見離されてきた人生
城田イブキは中学生の頃、友を助ける為にいじめている奴らと戦ったが、イブキは逆にいじめられる対象となり、友からは見放された。その事をきっかけに、中学高を卒業後、高校生になるが、いじめを見ても見て見ぬ振りをしていた。
そんな時、親が離婚をし、父親に引き取られるも、父親は朝昼は遊びに行き、夜は帰って来るなり、酒を飲んでばかりいた。そんな父親は学費を払えず、イブキは高校二年で中退し、コンビニエンスストアでアルバイトをしている。
イブキは時々、眠ると同じ夢をよく見ていた。ぼやけて誰だか分からない人影。そして、よく聞こえない声。そんな夢を見ていた。
夏のある深夜、イブキはいつもの様にアルバイトが終わると、まっすぐ家に帰った。
(もう親父は寝ているはず。静かに入れば気づかれない。)
そう考えながら玄関のドアを開け、中へと入ると、暗い部屋。イブキは電気をつけ、父親を探す。異様な雰囲気の中、テーブルの上に一枚の紙があり、父親の字で何か書いてあった。
「書き置きか?」
イブキは読んでみた。
(俺は出て行く。)
そんな字が小さく書いてあった。あの父親が冗談では書かない人だと知っていたイブキは内心、焦っていた。
「俺…一人で暮らせる!けど…俺だけの金でやっていけるのか……。」
不安感に潰されそうなイブキは、家を飛び出し、真夜の住宅街を走り廻る。父親を探すわけではなく、何も考えずに走って行く。
走り疲れたイブキは足を止め、横を見ると公園があった。公園の中に入り、ブランコに座りながら、夜空を眺める。
(俺…どんなんのかな?友達という友達も居ないし…今まで、散々な人生だなぁ〜。こうしていても、何の意味もないし…。)
イブキはふっとある事を思い出した。
(そう言えば、あの夢は何なのか⁉︎時々だけど、よく分からない、あの夢。あれは誰なのか、何を言っているのか、知りたいな…。)
そう考えていた時、前を見ると、街灯の下に立つ、黒ずくめの服でフードを被った男が居る。イブキは不思議に感じていた。男はどう見ても怪しい。そんな男がイブキへと歩み寄って行く。イブキは男をじっと見ていると、男は右手にナイフを持っている。
気づいたイブキは急いで、ブランコから降りようとするが、体が思うように動かない。どうしても体が動かなかった。
(どうして動けないんだよ!このままじゃあ殺される‼︎)
男は直ぐ側まで来ている。焦るイブキは声を出そうとするも、声が出ない。男がイブキの前まで来た。イブキはとっさに目をつぶり、願った。
(誰か…助けてくれ……。)
目をつぶっている中、大きな岩が崩れる様な音が聞こえてきた。イブキはそっと目を開けてみると、岩だらけで、くたびれた服を着た人々が、不思議そうにイブキの事を見ていた。
(ここって…あの世なの?でも…痛みとか感じなかったけど……え⁉︎)
ここが何処なのか分からないイブキは、混乱し座りこんだままじっとしていた。