ダブルトーンでの別行動
イブキ、レント、ルナは大きな城のある街へとたどり着いた。街へと入る三人。ルナはこの街のことを説明する。
「この街はダブルトーン。アニュラスラクリプス城という名前の城があって、コロシアムもあるんだよ。」
すると、店屋が続く道へとやって来た。ルナは嬉しそうに、二人へと言う。
「私、ずっとこんな汚い服を着ていたから、服装を変えたいの。だから服を買いたい。そうだ!どうせならイブキも服を取り替えようよ。その服装だと怪しまれるから。」
イブキは微妙に傷ついた。
服屋へとやって来た三人は、女性物の服専門店へと入る。ルナが選んでいる間、外で待つ二人。何分か待っていると、ルナがやって来た。服装の変わり様に、イブキとレントは驚く。
「どうかな?」
ルナが照れ臭そうにそう言うと、すかさずイブキが言う。
「似合ってるよ!凄く似合ってる。」
ルナは笑顔で喜んだ。今度は男性物の服屋専門店へと入り、ルナがイブキの服装を選ぶ。イブキは女の子に服を選んでもらう事が初めてで、緊張していた。イブキはルナが選んでくれた服に着替えた。すると、ルナからブレスレットを渡された。
「コレは、プレゼントだよ。イブキが私の事を見捨てないでいてくれたから、そのお礼ね。」
イブキは照れ臭そうに、ブレスレットを腕に付けた。服屋から出ると、外で待っていたレントがイブキを見て言う。
「やっとましになったな。」
イブキはムッとした表情になった。すると、ルナが話ずらそうにしながら、言ってきた。
「あのね、私…城に用事があって…あとその前に、美容院に行って髪を切ろうと思うの。」
イブキは驚く。
「用事はいいけど…その長い髪を切っちゃうの⁉︎」
そう言うイブキに、ルナは言う。
「ずっと切ってなかったから、軽くしようと思うの。」
そこへ、レントが話に入ってくる。
「分かった。じゃあルナはこれから城に向かうんだな。俺達は宿を探しに行く。」
ルナは頷くと言う。
「分かった。じゃあここからは別行動ね。それじゃあ行ってくるね。」
ルナはイブキとレントから離れ、城へと向かった。
レントは早速、宿を探しに行こうとするが、イブキがいきなり言い出す。
「俺はこの街を見て周りたい。だから、レントと俺も別行動しよう。」
レントは反対だったが、イブキが言う事を聞かなそうなので、別行動をする事にした。イブキとレントはそれぞれ、別方向へと行く。
イブキは異世界で初めての大きな街に、驚きと楽しい気持ちでいっぱいだった。周りを見渡しながら、進んで行くと、大きな広場へとやって来た。広場には子供達が無邪気に遊んでいる。
(此処は、公園的なところかな。)
イブキは子供達の元へと行く。子供達はイブキの事を見ると、イブキは子供達と目線を合わせる為に、しゃがむ。イブキは頭の中で氷の塊をイメージしながら目をつぶった。子供達は不思議そうにイブキの事を見ていると、イブキは手の平から小さな氷の塊が現れた。それを見た子供達は目を輝かせていた。イブキは目を開き、苦笑いをした。
「まだ、こんな小さな塊しか出来ないけど…。」
そうイブキが言うと、女の子が言う。
「そんな事ないよ。お兄ちゃん、凄いよ!」
イブキは照れていると、眼鏡をかけた男が、イブキの後ろへとやって来ると、イブキの肩を叩いた。イブキは振り返る。
「ねぇ、君のその氷は手品かい?」
そう男が聞いてきたので、イブキは答えた。
「これは魔法なんだって。友達が教えてくれたんだ。」
すると、男の目の色が変わった。
一方、レントは宿を探しながら街を探索していた。そんな時だった。突然と大きな音がし、レントと近くに居た街の人々も、音のした方角へと見ると、少し近くで煙が立ち上っていた。レントは興味本位で見に行ってみた。
そこは、広場だった。白いもやで周りがあまり見通せないくらいで、よく見てみると、子供達が倒れていた。子供達の元へと大人達が側で声をかけている。周りの人々が唖然としている中、そわそわとしている三つ編みをした少女と、側にいる白ウサギが居た。レントは少女に声をかけた。
「ちょっと話を聞きたい。此処で何があったんだ⁉︎」
少女は慌てて言う。
「その、何が起きたのかは私にも分からないのですが、眼鏡をかけた男の人が、男の子を抱えて、この広場から出て行くところを見ました!もしや…これって事件なんでしょうか⁉︎」
レントは男が怪しいと考え、男が抱えていった男の子の事を聞いてみた。
「その抱えられていった男の子は、どんな子だ?」
少女は答えた。
「そうですね…あんまり覚えていませんが、私やあなたぐらいの男の子で、黒い髪をしていました。そう言えば、腕にブレスレットを付けていたような…こんな事しか覚えていなくってすみません!」
レントはその証言から嫌な予感がした。レントは更に少女へと聞いた。
「男が行った方向は分かるか⁉︎」
少女は更に慌て出す。
「す、すみません!覚えていません…。」
そう少女が言うと、側に居たウサギが喋り出す。
「それなら僕の鼻で、男の匂いと言うよりか、煙の匂いが強い方角が分かるから、追えるよ。きっとあの男の匂いだと思うから。」
レントは少女とウサギに頼む。
「悪いが、俺と一緒にその男を探して欲しいんだ。もしかしたら、俺の知っている奴がさらわれたのかもしれない!」
少女は頷き、ウサギはジャンプした。
「分かった!僕が奴の匂いをたどるから、付いてきて。」
レントは少女とウサギと共に、男の行方を探す事になった。