第24話:わかりませんわ
「へえ。マリーとティーナは普通に制服似合うな」
購買にやってきた俺たちは学園都市の制服に着替える。マリーとティーナは先に更衣室から出てきたが、中々似合っている。デザインはブレザーにスカートという無難なものだが、二人とも違和感がない。実際の年齢を聞いてないが、見た目は若いからな。まあ当然だろう。
「あ、あなたに褒められても嬉しくありませんわ!」
「ふふ、興奮してもらえると嬉しい」
「わぁ。ろくな反応がない」
もうこいつらを褒めるのはやめよう。
「じゃーん! どうよミッチー! ぴちぴちかい!? ぴちぴちかい!?」
リアは突然更衣室から飛び出し、セクシーなポーズを決める。俺は心に浮かんできた言葉を素直に口にした。
「コスプレ感がすごい」
「女神チョップ!」
「妙に重いっ!?」
リアは俺の頭部におもっくそチョップを叩き込む。俺は頭をさすりながらリアを睨みつけた。
「いきなりチョップすんなよ!? 頭割れるだろが!」
「一度割れるといいよ」
「闇が深い!? ごめんなさい!?」
完全にリアの目が死んでいる。なんだかわからんが地雷を踏んでしまったようだ。
「とりあえずこれで制服は揃ったな。後は何をすればいいんだ?」
ティーナは胸の下で腕を組みながらマリーへと質問する。マリーは元々学園都市に憧れてたみたいだし、入学の流れを知っていると思ったんだろう。
「わかりませんわ」
「ん?」
「まったくわかりませんわ」
「わかんねーのかよ! じゃあ今の状況って何!?」
「コスプレしてはしゃいでる四人組」
「つらい!」
駄目だ。こいつらに任せた俺が悪かった。こうなったら受付でも何でも行って入学届を提出しなければ。
俺は入り口で密かにゲットしておいたマップを広げ、“総合案内”と書かれた受付の場所を確認した。
「とにかく受付に行くぞ! このままだと何しに来たんだかわからん!」
「えー? アタシはもう満足なんだけど」
「でしょうね!? でも入学するのが目的だからね!?」
口を3の形にして不満そうにするリア。俺は即座にツッコミを入れ、リアの首根っこを掴んだ。
「おら、行くぞ! 二人も付いてこい!」
「ふむ」
「わかりましたわ」
こうして俺は総合受付へと歩みを進める。この時はまだ、入学までに聳え立つ大きな壁の存在に気付いてすらいなかった。




