2話:乙ゲーのヒロイン始めました
「おい、xxx!お前は女なんだ!そんな無茶な事はするなよ!!」
xxxって誰の事だ?
そもそもお前は___……
俺に向かって話す奴の顔は見えない、だが知っているような気がした。
「何を言っている?女?俺が??ありえねぇ」
「なんだ。じゃあその胸は偽物か?」
「なんの話だよっ…………って?え???」
男である俺の胸は女のように大きくなっている。
「えぇぇぇ!?」
______それはお前が望んだ事。
その記憶は一時的に消させて貰うよ。
そういう契約だからね。
さあさあ、現実と空想の狭間の世界へ
楽しい時間の始まりだ___
ゴンという大きな音を立ててベットから俺は落ちた。
ある朝起きると体に違和感を感じた。
体が変に重たいのだ。
「いってぇ…てかなんか重い……俺運動とかしたっけ…」
いや、運動嫌いの俺がわざわざ体を動かす訳がない………
あ、昨日Gと奮闘したんだった。
奴の素早さは天下一。
数時間にも渡る長期戦の中、俺は奴に勝った。
「とは言っても、彩夏が煩かったからな…」
彩夏というのは俺の妹。
よく「兄さんキモい」「近寄らないで」なんて言われるが、別にとても仲が悪いという訳ではない。
俺が言うのもなんだが可愛い方だと思う(決してシスコンではない)
あれで筋肉痛かなぁ~、今度見つけたら絶対しばいてやる。
今度は一家全滅させてやるからな、覚悟しとけよゴキ太郎。
そんなことを考えながら、着替えをしようとする。
だが、筋肉痛と思っていた重みは腕ではなく、胸の辺りだった。
「まさか!俺心臓病とかなのか……!?」
もし心臓病なら手術は必須。
俺、体にナイフをいれたくねぇっ!!
注射でさえ、怖いんだ!!
あれは忘れもしない幼稚園の頃……
熱を出した俺は病院に連れて行かれた。
その時に俺は医者に言われたんだよ「点滴しますか~」と。
危険を察知した俺は慌てて逃げ出したさ、幼いながらも。
診察室を飛び出し、振り返れば追いかけてくる母親、看護師、医者。
今でもその光景は目に焼き付いて居る。
………ま、結局待合室の所で捕まっちまったけどよ
必死で抵抗したさ、ソファーにしがみ付いて
その後に待ち構えて居るのは察しがつくだろう。
そんなトラウマを思い出し恐る恐る視線を下ろす。
だが、よく見るとそう言うわけではなさそうだった。
「なーんだおっぱいか~」
…………ん?
俺って男だよね??
なんでおっぱい生えてるの??
ていうか、なにこれ?めっちゃ柔らかいんですけど?
童貞である俺には始めてみる代物だった。
なんとも言い難い、揉み心地……っ!!
そんなおっぱいに感動しながら、下を確かめる。
察した通り家出したようだ。
「えぇぇぇぇっっ!?
息子がぁぁぁぁっっ!!!」
俺の叫び声は近所を駆け巡っただろう。
「もー、おねーちゃんうるさい!!」
バンとドアを開けて入って来たのは、ロリ……いや、この体の持ち主の妹?それとも彼女とか!?
それならおにーさん、いやおねーさん大歓迎ですよ!百合万歳!!!
深呼吸をし、心を落ち着かせながら、小さな女の子に話しかける。
「誰……ですか?」
「おねーちゃんなに言ってんの??」
おねえ…ちゃん…??
百合展開がなかったのは残念だが、可愛い妹がさらに出来たのは良いとして……鏡を除くとそこに映ったのはスタイル抜群の美少女。
サラサラとした黒髪にくりっとした大きな目。童顔にもかかわらず、ぼっきゅんぼんのスタイル。
ああ、俺こんな可愛かったっけ…?
………神様、俺、理想の子と付き合いたいとよく願っていたけど、なりたいとは言ってませんが!?
柴田 海、17歳。性別は男、彼女いない歴17年。
どこかの女子と入れ替わっちゃったぽいです。
…………ていうかここ、俺の部屋じゃねぇわ。
「きおくそーしつ、なの??」
「うん…どこかで頭ぶつけたのかもしれない。ごめんな、あみちゃん」
記憶喪失と言う事で話を通す。
どうやらこの体の持ち主は橘 花音 16歳。鳥ノ宮高校に通っているようだ。
ロリっ子は妹のあみ、9歳。ロリコンに目覚めそうなぐらい可愛い。
だが一つだけわかった事がある。
彼女の名前、高校名、友人関係からとあるゲームと一致することに気付いたのだ。
問題はそこじゃない。
このゲーム、現在女子に大ブームの乙女ゲームだ。
アニメ版の主人公が橘 花音で、どちらかと言えばエロゲーに近い。特にアニメは!!
俺自身、このゲームを知っているのだが…
………俺、貞操の危機じゃね!?
フラグ通り進み続ければ、現実に戻れるかもしれない。だが俺の貞操は帰らぬ者となる。
……妹とくっつくというフラグはあるかな??
百合だ!百合フラグをくれぇぇぇい!!!
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注射って嫌ですよね(逃げ出したのは実話だったりする)
てか、おっぱいって所詮は脂肪の塊ですヨ(夢も希望もない発言)