【第10小節】 残暑はあついざんしょ?
誰もが欲しがる彼女の隣の席を手にした俺は
2回目逃した
それから3回目の席がえ、今度も隣の席に座りたい俺がいた
2学期が始まった
夏休みの間は、はっちゃん、彼女と会えなかったから
2学期が待ち遠しかった
教室に入る
ガラガラ
「久しぶり~」
「久しぶり~」なんて声がする
久々の教室だ
「お、甘辛兵長だ!」
「甘辛兵長」「甘辛兵長」
「なんだそれ・・・」
俺のあだ名は 甘さんから甘辛兵長というあだ名になっていた
なぜかは知らないが勝手にそう呼ばれてた
はっちゃんは谷ちゃんと呼ばれていた
谷間のことらしい
谷間については気になったので
その辺のクラスメイトに聞いてみた
部活で谷間が上から見えたとかいう話だった
見たやつを殺したいそう思った
彼女の谷間を見たのは誰だか結局わからなかったが
俺のあだ名をつけてる犯人はとなりの席のあの先輩に絡まれたやつらしい
あいつのあだ名はデコが広いのでデコとなっていた
塾にゲームばかりだったので話題についていけないし
勝手に話が進んでいく感じがしたがなぜか俺は自動的に会話の中にいた
2学期になって席替えが始まった
くじ引きである
クラスは30人で隣になれる確率を考えても
到底彼女の隣は難しいと考えた
だが俺はまたもや窓側の席だった
運がいいのか悪いのかはわからない
彼女は一番前の席だった
窓側の席はクラスでもみんな欲しがる席で
一番前なんて誰もが嫌がる席だった
憎き隣はデコだった
彼女のとなりはデコだった
だから俺は彼女の隣に選ばれたデコに
「交換しようぜ」って交渉した
「え・・・え~~~~まじで?」と
窓側の席と彼女のとなりを手放すか
迷っていたので片足でじだんだを踏んでみたら
見事交換してくれた
俺は交換してくれたデコの肩をポンポン叩いた
やったー
俺からキラキラしたものが出た気がした
一番前の席だと振り向くと誰かしら俺に話しかけてくる
遠くにデコが見える
俺を見ているデコ
交換してよかった
デコに感謝だ
一番前の席になったことでクラスメイトの友達が増えて
「夏休み何してた?」の話で盛り上がった
俺は塾に1日1時間のみのゲームばかりで
飽きていたから他のクラスメイトが何をして遊んでいるか
興味があった
どうやら中学になると
ゲームセンターとかカラオケで遊ぶらしい
「甘さん、カラオケ行かない?」って誘われて
「いいよ」俺は答えた
男子数人で遊びに行くことになった
「どうせだったら終わったら花火しようぜ」
「花火?」
「公園とかで」
「女子とかも呼ぼうぜ」
「あーいいねいいね」
「誰呼ぶ??」
なんて話が膨らんで
どんどん人数が増えていったのだった
「カラオケ人数多すぎだから、花火だけにしようぜ」
「あーそうしよっか」
「金ないしな」
最初の目的から話がズレ
女子が目的となっていき
花火に女子を誰を呼ぶかと誰が呼ぶかという話になった
授業が終わって休み時間にデコを誘う
デコの曇っていた目は輝きを取り戻した
俺はもちろんはっちゃんを呼びたかったが、
デコは違う女子が好きでその女子を自分で誘えないから
席を譲った代わりに
俺が誘うことになった
「花火しない?」って聞いたら
「え」って聞き返された
俺がそのデコが好きな女子を好きだと
たった数分でうわさが流れて次の休み時間には
他のクラスの奴が廊下からクラスを覗きにきていた
仕方がないからクラスの花火にいくメンバーを俺が全員誘った
一人誘ったからまずかったので全員誘った
無駄な苦労を俺はした
でもはっちゃんだけは俺は誘えなくて
どうしようか悩んで
下駄箱で放課後待った
下駄箱で待っていても彼女は来なかった
体育館から部活へ行っていた
デコの好きな女子に声をかけてから
はっちゃんの視線が痛い感じがしたので
嫌な予感がして
絶対に今日誘わないとまずいと思っていた
俺は部活が終わる5時まで待って
女子の群れで下校するはっちゃんに声をかけることになった
男俺一人だった デコは捕まえたが帰られた
はっちゃんはバレー部で バレー部の女子は背が高かったし
顔立ちも良いメンバーがそろっていて
はっちゃんの先輩たちがジロジロ俺を見た
この状況で花火に誘うのかよ・・・と思ったが
とりあえず声をかけてないのははっちゃんだけだった
「花火行くから、来るだろ?」って
俺は彼女に言った
「うん」
他の女子が興味津々に俺を見る
俺はすぐさまこの場から立ち去りたい
「次の土曜日、詳しくはデコに聞いて」って言って
彼女が「うん」って答えた
彼女の周りの女子がヒューヒュー冷やかしてる
「・・・じゃあな」
俺は走った
その場から逃げたといってもいいだろう
全力で走った 家まで全力で走った
こうなったのもデコのせいだ
「明日蹴っ飛ばしてやる」
俺は決めた
9月なのにまだ暑い
夏の残り
残暑
全力で走って俺は余計に暑かった
極寒の冬よ来い
ガチガチに凍ったような非常に冷たい
アイスを顔面から被りたい
全力で走りながら思った
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