1話:百合フラグってありますか?
「花音、なんで逃げるんだよ?
てか記憶喪失って本当か?俺のことも忘れたのか?」
現在、イケメンオーラを出しまくる先輩に迫られている。
遠くから見れば、イケメンに壁ドンされる女子かもしれない。………会話さえ、聞かなければ。
「てめーの事なんか知るわけねーだろ、チャラ男」
女の子が下品な言葉使ってる!
いやいや、主人公であるこの自分は別に問題ないのさっ!
なぜなら!俺は男からだ!!
見た目が女子、素顔は男!その名は名探偵コ………ではなく、俺は柴田 海17歳。正真正銘の男のはずだった。
ある日、目が覚めるとおっぱいの大きい女の子になっていて(正直触れるのは嬉しい)、実は乙女ゲームの主人公になっていたのだ。
………登場するキャラは誰1人として信じてくれねーけどよ。
このゲーム作った奴、表に出やがれ!!
冗談はさておき、男でもあろう俺がどうしてこんなにも乙ゲーに詳しいかって??
何故なら俺は妹と共にアニメ版を見ていたからだ。
………これがまた以外と面白いんだよなぁ~、ツッコミどころ多くて。
しかもこの主人公、なぜか他人に思えぬ一面もあるのだが…
「上の空だけど、俺以外の男のこと考えてるのか?」
いや、俺男なんでヤローのことなんて考えません。
「俺のことだけ考えてればいいんだよ」
そっち系になれと!?あいにくそういう趣味はない!
そんな心の声は届かず、流石に突っ込むのも飽きて来た。
「すいません、先輩。流石にそんな使い古された口説き文句、ちょーダサいっスわ。」
ふぅと息を吐くと先輩に向かって構えた。
「ん?なんだ?」
「今の時代はこうやるんスよ……ドドスコ(略)ラブちゅーにゅー!!」
その言葉と同時に投げ飛ばす
学校で1、2位を争うほどのイケメンは綺麗な半円を描きながら飛んで行く。
現実世界でモテない俺の恨み、とくと受け取ってくれ……
そんなことを考えながら飛ばしたが、
「チッ、鍛えがたりねぇ……この体軟弱だなー」
イケメンは宙を1回だけ回転し、他生徒が投げたバレーボールにぶつかって空中移動をやめた。
現実世界では今の倍飛ばせた。
………いや、嘘です、すいません。
なぜボールが?とは思ってもここは現実世界じゃない、なんでもありだろうと思った。
「花音!!そのネタは古いっ!!何年前だと思っている!」
先輩は起き上がりながら言う。
「6、7年ぐらい前ですかね?小学校の時になんかでやった記憶があるんですよね~」
「知るかっ!」
「だが……俺様の力を思い知っただろ。ざまあみろ!」
高笑いをしながら思った。
“あれ、俺もはや主人公というより悪役じゃね?”と。
「女の子がそんな言葉を使うんじゃない」
「知り合いにいるけど?」
マジでいるんだよな~(作者の知り合いに)、こんな罵倒を発する女子が。(ついでに凶暴だ)
「そっ、それは置いといて………、さっきのセリフ、あれは俺のセリフだ、花音!!
お前を落とすというのが俺の使命、だったはずなのだが、やめた。ベタ惚れさせてからこっぴどくフってやる。」
「へぇ~、頑張ってくださーい。」
正直、元に戻れればいい。
しかもここは乙女ゲームの世界ときた。
ここで誰かを攻略したら負けな気がすると思わないか?
「なんだ花音、他人事か?」
「まあ、自分の体じゃないですからね。
2次元を体験できて、面白くて、元に戻れるなら問題なーし」
「すまない…な、なにを言っているんだ…?」
で、ですよね~~
美少女になって、男にモテる。
こんなハーレム、元々男である俺は望んでない。
(望んでいたらそれはそれでやばい)
こんな生活が始まったのはほんの数日前の事だった____
_________________________________
初めまして、manuです。
読んでくれてる貴方に、「なにこれ草」って思わせたいというのが切実な願いです
(できれば大草原 笑)
いろんな人に気に入って貰えればと思っておりますので、(期待せずに)閲覧ください