3話:双子より妹の方が恐ろしい
「おねーちゃんだいじょうぶ??」
「え、ええ。学校に行かないと…」
「本当に?おねーちゃん可愛いから気をつけてね?“きおくそーしつ”って知ったらお姉ちゃんの“かれし”って名乗ってくる人とか居るかもしれないからねっ!」
その心配はいりません。
俺、男に落ちるほど終わってませんからっ!
「私にはあみちゃんって言う可愛い子がいるからね!」
「あみもおねーちゃん大好き~」
こういうの最高だわっ!
実の妹には「兄さんキモい」なんて呼ばれる始末だからな(それはそれで良い)
可愛らしい見送りと共に俺は学校へ向かったのだ。
男に攻めまくられるとは知らずに______
そして今に至る。
なぜか“花音”が記憶喪失だと言うことは既に知られていた。
記憶が正しければ、主人公のストーカーをする攻略キャラがいたはずだ。名前は早乙女 海斗。
現在そいつに迫られて居る訳だが……俺が記憶喪失だという噂を流したのもコイツだろう。
他のキャラはまだマシな方だったからな。
しかもこいつはストーカーの意味を覆している。ストーカーってやっぱコソコソついてくるイメージあるじゃん?
こいつ堂々とついてくるケース多数あるんだよ。
ここ俺が一番突っ込みたかったところ、重要だぞ?
「お前なんでやねぇぇぇん!!」
「なにがやねぇぇん!」
「……まじめに返してくれるとは思いませんでした。
という訳で先輩、噂流したの先輩ですよね?」
突如、一番聞きたかった本題に入る。
こいつが黒である確率は90%超え。
さあ!どう返答してくる!?
「さあ?ここでキスでもしてくれるなら教えてあげても構わないよ?」
壁に寄りかかっていると両手を脇に置き、俺を逃げられないようにする。
こういう展開かよ!!
「誰がキスなんてするか」
冷静になりつつ、俺は返す。
てか、こういうシーンっていわゆる胸キュンシーンだろ?
………だけどさ、正直こういうシュツエーションってさ、下ガラ空きだよね??
思ったことない??
2次元のキャラならともかく、3次元の俺には効かないぜ!特に男の俺にはなっ!!
そう思い先輩の腕の下をくぐって先輩の背後に出る。
「よいしょっと!
先輩、壁ドンするならもっと逃げられないようにしないと。という訳でサラダバー!!」
そう言い残すと俺はその場を立ち去った。
「ちょっ!花音!!」
先輩は何か言いたげだったが御構い無し。
ガシャーンという音と共に先輩が私の名前を呼ぶ事はなくなった。
………何やらかしたんだ??
「早乙女先輩____!!!」
いやいや、振り返ってはいけない。
___先輩、突っ込みどころ多くて面白いやつだったぜ………
そんな先輩の屍を超え、教室へ戻ろうとする。
ひっそりと過ごしていようと思ったのになぜか早乙女先輩に捕まってしまった。
以後気をつけねば……
覚えているのは、攻略キャラはあと4人。
その中でも一際めんどそうなキャラが2人。
確か………
「あ、いた!」
「はっけーん!!」
噂をすれば……その面倒な2人が登場だ
「俺は誰でしょーか?」
そういう2人はアニメで見るより、さらに似ている。
常に行動を共にし、好きなものも一緒。
笹川 翔と翼。
双子なのだっ!!
生年月日は11/14。10分違いだとか。
…………って、俺、なんでこんなに乙女ゲームに詳しいんだ……
恐るべし、知識を植え付けてきた我が妹よ………
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実際、壁ドンってどんな感じなんですかね?
なんか色々種類あるっぽいですけど腕力強い人やったら壁ぶっ壊れそうだと思いません??