表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かがやく星の下で  作者: ナツメアミ(夏目あみ)
8/25

【第8小節】  俺らだけの夏祭り



ちりんちりん 風鈴が風に揺られながら札が泳ぐ

空上の暗闇の星空のない暗闇から黄色やだいだい提灯ちょうちんから漏れる光が淡く朧気おぼろげに揺れる


太鼓と笛と 

「せいっせいっ」と群衆ぐんしゅう神輿みこしを勇ましくあげる声が遠くから聞こえた


今日は夏祭り

数年に一度の大きな夏祭り

俺は甚平をきていた黒の甚平で上りりゅうの藤の柄が入っていた

「決して離れない道ならぬ恋?それともほかに何か意味があるの?」

後ろを振り返ると彼女がいた


一人。


この前は浴衣を着ていたから

紫陽花の浴衣かと思ったら私服だった

甚平と浴衣で合わせようと思っていたけれど

そういうわけにはいかなかった


まあそれは俺のちょっとした希望だし

白のふわふわしたシャツに下がデニム

今度は彼女がマリンコーデ


屋台が並んでて

ともだちのところに集まる予定だったんだけど

ちょっとぐらい遅れてもいいかって

屋台を見渡す

やきそばに

たこやきに

あんずあめ

ヨーヨー


「ちょっと射的やんない?」

俺は誘った

「・・・いいよ」

彼女が笑ってうなず


それから俺は普段 射的なんてやらないけど

今日は気分ものっていたし

射的をすることにした


射的屋のおじさんに金を払う


彼女は俺が撃つのを見た

いいところをみせたい。それだけのために射的をした


それから5発のコルクの玉をおじさんからもらった

最初の4発はミスをして最後の1発目でお菓子の景品を落とした

若干じゃっかん、焦ったものの 落とせてよかったとホッとする


俺はお菓子をおじさんから受け取って

彼女に「やる」

「・・・ありがと」


そのまま彼女はもらったお菓子をかばんに入れた

二人で屋台の出店のりんごあめやみかんあめを買って食べた


ちらっと集合場所へ向かうクラスのメンバーを見つけたけれど

見なかったふりをして屋台の横に離れて食べた


彼女の浴衣もかわいかったけれど

私服もまあ私服でかわいかった


彼女はみかんあめを食べて

俺はりんごあめを食べた

まわりはざわざわと心が浮世だっている感じ

俺もそんな感じ



食べ終わって彼女が「そろそろみんなのところに行こう?」

って言ったから 俺は無言で

彼女の手首をつかんで人ごみの中を歩いた

慌てる彼女の顔と目が合って

目をそらす彼女

俺は普段なら俺も目をそらしてしまうが周りがいないし

その様子を見てた


夏祭りの会場は神社で待ち合わせの集合場所は

神社の土地の中心部 竹藪たけやぶに覆われた底なし沼のとなりだった


彼女の腕をつかみながら 人だかりをすり抜けて、ひとだかりの前で立ち止まったとき

彼女がしゃべった


「底なし沼って本当に底がないのかな?」彼女が言って

俺は振り返って

「底に泥がたまって抜け出せないだけだろ」と答える

「でも神社だからなにかあるかもよ」

「何が?」俺は立ち止まって聞き返した

「・・・骨とか」

「骨?」俺は笑いながら答える

「底なし沼だもん」

「それは入って確かめてみたいな」

そういうと

「沈んじゃうよ」

「沈まないだろ」

「沈むよ、泥があるんでしょ?入って確かめるのは不可能だよ」

「・・・竹でつっついてみるとか」


「あ」

彼女が言った 俺の後ろを見て


俺たちが待ち合わせる場所に人だかりができていた

待ち合わせに使っていた人たちは俺たちだけではなかった

学校の先輩や、先輩の先輩とかもいたりした

「誰だよ、こんな場所選んだの」俺はボソッとつぶやいた


祭りにはもめごとも憑きつきものだった


俺のとなりの席のやつが

先輩に絡まれていた



挿絵(By みてみん)


http://22182.mitemin.net/i262821/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ