捜査
あの後、四獣を探し回ったが結局見付からなかった。
「……ダメか」
「匂いも薄まってますね。 もうこの辺にはいないかもです」
どうやら、霊獣は隠れることを優先したらしい。
人に取り憑いて、すぐにここを離れたに違いない。
「……長期的に身を潜めるなら、自分の家が最適だよな。 免許証にも住所は書いてあるし、辿り着けないことはない」
ここに来ていたのは近所の人間の可能性が高い。
捜査範囲が限定されるのが救いか。
「もう一つ、調べねーといけないことがあるな」
俺は事務所に戻り、スマホからおはらい連盟のサイトにアクセスした。
「……人に取り憑いた霊獣を追い出す方法は、と」
ホームページの質問コーナーに、こう記載されていた。
問.友達が霊に取り憑かれてしまったようです。 どうすれば追い出せますか?
解答.ガムテープなどを適当なサイズにちぎり、「除霊」と書き込み、対象者に貼り付ければ良いです。 これで霊が出てこない場合、友達の演技かも知れないので、確認を取りましょう。
「……なるほどな」
ガムテープは明日、駅前の百均で買ってくればいい。
「後は、黒髪のやつに協力してもらって、俺らと霊獣の4人で街中の散策だ」
翌日、俺はまた黒髪のやつを正門で待ち伏せし、事情を説明した。
黒髪が俺を睨み付けながら、言い放った。
「……しくじったんか」
「しくじったっていうか、まあ、とりあえずパン屋行こうぜ」
すると、いやや! と黒髪は駄々をこね始めた。
「お前のせいやろ! 何で協力せなあかんねん!」
俺は、黒髪に向かって指を3本立てた。
「なっ、3本やて……!?」
「まだだ」
そこから更に、1本指を追加する。
「う、嘘やろ…… 焼きそばパン、イチゴミルク、ハニートースト、シナモンロール……」
黒髪の口からヨダレが滴る。
てか、そのラインナップ甘くねーか?




