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「こちら側に来てしまいましたか」


 声をかけてきたのは、アイリスのウサギだった。


「……やっぱ、無事じゃないよな」


 こちら側、というのは、霊の住む世界のことだろう。

俺は、死んだ。


「はあ、マジかよ……」


 やっぱ凹む。

新しい人生をスタートさせたばっかだったのに……

俺が肩を落としていると、ウサギが口を開いた。


「……ここから、あなたには2つ、選択肢があります」


 ……天国か地獄、ってことか?

だが、ウサギはある提案を持ちかけてきた。


「今、前回蒔いた塩のおかげで四獣を山に閉じ込めることができています。 一つ目の選択肢は、このまま放置すること。 そして、もう一つは、私の刀の力を使い時間を逆行させあなたを助ける、という選択肢です」


 ウサギは刀の力の説明を始めた。

刀には時間を逆行させる力が備わっており、俺の屍がまだ剣を握っているため、それを発動できるとのことだ。

ちなみに、戻るのは俺がアームズモードを使った時点らしい。

……まだチャンスがあるのか!


「っしゃあ! なら、それ使って速攻逃げようぜ」


「……まだ、話は終わっていません」


 ウサギは今度は神妙な顔つきになり、続きを話始めた。


「誰かが死ぬ、という運命は変えられないのです。 つまり、あなたが助かれば、別な人間が死ぬことになります」


 ……えっ。 


「体を乗っ取られた学生かも知れないし、誰かは分かり兼ねますが」


 辺りを見回すと、学生の姿はない。

意識を取り戻して、山を下りたのか。

だが、もし俺が助かった場合、その中の誰かが死ぬ?


「……参ったな」


 俺は空中で胡坐をかいて、どうするか考えた。






 一つだけ、手がある。

しかも、四獣ごと葬る手だ。

……正直、この手を使うべきかは迷う。

俺は人を一人殺しているし、助かる資格はないのかもしれない。

だけど、こんな所で死にたくねえ!


「あいつには悪いが……」


 俺はこれからやらなければならないことをイメージし、それがまとまった所でウサギに呼びかけた。


「……力を、使う」


「……分かりました」


 ウサギは手にしていた懐中時計のツマミを回した。

すると、景色が逆行し始め、気が付くと俺は四獣が合体し始める地点で立ち尽くしていた。


「お前ら、今すぐここから逃げろっ!」


 俺は倒れていた学生3人を起こし、ここから立ち退くよう命じた。

そして、スマホを取り出し、黒髪に電話をかけた。


「……俺だ、すぐ祠に来い!」


 幸い、黒髪のやつは電話に出た。

とにかく来い、と命令し、電話を切る。

今度は急いで祠の脇に立てかけてあるライン引きを使い、祠の入り口に四獣が入ってこれないよう線を引いた。

四獣3匹が合体を終えると同時に、俺は祠の中に逃げ込んだ。


 



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