表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/22

エンディング

 祠の中から四獣の様子を伺う。


「……入ってこれないみてーだな」


 塩の結界のおかげで、四獣はこっちに入ってこれない。

さっきから祠の周りをウロウロしている。

しばらく待ってれば、黒髪がやって来るはずだ。


「……」


 俺は、額にじっとり汗をかいていることに気が付いた。

別に、祠の中が蒸し暑いってわけじゃない。


「緊張してんのか、俺……」


 黒髪は、最初はロクでもないやつだと思ってたが、案外憎めない性格で、可愛いところもある。

……って、んなこと考えてたらダメだ。


「……やるしかねえんだ」





 しばらく経って、向こうから誰かが来るのが分かった。

そして、次の瞬間、四獣がその人物の中に入り込むのを目視した。


「……」


 俺は手のひらの汗を服で拭い、柄に手をかけた。

体を乗っ取られた黒髪が、ゆっくり祠の中に入ってくる。

さあ、斬りかかれ!

ところが、自分の意思とは裏腹に、一歩後ずさった。


「その剣…… 覚えているぞ。 俺たちを斬り伏せた剣だ」

 

 相手がゆっくり間合いを詰めて来たかと思うと、一気に地面を蹴って俺につかみかかって来る。

俺はその場に倒され、両手で首を掴まれた。


「若草家の者め、ここで死ねっ!」


 相手は、濡れた雑巾を引き絞るように、俺の首を絞め始めた。


「う、ぐっ……」


 く、苦しい……

視界がチカチカする。

殺られる前に、殺らねえと……


「う…… しお……」


 ……四獣を、殺してくれ!






「……」


 気が付くと、俺はベッドの上に横たわっていた。

ゆっくり起き上がり、時計を確認する。

夕方の6時。

俺は、玄関に向かい、立てかけてあった剣を手に取った。

それを、恐る恐る抜いてみる。


「……うぷっ」


 その場に剣を投げ捨て、トイレに駆け込んだ。


「ごええっ、おえええっ」


 剣にはべっとりと血がついていた。

黒髪の血に違いない。

俺はビビって、牛尾に黒髪を斬るように命じた。

だから、その瞬間のことは覚えていない。


「……そうだ」


 俺はスマホを取り出し、録音しておいた音声を再生した。

そこには、祠の中でのやり取りが記録されていた。


「……これで、いい」


 これが証拠になって、俺は罪には問われない。

ふらついた足取りでベッドに向かう途中、突然、呼び鈴が鳴った。


「……!」


 誰だ……!?

俺は胸に手を当てて、高鳴る心臓が落ち着くのを待った。

そして、扉を開けると、そこには男がいた。


「リトルさんですね? 私、こういう者です」


 男が持っているのは、警察手帳だった。

……落ち着け。

黒髪の件は事情を説明すれば罪には問われない。

しかし、男は思わぬことを口走った。


「今朝、パン屋で男の作業員が殺されました。 長い刃物で斬りつけられており、目撃証言もあります。 申し訳ありませんが、家の中を拝見させてもらいますよ」


 俺は頭の中が真っ白になった。





おわり

終わりました!

感想、ダメ出しがあれば、よろしくお願いします!

読んでくれた方がいたら、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ