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第45話:開戦

「とにかくリープ、全員にサポートだ!」


 俺はどんどん近づいてくる巨大船団を前にリープへと指示を出す。リープはこくりと頷いた。


「時間がないのでさっさと行きます。すーぱーちょっぷらっしゅ」


 リープは横にスライド移動しながら横一列に並んでいた俺たちに次々チョップを叩き込んでいく。パワーアップのためなのはわかってるがこの方法だけはなんとかならんのか。


「おおーっ! 相変わらず力が溢れてくるねぇ! これならいけるよみっちゃん!」

「いや。これでもかなり劣勢だけどな?」


 万単位の敵相手に俺達だけって、完全に悪夢だからね?


「ていうかリープ俺だけチョップ強くね? まだ痛ぇんだけど」

「マスターは特別サービスです」

「嫌な特別扱いだね!? 今後は普通でお願いします!」


 若干フラフラしながらも目の前の船団を睨みつける俺。やがて船団からは黒服を来た男たちが大量に降りてきた。どうやらこの海賊の子分らしいが……もはや子分って量じゃねえだろあれ。一国の軍隊に等しいわ。


「ええい、仕方ねえ。メイン火力は俺がやるから、ティーナはリープを守ってくれ! リアは俺の警護。リープはサポートが切れそうになったら遠慮なくチョップを追加しろ!」


 俺はハリセンを構えながら皆に指示を出す。この状況ではチームワークがものを言う。人数がいないんだからせめて統率くらいは取れてねぇとな。


「ちょっと! わたくしは何をするんですの!? 敵の回復!?」

「ありえねーだろ! マリーは俺の体力を定期的に回復してくれ! これだけの敵を吹っ飛ばすんだ。体力の消費も半端ねえだろう」

「地味ですわ! せめて敵のボスを回復させなさい!」

「スパイか何かかな!? その変なこだわりは捨てろ!」


 俺はマリーに鋭くツッコミを入れる。マリーは口を3の形にして不満そうにしながらも「わかりましたわ」と返事を返してくれた。ほんとに理解してんのかな……地味だけどかなり重要な役割なんだぜ? 体力尽きたら俺死ぬし。


「それより敵さんが来たみたいだよミッチー! 頑張ってハリセン振って!」

「頑張るけどなんか頑張れない応援だなそれ!? ツッコミ大会かよ!」


 しかし、事実だからしょうがない俺は大きく息を吸い込んで今にもツッコんできそうな海賊たちに向かってハリセンを横薙ぎに振りかぶった。

 なんでいつもこうなっちまうんだか……しかしまあ、しょうがねえ。これもランハーの世界を守るためだ!


「いくぜ! “てめーら海賊のくせにお揃いのスーツなんか着てんじゃねええええ”!」

『ぶへあああああ!?』

『なっなんっ。ぎゃああああああ!』


 俺の一薙ぎで吹き飛ばされていく大量の海賊たち。一瞬にして近くの山は黒服の男たちで埋め尽くされたが……それでも全体の五パーセントってところか。


「ああ、もう、マジかよ。どんだけいるんだこいつら」


 俺が吹き飛ばした第一陣は去ったものの、船の中からまた無数の男たちが降りてくる。リアは先陣を切ってくる黒服の男たちを酒の水圧で吹き飛ばした。


「だいじょーぶ! みんなで頑張ればやれるさ!」

「うむ! いざとなれば私が脱ぐ!」

「脱ぐなぁ! 変なツッコミで体力使わせんじゃねーよ! マリー! 俺が三発ツッコんだら回復してくれ!」

「仕方ないですわね! マリー・ヒーリング!」

「三発ごとだってば!? でもありがとう!」


 マリーの一声に合わせて黄緑色の光が俺を包む。それと同時に体力が全快するのを感じた。今更だけど本当すげえ威力だなあいつの魔法。これが攻撃に使えれば戦況もかなり楽になるんだが……


「無いものねだりしたってしょうがねえ。とにかく行こうぜ、みんな!」

「「「「おー!」」」」


 俺たちは結束して迫りくる海賊たちを倒し続ける。付近の山はもう詰め込めないくらい黒服で埋め尽くされ、もはや黒い山と化している。

 こうして俺たちの無謀すぎる戦いはその幕を開け。俺は勝利目指してハリセンを振り回すのだった。

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