ソシャゲ重課金の俺は弟の貯金をガチャで溶かした、どうしよう……助けてくれ……
「クズ」
第一声、親からの言葉がそれだった。
その後ろで、弟が涙目になっている。
弟よ、ソシャゲのガチャを回しているときのあのキラキラした目はどうした。
「弟の貯金にまで手をだすなんて本当にどうしようもないね。バイトしたお金はどうしたんだい?」
そんなものはもらった日に使い切った。
ちょうどコラボガチャをやってたから、逃したくなかったんだ。おかげで目当ての一枚はあてたぜ。
「本当にどうしようもないのねぇ……」
母がため息とともにしみじみとした声でつぶやく。
うちではスマホをもてるのが高校生からという決まりがあった。
中学生の間でもソシャゲは流行っているようで、プレイしている俺をうらやましそうに見ていた。
それで、弟は高校生になったらすぐにスマホを買えるように貯金を始めた。
1年間、小遣いとかお年玉とかを使うのを我慢してこつこつ貯めてて、親も「これだけがんばってるならしょうがないよね」なんてことをぬかしやがる。
だけど、俺はわかっていた―――弟がスマホをもったら絶対にソシャゲにはまるに決まっている。我慢した反動は一気にくるのだから。
思いとどまらせるために、なにか妙案はないかと考えた。
俺は気を利かせて弟にソシャゲの恐ろしさを体験させてやることにしたんだ。
残していたチケットで11連ガチャをやらせたが、SSRどころかSRもでずにクズレアばかりだった。
ソシャゲっていうのはこういうものなんだ。
まさにドブ沼。
しかし、弟はそこで意地になった。
コンビニに走って電子マネーを購入すると、ガチャを回しだした。
まあ出ない、出ない。1回、2回とまわすが当たりが出ずとうとうキレだした。
「もうやだ! なんだよこのクソゲー!」
諦めるのはまだ早い。10回連続でSSRが出なければ、救済処置として確定でSSRをもらえるシステムがあるのだから。
そして、とうとう俺たちは成し遂げた……ドブ沼の底から光り輝くSSRをすくいあげたのだ!!
しかし、帰ってきた母が空になった貯金箱を発見し今に至る。
弟には泥棒が入って盗んでいったと話すように言い含めておいたのに、こいつ寝返りやがった。おまえもドブ沼にはまるんだ、こっちにこい!
弟に向けて手招きする俺を、母が怒るわけでもなくじっと見つめてくる。
「あんた、スマホ禁止」
結局、弟のスマホは解禁された。
ガチャに使ったお金を返すよういいつけられ、バイトにいそしんでいる。
つらい……助けてくれ……。