魔導士への追求
あれから一時間がたた頃、イブキは目を覚ます。イブキは、自分がいる場所が何処なのか分からない状況にいた。起き上がろうとするも、腕は縄で縛り付けられ、イブキは横たわった状態に、焦り出す。イブキは周りを確認した。
(多分、ここは個室だ。それと、窓が二つある。)
確認したはいいものの、身動きがとれない中、少し冷静に考えようとする。しかし、この状況では逃げ出す事が出来なかった。
そこへ、扉が開くと足音がイブキの元へとやって来る。足がイブキの目の前に来た。イブキは見上げてみると、あの眼鏡をかけた男だった。イブキは男へと聞く。
「なんであんたが此処に⁉︎俺はなんで縛られて、こんな処にあるんだ⁉︎」
男はイブキの目線に合わせる為に、しゃがむと不敵な笑みを浮かべながら話す。
「僕は研究家みたいな者でね。君みたいな魔導士に興味があるんだ。いや〜驚いたよ。六つしかない属性に新たに氷があるなんてね。君は実に興味深い存在だよ。出来れば僕と協力して欲しいけどね。」
イブキは男を睨みつけながら答える。
「協力なんか断るに決まってんだろ!こんな扱いをしといて、よくそんな言葉が出るな!」
男は立ち上がると、イブキを見下ろしながら言う。
「確かに、君の言う通りだ。それでも、無理にでも君を研究材料として、保管しておかなければならないんだよ。」
イブキは血の気が引いた。
(研究材料⁉︎保管⁉︎なんなんだこいつ…このままだとまずい‼︎)
イブキは助けを呼ぶ為に叫ぼうとしたが、男が急にしゃがみ、イブキの口をふさいだ。
「駄目だよ。そんな事したら、もっと手洗い扱いになってしまうからね。」
イブキは冷や汗をかく。すると、男は注射器を取り出した。
「まずは、血を取ろうかな?」
そう言う男に、更に焦り出すイブキ。
だが、突然と一つの窓が割れると、そこからレントが現れた。
「見つけたぞ!やっぱりイブキだったか。」
レントの声が聞けた事に、少し安心をするイブキ。男は立ち上がり、レントへと睨みつけながら言う。
「君は何なんだい⁉︎突然、窓を割っちゃって、これじゃあ修理代を払わないといけないじゃないかぁ。」
イブキはレントへと言う。
「そいつは俺を研究材料にしようとしているんだ!」
レントはため息をつくと、剣を持ち出した。男はわざとらしく驚く。
「うわ!君、物騒な物を持って来ないでくれ。危ないだろう⁉︎」
そう言う男に対し、レントは剣を男へと向ける。
「早くイブキから縄を外せ!でないと叩っ斬るぞ‼︎」
レントの圧力に、男はため息をついた。
「分かったから、この子の縄を解くよ。」
そう男は言うと、イブキの腕に縛り付けていた縄を解いた。イブキは急いで立ち上がり、レントの元へと行く。男は言う。
「仕方ないね。まあ、諦めないけど。」
イブキは男を睨みつけていると、レントに首根っこを掴まれ、窓から外へと出た。
レントは隣の屋根へと着地すると、イブキは勢いで尻もちをついた。
「もうちょっと優しくしてくれてもいいんじゃないの⁉︎」
イブキがそう怒ると、レントは言い返す。
「そもそも、お前が甘すぎるんだ!自分の身は自分で守れ。」
もっともな言葉にイブキは言い返せなかった。二人はゴミ捨て場へと飛び降りた。そこへ、少女とウサギがやって来た。二人はゴミ捨て場から出る。レントは少女とウサギに礼を言う。
「ありがとう。二人が居なかったら、イブキを見つけられなかった。」
少女は右手を横へと振る。
「そんな…私の力ではありません。何も出来なくってすみません。」
イブキは少女の事を不思議に思い、言った。
「何でこの子、謝ってるんだ⁉︎」
そこへ、ウサギがイブキの足を踏みつける。イブキは痛がる。
「イッテ‼︎何すんだ‼︎」
ウサギがイブキへと説教をする。
「助けてやったのに、礼も言えないのか!」
イブキは喋るウサギに驚き、ウサギを持ち上げた。
「おい‼︎何をするんだ!離せ‼︎」
イブキは不思議そうに思いながら、ウサギの事を見てテンションが上がる。
「へぇ〜。喋るウサギもいるんだ!凄いな‼︎」
イブキはそっとウサギを降ろした。イブキは少女へと礼を言う。
「ありがとう。レントと協力して俺を探してくれたんだよな。本当にありがとう。」
少女は右手を横に振りながら、照れていた。
夕暮れ時、イブキとレントは少女達と別れ、宿を探す。イブキはレントへと、聞いた。
「あのさ。よく考えたら、宿を見つけても、ルナと待ち合わせしてないから、すれ違っちゃうんじゃね?」
レントは慌て出す。
「何で先に言わないんだ!こうなったらルナを迎えに城へと向かうぞ。」
レントの提案に相づちしたイブキ。二人は城へと向かう。