今から始まる異世界での日々
あれから日が落ちてきた頃、イブキ、レント、ルナは炭鉱場からだいぶ離れた森の中へといた。イブキはずっとモヤモヤしたままレントとルナに着いて行っていた。
「あ、あのさ!」
イブキは突然と二人に話かけた。イブキは思い切って聞いて見た。
「この世界って、何なんだ⁉︎しかも、俺のあの力ってなんなんだよ!」
レントとルナはキョトンっとしていた。ルナが口を開く。
「うーんと?イブキて、まず何処から来たの?」
イブキは焦る。
「えっと…いや…だいぶ遠〜くの場所から来たから、人獣も知らなかったし…。どういう処なのかなーと、思ったわけで…。」
レントがイブキに言う。
「此処は、人や人獣や魔導士が差別される、そんな世の中だ。お前、本当に何も知らないのか⁉︎どんな場所で育ったんだ…。」
イブキはふてくされながらも、魔導士というワードが気になり、聞いてみた。
「あのさ!魔導士って何?」
すると、ルナがその問いに答える。
「それは私が説明するね。イブキの力と関係があるんだけど…まずは魔導士が何なのか!だよね。この世界では、魔法を扱える人々は数多くはいない…。魔導士は六つの属性をそれぞれ、使うの。」
すると、ルナは手のひらに、青いパチパチいった球体を出した。イブキとレントは驚く。ルナは話を続ける。
「これは私が扱う電気属性。他にも、火、水、草、土、風の中の一つを魔導士は扱うの。でも、イブキの属性は見た事がないわ。氷の属性なんて…。」
イブキはテンションが上がった。
「それって凄い事なんじゃねえの‼︎俺、一人だけ特別な力!俺ってすげぇじゃん‼︎」
イブキは思った。
(俺のスキルはんぱねぇー‼︎)
しかし、ルナが水を差す。
「ただし!使えこなせなかったら、意味ないわよ。」
イブキは一気に現実へと落とされた。レントはルナに聞く。
「なぜ、あの時に魔法を使わなかったんだ?」
ルナはうつ向きながら答えた。
「私に付けられていた鎖は、魔法を使えなくさせる力があったの…。だから逃げる事が出来なかった。」
すると、イブキが突然に腕を上げ、叫んだ。
「俺は使えこなせるように頑張るぞーー‼︎」
レントは呆れた。ルナは笑った。
「で、何処に向かうんだ?」
イブキがそう言うと、ルナが言う。
「これから、この世界で大きな城のある街へと行くわ。実は大事な用事があるの。」
三人は向かおうとしたいところだったが、日も落ちたので、レントが火を起こし、三人は野宿をする事にした。
夜、レント、ルナが眠りについている中、イブキは夜空を見ながら思っていた。
(ここに来る前も、こんな夜空だったんだよな〜。この一日、長かったな〜。なんで、この世界に来れたんだろう?まあ、そんな事よりも、異世界での新たな人生を始めたばかりだ!これから頑張るぞー。)
そうして、イブキは眠りについた。
翌朝。起きた三人は早速、街に向けて歩きだした。何キロか歩くと、森を抜けた。そこには小さな町があった。その町は静かだった。
町へと入って行ってみると、いたる所の家は、全て窓が閉まっていた。不思議に思う三人の所へと、大勢の男達が来た。男達の中から大柄な男が話かけてきた。
「お前ら、ここは俺達のなあばりだ!勝手に入ってくんじゃねぇよ。それとも身ぐるみ全部、剥いで此処を出て行くかぁ?」
レントが剣を出そうとすると、ルナが前へと出る。男へと言う。
「勝手に町に入っちゃったのは、悪かったけど…身ぐるみを剥いで、出て行く訳には行かないわ。」
イブキがルナを心配している中、ルナは両手から丸いバチバチといった球体を出すと、男達に向けて投げた。男達へと直撃すると、男達は感電した。男達はその場で気を失い、倒れた。イブキとレントは驚く。
そこへ、年老いた男は嬉しそうにして何か袋を持ちながらやって来た。
「ありがとう。本当にあやつらを倒して頂いて嬉しいです。こんなわずかなお礼でしか出来ませんが…どうぞ。」
男は手にしていた袋をルナへと渡した。ルナは袋の中を見てみると、銀貨や金貨が入っていた。どうやら男は、一部しじゅうを見ていたようだ。ルナは嬉しそうに、笑顔で男に頭を下げた。
イブキ達は町を後にし、先を急いだ。イブキはルナへと言う。
「ルナって凄いな。一人であいつらを倒しちまうんだから。」
ルナはイブキへと言う。
「魔法を使えば、あのくらいは出来るわ。イブキも魔法を使いこなす事が出来たら、あのくらいは出来ると思うよ。」
イブキは舞い上がる。しかし、レントがイブキにクギを刺す。
「出来たらの話だけどな。」
イブキはレントへと言う。
「絶対、出来るようになる!」
イブキはそんなやり取りが、心なしか楽しかった。
(こんなに誰かと楽しく話すのは、久しぶりだなぁ。)
そう思ったイブキはニヤけた。そんなイブキを見たレントが言う。
「なにニヤけてるんだ?気持ち悪いぞ。」
イブキは落ち込みながらも、レントにつかみかかった。三人はそんなたわいもない話をしながら、道を進んで行く。