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運命のステンドグラス 巡り会う三王編  作者: 芝谷幸村
プロローグ
2/11

生きる理由

 


 音、感触、臭い、味、光景、全てが嘘みたいでこの世ではないみたいで、現実だということを拒絶したかった。


 そんな、あの日の夢を時々見る。




 ぐちゃ ぐちゃ ぶちょ ぐちゃ ぶちょ


 道路に散らばっている肉塊の上を歩く度に聞こえてくる全身を凍えさせる音と感触。血や人間の排出物の臭い。破裂音と共に肉片と血が顔にめがけ飛び散り、口の中に侵入してくる。


 なによりも、一人の魔術師により目の前で行われている大量虐殺の光景。笑っている姿に恐怖した。


 目の前で両親や知り合いを殺され、手を繋いでいた少女の家族が殺され、そしてついにその少女に矛先が向かったとき、僕は堕落者になりかけその魔術師を退けた。


 その時の僕は負以外を自分の中から感じず、自分が自分でなくなるのだろうと理解し僕は負にだんだん溶けていき意識を手放した。




 僕が意識を取り戻した時に堕落の危機から救ってくれた会ったこともない精霊達からどれだけ肝を冷やしたと思っているんだと後からねちねち説教をくらった。


 その精霊達は、僕のことを僕が生まれる前から知ってるだとか訳のわからないことを言いだし、恐くなり、逃げるように少女と地域の避難所へ向かった。


 それから数日経ち、母方の叔父に当時12歳だった僕と幼馴染みの少女は引き取られた。


 後から日本支部による放送でわかったのだが、死亡者は1000人以上で今回の件は世界で争いの種をまくことを目的としたテロ組織のテロ行為で、数あるテロ組織の中でも最も危険な組織の構成員数名によるテロ行為だと判明した。


その組織名は[審判の会]。構成員は10名と数多くあるテロ組織のなかでも最小だが、構成員は全員特異魔法使いで、その組織の長はあらゆる魔法を無効化できる魔法の持ち主らしく、魔術師最強なのではとの意見もある。




 さらに、数日が経ち僕はやっと家族の死を実感しだした。だんだんと外へでなくなり、ついには部屋からでなくなった。


 その時の気持ちを説明するのはちょっと難しい。広く辛い世界や現実に居るよりも、なにも考えることがない狭い場所で思考を停止していれば、逃げられるような気がした。


 そんなはずはないのに。




 ある日の夜。現実決して逃げられないとやっと理解した僕は家族のところへ行こうとした。


 ロープで輪を作り、高いところにくくりつけ、その下に椅子を置き、乗った。そして輪に首を引っかけようとした。


 パリィーーン


 そのとき、幼馴染みの少女が窓ガラスを蹴り割り入ってきた。


 「え!?なんで窓から。」


 驚きのあまり僕は椅子から落ちてしまった。だって窓からだよ。


 スタスタスタ


 パシッ


 そう、お決まりのビンタってやつだね。本当にこんなことあるんだなって後から思ったよ。


 「なにしてるの?」


 「…家族に会えるかもしれないって思って…その…。」


 「バカだよ。りゅうきは。会えなかったらどうするの!」


 「なんで怒るんだよ。僕が死ぬだけだけだろ!」


 「それが、イヤだからにきまってるじゃない!」


 知ってた。知ってて聞いてしまった。だから後悔した。自分の生きる理由を自分の歩くべき道を見つけてしまったから。


 自分でも死にたかったのかよくわからなくなった。死んだあとにきっと心残りになるだろう彼女を前にして死のうなんて思えなくなったんだと思う。


 やっぱり死ぬときは心残りになくスッキリ死にたい。そう思った。

 だから、僕は…。


 「わかった。じゃあ、君のために生きてもいいかな?」


 「当たり前だよ。私と一緒に生きてほしい。」



遅筆なんですが、頑張って書いていきたいと思います。

これからよろしくお願いします。

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