新たな霊獣使い
しかし、それが分かった所で、一体どうやって四獣を探せば良い?
……手詰まりか。
「……やっぱ、ポワロを取られたのがいてーな。 学校に潜伏出来ても、探しようがない」
事を面倒にしたのは俺だし、黒髪も協力してくれないだろう。
隙をついて、指輪を取り戻すしかない、そう思った時だった。
「……そういえば、うってつけのヤツがおったな」
黒髪が、そんな風に独り言を発した。
「どんなヤツだよ?」
「おはらい連盟に所属しとる、ウサギの霊獣使いや。 確か、この近辺に住んどったと思うけどな」
そのウサギの霊獣には、現実に沿った仮想空間に、イメージした通りの自分を送り込む能力があるらしい。
「……例えば、四獣学園に16才の俺を送り込むこともできんのか?」
「詳しいことは知らんで。 自分で探してみいや。 夢見亭、で検索したら出てくるハズや」
黒髪と別れ、俺はすぐにスマホで夢見亭のことを調べた。
ホームページが見つかり、そこに詳細が書かれている。
特殊な催眠で、あなたの願望を一日だけ叶えます、とのことだ。
「費用は…… はぁっ、一回100万かよ!?」
道端で思わずでかい声を出しちまった……
手を借りるなら、交渉する必要がありそうだ。
事情を説明して、何とかタダにしてもらいたい所だが……
他の手が浮かばなかった為、結局、俺はこのホームページに書いてある住所に向かうことにした。
時刻は夜の8時頃だ。
夢見亭は都心の古いビルの一室にあった。
建物の脇に掲げられている看板には、ローマ字でYUME MI TEI と書かれていおり、スナックのような雰囲気を醸し出している。
俺はエレベーターに乗り込み、夢見亭のある3階を押した。
「……」
夢見亭のフロアは、オレンジの間接照明で照らされており、その中央にテントのようなものがある。
「し、失礼しまーす」
恐る恐る中に入ると、そこにはテーブルが置かれており、向かいには露出度の高い、エキゾチックな格好をした女性がいた。
「ご予約は?」
「あ、してないんですが…… 俺、霊獣使いのリトルって言います」
チラ、と一瞥された後、女性は口を開いた。




