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11、使い魔にしてしまった……

「え、嫌だけど」

「あ、そうですか……はい」


 魔王はレインの返答を聞いてそう返す。そしてしばらくの沈黙が流れ――――


「(!?!?!?)」

「えっと……君の名前を聞かせてくれないか?」

「アリアです(あ、これまさか……)」

「もしかして女の子?」

「あ、はい。そうです」


 魔王――――アリアはそう言いながらフードを取る。フードを取るとサラサラな金髪のツインテールが現れる。

 瞳は血のように赤く、それは明らかに人間ではないことを表していた。

 そしてフードを取るとアリアは――――


「嘘だああああああああ!!」

「ふぁっ!?」


 膝から崩れ落ちた。もちろんその行動を予期していなかったレインは驚きを隠せない。


「どうしてっ! 魔力がっ! 高いのよっ!」


 拳を握り締めて地面に八つ当たりのようにぶつけるアリア、その様子は悲惨としか言いようがない。

 自らが絶対的に魔力量が上だと確信した上で魔法を使ったのにも関わらず、向こうの方が上で魔法を反転させられたのだ。


 絶望的状況だったのに、更に悪化したのだから当然である。希望を見付けたらそれさえも完膚なきまでに叩き壊される。


「お、おーい。どうした? もしかして病気か? マジホで調べてみるか……」


 レインはアリアに向かってマジホを向けてステータスを確認する。


【名前】アリア

【種族】堕天使

【レベル】なし

【スキルポイント】なし

【スキル】女神の加護 誓約の鎖

【魔法適性】無魔法適性、光魔法適性、闇魔法適性

【魔法】無魔法・レベル2、光魔法・レベル4、闇魔法・レベル4

【アドバイス】

 種族は堕天使だが正確には人族との混血。

 聖女の血を受け継いでいるが堕天使との混血のため、加護は引き継がれているが、効果は無い。

 〈誓約の鎖〉により、使い魔契約が可能です。


「へぇ……堕天使か。珍しい種族だな」

「な、なんで僕のことを……!」

「……ん?(聖女と堕天使の混血……?)」


 レインはアドバイスの欄を見て頭で思考する。聖女は十五年前に魔王に誘拐されている……とゲイルが言っていたのだ。

 聖女の血を受け継いでいる、しかし魔王軍の下っ端。その違和感にレインはある結論に辿り着く。



「僕は君を愛してるんだ!」

「私もよ! 駆け落ちしましょう!」


「と、いう訳で」

「子供が生まれました」


※レインのイメージです。



「……そうか、お前……」

「まさかバレた!?」

「うん、うん……親父さんとお袋さんは大変だったんだな……」

「ちょい待て、何でそんな可哀想なものをみるような眼でこっちを見る」


 レインは頬を伝う涙をハンカチで拭きながらアリアを見る。アリアは急な態度の変わりように戸惑いを隠せない。


「大丈夫だ、うんうん、どうだ? 一人なら俺と一緒に来ないか?」

「えーっと、遠慮しようかな~(僕が魔王とバレたら瞬殺される……)」

「それでも一人で頑張るって……ヤバいな、俺は涙もろいんだよ……」

「あはは……(今、泣くところ合ったか?)」


 アリアは突然泣き始めるレインに困惑し、とりあえず笑って誤魔化したのだが……


「……(心配させないために笑って元気な風を装うなんて……健気!)」

「じゃ、じゃあ……僕はこの辺で~(魔王だとバレる前に逃げなければ……!)」

「待ってくれ!」


 アリアが逃げようとゆっくりその場を立ち去ろうとした時、レインはアリアの手を掴む。


「あっ、やべ(いつもの癖で手に魔力を込めちまった)」


 レインは何かに触れる時、必ず魔力を手に込める。それによって呪いを跳ね返したり、罠による攻撃を防げたりするからだ。


 しかし今回はアリアの手を掴んでしまった。生物に自分の魔力を流す。それは自分の魔力を覚えさせ、使い魔を使役するための儀式だ。

 本来は使い魔を手に入れるためには餌付けなど、仲良くなることが必要なのだが……今回は状況が違った。



【アドバイス】

 種族は堕天使だが正確には人族との混血。

 聖女の血を受け継いでいるが堕天使との混血のため、加護は引き継がれているが、効果は無い。

 〈誓約の鎖〉により、使い魔契約が可能です。



 先程までレインは最後の欄を見ても、使い魔にする気が無かったので無視をした。しかし今思い出せば、無視をした自分自身を殴っていることだろう。


「……なんか、ごめん」

「なんで謝ったの!? ねえ、なんで今謝った!? 凄く不安なんだけど!?」

「うん……アリアさん、よろしく」

「あ、どうもご丁寧にありがとうございます。 こちらこそよろしく……じゃなくて! 説明は!? 怖いんだけど!?」

「……」

「黙るのが一番怖いよ!」

「あー、じゃあ……結論言います」

「ア、ハイ」

「アリアさんは、今日から俺の使い魔です」

「……」

「……」

「…………泣いていいですか?」

「どうぞ」


 魔王アリアは………………泣いた。


【名前】アリア

【種族】堕天使

【レベル】110

【スキルポイント】1100

【スキル】女神の加護 誓約の鎖

【魔法適性】無魔法適性、光魔法適性、闇魔法適性

【魔法】無魔法・極、光魔法・極、闇魔法・極

【アドバイス】

 使い魔になり、レベルが上がりました。

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