始まりの詩
青空が見える。
大気は澄んでいて、青い景色は遥か彼方へと続いている。まるでこの世界を覆いつくすかのように、それはあまりに広く、あまりにも僕の心を捉えて離さなかった。
いつからだろう。この空に心を奪われたのは。
いつからだろう。
この世界には、想像を絶する闇や憤りが渦巻き、幾多の戦乱と繁栄を繰り返して今の世が築かれたと気付いたのは。
僕はゆっくりと息を吐きながら、目を瞑った。これまでのことが、この世界へ足を踏み入れてからの出来事が、鮮明な写真のようにまぶたの裏に映し出されていく。
戦い続けて、体は多くの傷を負っていた。消えることのない傷もあれば、既に跡形もなくなったものもある。だけど、僕がこれまでに歩んできたものは、何一つ消すことはできない。
僕はこの世界で何を得たのか。
自分の弱さ、世界の脆さ。人の醜さと、美しさ。それらを求めて、生まれる前から足掻き続けている。失っていった友人の声や、辿り着けなかった仲間の意志。
未来へ――子供たちへ、あらゆる“審判”を遺さざるを得なかった人たち。
そして、ここまで来た。数多の犠牲の上に。
僕は“審判”を下す。
それを促すように、“彼”は僕に言う。
「準備はいいか?」
僕はその言葉に、大きく頷いた。目の前に、あの巨大な水晶体がある。
禁断の果実――“星の遺産”。
“約束の刻”を、迎えんがために――