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俺の死体は俺しか見てない  作者: 夏野断忘
5/5

第5話 出発

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 フッと力が抜けた。

 気絶しているリリリが車に無理矢理乗せられていくのが横目に見えた。

「痛かった....。でも死ぬ瞬間ってなんか気持ちいいんだよな。んで、これがリリリの言ってた死の狭間か。能力(ちから)は本来ここに来るために存在してるんだっけ?つっても普通の世界と何ら変わんないぞ、俺の死体が目の前にあること以外....ま、そりゃ全然普通じゃないけどな」

 鳴瀬はただ時が経つのを呆然と待っていた。

「元に戻ったらどうなってんだろうか。グローバルイコールごと消えてんのかな。そしたらリリリとも出会って......あれ?全部無かったことになるんじゃ..」

「ねぇ」

 鳴瀬の前に一人の少女が突如現れた。

「!?....お前、何で俺のこと....」

「ごめんね。好きだよ」

 そういうと少女は外に向かって走り出した。

「おい待てよ!..」

 鳴瀬は追いかけた。

「くそっ!!!!!30秒......」




「あれ?....寝てたのか。あの女の子誰だっけ....どっかで見たような......」

 鳴瀬が目を覚ましたのは自分の家のリビングだった。

「あ、起きた。ちょっと待ってて、もう少しでご飯炊けるから」

「....リリリ?」

「なに?」

「色々どゆこと」

「あぁ、さっきはありがとう。鳴瀬の死因とか色々操ったからこうなった」

「....で、なんでお前がエプロン着てうちの台所にいるわけ?てかさりげなく名前で呼んでるし」

「なんで苛立ってるの?あ、わかった。裸エプロンに期待してたんでしょ」

「ばっ!そうじゃねぇよ!....って何脱ぎだしてんだ!」

「イヤなの?」

「なんなのほんとなんなの俺を惑わそうたってそはいかねぇぞっていうかもし父さん帰って来たらどうすんだ!」

「彼は入院してるわ」

「は?」

「精神的に病んじゃったみたい。手続きとかは叔母さんがやったから心配しなくていいってさっき留守電があったわ。」

「会いに行く。病院教えろ」

「時間を考えなさい」

 時計を見るともう少しで日付が変わりそうな時間だった。

「くそっ....って待てよ」

「なに?」

「グローバルイコールの男に殺されたのにグローバルイコールの存在が消えてないよな、現にその時計グローバルイコール製だし、何よりお前と俺が知り合ってる」

「だから死因とか色々弄ったからよ。私[能力の範囲を操る能力]も持ってたみたい。まぁ他にも細々とした能力を使ったけどね」

「なるほど、それであのスーツの男たち限定で俺の能力(ちから)を使ったってことか」

「そういうこと」

「グローバルイコールを消しちゃうと私消えちゃうし」

「まぁ、いまの時代、グローバルイコール無しじゃ考えらんねぇよな。グローバルイコールフードの冷凍食品好きだし。あれが消えるのは痛いしな」

「そう、私が消えちゃうのは寂しいわよね」

「冷凍食品な」

「私ね」

「「ピピーーーーゴハンガタケマシタ」」

「いまつぐわ」

「ういっす」

こうして鳴瀬はリリリと二人の同棲は始まった。と、思われた。







「おはよ、鳴瀬」

「ん?あぁ」

「行くわよ」

「どこに?」

「グローバルイコール本社」

「なんで?」

「ぶっ潰しにいくのよ!もともとそれが目的で組んでる訳じゃない!」

「俺てっきりこのまま学校に行くとお前が転校生設定で入ってくる的なハーレム学園ものになんのかと思ってたんだけど」

「はいはい」

 呆れた顔をしながらリリリは鳴瀬に顔を近づけ頬に唇をそっと当てた。

「vふぃwhdじゃvcうぁんぃbryx!!!!????」

「はい、これで満足でしょ。行くわよ」

「おま、おま、おま、おま、おま、おま、..........お、おう」

 男って単純だな。鳴瀬は頬が真っ赤に染まったリリリを見ながら思った。

「(はぁ....こっから路線変更して学園ハーレム人生になんねぇかなぁ....)」





「では、本社に乗り込む前に!手順を言います!」

「張り切ってんな~」

「まず昨日みたいに鳴瀬が邪魔なやつにとにかく殺されます」

「ひどい作戦だな。まぁそれしか方法ないんだろうけど..」

「で、私の能力でいい感じに鳴瀬のバックアップしとくから、とにかく最上階の社長室までノンストップで走るわよ」

「そこにあるのか....100%能力」

「ええ、触れ続ければ数%ずつ手に入るわ」

「そこで俺は死者を蘇生させる能力を手に入れる、と」

「そう、で、鳴瀬が能力を使って妹さんを生き返らせたら、私を殺しなさい」

「わかった....はぁ!?」

「いいから、そうしなさい」

「なんでだよ!」

「....そのときになったらわかるわ」

 リリリはうつむきながらボソッと呟いた。

「わかった、いまは聞かない」

「ありがとう」

「あ、そうだ。お前も能力使ったら死の狭間に行くだろ?女の子に話しかけられたことない?」

「女の子?死の狭間の住人かもね」

「死の狭間に住んでる奴がいるのか?」

「えぇ、私も詳しくは知らないけど」

「へー。そいやお前はどんなタイミングで死の狭間にいってんの?」

「最初に能力を使って30秒経ったら現実世界での私は気を失う。そこから30秒間よ」

「死の狭間での時間って共有できないのか?」

「わからない。出来るんじゃないかしら。まぁとにかく自分が生きてようが死んでようが走りなさい」

「わかった。何回殺されても走り続ける。お前を信じてな」





AM7:00 古詩鳴瀬 リリリ 古詩家宅を出発





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