんどくさいだけだろ…」

「……星屑にしてやろうか?」

 リサは横目で僕を睨んだ。

「……ごめんなさい」

「ったく………」

 彼女はため息をついた。

「さて……最初に言っておくけど、あっちに着いた時、私はあなたと一緒にいないからね」

「? なんでだよ?」

「私にも用事があんのよ。とりあえず、あんたはその辺で情報収集をしていな」

「…なんつー大雑把な……」

 呆れたもんだ…。ちょっとくらい、案内するとかさぁ…。

「んじゃ、行くとしようか」

「……ああ」

 僕は一歩前に出たところで、空を見上げた。

 どこまでも遠く、どこまでも広い大空…。世界が終わるその時まで、お前は僕たちを見守ってくれるんだよな…。



「よぉし、行くとするかぁ!!」

「……変に気合入っちゃってまぁ。馬鹿だからかねぇ……」

「うっせぇなぁ。ちったぁお前も気合入れろよ」

「気合入れるも何も、私は元の世界に戻るだけなんだけど…」

「だぁーもー! 行くんだろ!? 早くしろよ!!」

「なーんであんたにそんなこと言われなきゃならないのさ! この場で、八つ裂きにしてやってもいいんだぞ!?」

「……女がんなセリフ言うなよ……」

「いちいちうっさい! ほら、馬鹿空はここに来る!」

「むぐ……腹立つ……」



 運命の扉へ。

 僕は進む。足を一歩、一歩進める。

 世界は別世界へ。


 僕の……近くて遠い、星への旅路が始まったんだ。




















第1部「青い空」………Fin 第2部へ続く





次の9章から、第2部ということになります。


読んでくださった方、本当にありがとうございました!!

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