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第31話:露出無双

「ふはははは! 食らえい! あーっはっはっはっは!」


 リアは両手から物凄い勢いで酒を噴射し、スラスターの集団を吹っ飛ばしていく。スラスターと言ってもその種類は様々で、機械生命体型、ゾンビ型、スライム型など多種多様だ。

 しかしリアはそんなもの知るかと言わんばかりの勢いで近づいてくるスラスターを次々を吹っ飛ばし、住宅の壁などに叩きつけていった。


「なんか戦闘後の街の損害が心配だが……仕方ねぇ! やっちまえリア!」

「まっかしとけーい!」


 ノリノリで近づいてくるスラスターを吹っ飛ばしていくリア。酒臭いのが難点だがまあそれくらいは我慢すべきだろう。何せ今は緊急事態だ。


「よしリープちゃん! 私にも是非サポートをお願いするよ!」


 妙に張り切った様子でリープに近づくティーナ。リープは「了解しました」とこくこく頷いている。


「おいティーナ。まさかとは思うが露出する気じゃ……いや、今は制服を着ているんだから無理か」


 前が思い切り開けられるコートならまだしも、今は学園都市の制服姿だ。これなら露出はできまい。


「みっちゃん。考えが甘いね……」

「うん?」


 含みのある表情をするティーナ。俺が頭に疑問符を浮かべていると、ティーナはにっこりと微笑んだ。


「服さえ着てれば露出はできるんだよ」

「中止だリープ! こいつサポートしちゃダメなやつだわ!」


 駄目だこいつ完全に露出する気だ。パワーアップした露出を許すわけにはいかない。いやパワーアップした露出って何だよクソが。


「気合い注入!」

「さぱんぷ!」

「ああ、遅かった……」


 リープの遠慮のないチョップがティーナの頭部に突き刺さる。

 ティーナは少しふらついていたが、やがて金色に輝き始めた。


「ふははははは! 力が溢れてくるようだ!」


 ティーナは完全にキャラが崩壊し、高笑いを繰り返している。そしてそのまま中央管理塔の屋上に設置された給水タンクの上に飛び乗った。


「くらぇいスラスターども! ハイパー露出バーニング!」

「!? まずい、目を閉じろリープ!」


 俺はぎゅっと目を瞑ってリープの目を手で覆い隠す。リープは「前が見えませんマスター」とか言っていたが、目が潰れるよりはマシだろう。

 目を閉じていてもなんとなく強い光が発せられているのはわかる。しかし、目が潰れるほどではなさそうだ。俺は恐る恐る目を開くと、そこには予想した通りスカートを上にまくって露出しているティーナの姿があった。

 ティーナのスカートの中からは眩い光が発せられ、普段なら近くにいる人間くらいにしか見えない光がスラスターの軍勢を包み込むほどになっている。よく俺の目が潰れないもんだなと思うが、まあこいつの露出に関して理屈はいらない。とにかくこわい。


「ふはははは! 見ろみっちゃん! ゾンビがゴミのようだ!」

「と、溶けてる……!」


 ゾンビは光をティーナのスカートの中から発せられる光を浴びると苦しみもがきながら溶けてなくなる。え、なにこれどゆこと?


「どうやらあの光は聖なる光……つまり浄化作用を持っているようですわね。だからゾンビが浄化され、溶けているのですわ」

「あれ聖なる光だったの!? 嫌だよ陰部から発せられる聖なる光!」


 俺はうんうんと頷いているマリーにツッコミを入れるが、確かにそう考えればこの状況も理解できる。

 軍勢の三分の一程度を占めていたゾンビは次々と溶けてなくなり、教員たちからはその結果だけを見て歓喜の声が上がっていた。どうかティーナが露出している事実に彼らが気付きませんように。


「さて、ではついにわたくしの出番ですわね! わたくしがパワーアップなんてしちゃったら戦いを決着させてしまうかもしれませんわ!」


 マリーは自信満々でえっへんと胸を張る。その自信がどこから来るのかわからないが、俺は感じたままのことを言葉にした。


「そうだね。決着するかもしれないね。こちらの全滅で」

「なんでこちら側ですの!? わたくしの魔法ならあんな奴ら一発ですわ!」


 俺の言い草に納得がいかないのか、ぶんぶんと手を振るマリー。俺は乾いた笑顔を浮かべた。


「そうだね、一発だね。一発でこっちが全滅だね」

「信用のなさがエグい! 今に見てらっしゃい、土下座しながら激辛麺を食わせてやりますわ!」


 びしっと俺を指差すマリー。こいつの場合魔力量が化け物じみてるから不安しかないんだが……まあ確かに、戦局を一変させるかもしれん。ここは賭けてみるか。


「よぉしわかった、俺も男だ。やっちまえリープ!」

「そこまでの覚悟が必要ですの!? もおおっ! バカにして!」


 ほっぺをぷくーっと膨らませながら不満そうにするマリー。リープはそんなマリーの様子に全く反応を返さず、眠そうな表情でマリーへと近づいていった。


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