素敵な食卓
叔父さんの名字に迷って時間かかりまくったよ。
けっか、テキトーに決めたけどね。
階段を降りてリビングに向かうとテレビを見ているサラマンダーがいた。
「あ、親父と弥生、起きたか?」
「サラマンダー!?どうしたの、いつもより早いね。」
「おはよーサラマンダー。」
「いやー、ロウの兄貴がいないから俺もやっと料理ができると思ってさ。」
ロウの兄貴とは叔父のことである。ちなみに叔父の本名は平見 狼。サラマンダーにも兄貴と呼ばれるとはカリスマ的兄貴分だな。
「人間が食べられるやつなのかな?」
少し心配だな。
「あたりまえだぜ。俺は親父と会ってからはテレビで[漢の料理!!]をずっと見てたからな。」
確かに見ていた。これぞ漢みたいな料理を作る番組。具材が大きめのカットでゴロゴロしているのが漢料理っぽいだけで番組のレシピ通りに作った料理の味は男女問わず好評らしい。
確かにサラマンダーって漢キャラだよなってその番組を見ているサラマンダーをみていて思った。
「さっきできたから、食べてくれよ。」
「やったー!私、あの番組のレシピの料理食べてみたかったんだ。」
「ありがとうサラマンダー。」
「いいってことよ。
そういえば残りのやつらももうすぐ来るな。」
「今日はみんな来るんだね。」
「大好きな父さんと弥生さんの登校初日ですからね。」
「ノーム、ウィンディーネ、シルフ、来たんだね。おはよう。」
精霊はどこからでも現れる。禍津とは違い精霊界は僕達の住む世界とは全く違う世界。あちらからこちらに来るときは好きなところに道を繋いで行き来できる。
一方、禍津とはこの世界に存在する二つの空間のうちのひとつで、僕達の住む空間の裏にある空間のこと。禍者が禍津からこちらに来るときの説明を分かりやすく言うのなら禍津の富士山麓から、こちらの空間に来るときは場所を指定したりなどはできず、こちらの富士山麓に繋がるだけ。表と裏なのであちらの○○はこちらの○○という感じ。
「私とシルフからプレゼントがあるの。」
そう言うとウィンディーネとシルフは僕と弥生を椅子に座らせた。
「サラマンダーの料理食べてて良いからね。」
「わ、わかった。」
サラマンダーが持ってきたのはゴロゴロの野菜とお肉が入ったビーフシチューとパンだった。
ビーフシチューを飲もうとスプーンを手にした瞬間、とても美しい歌声が聴こえた。
今まで長い間一緒に居たけど彼女達の歌を聴くのは初めてのことだった。
「…彼女達の歌声には安らぎの効果があるので父さんと弥生さんの緊張を解そうとしているんです。」
「そうなんだ。…うん、素敵な歌だ。」
「ビーフシチューも美味しいし、歌も素敵だし今朝はサイコーだね。」
「ははは、そうだね。」
僕と弥生は素敵な歌を聴きながら美味しい漢の料理を食べた。
まだまだ書きたいところへは遠いナー!!!
やっと入学なのかよぉ~。