第3話 グローバルイコール
鳴瀬が目覚めるとそこはさっきまでいた川ではなかった。
「ここは....俺が死んだ場所じゃない?ここっていつも通る交差点....」
見渡すと、そこは事故現場のようだった。
「あれ?....轢かれてるのって俺じゃないか?....」
鳴瀬は考えた。
近くにリリリはいない。
そもそも自身は溺死させられたはず。
もしも勘違いしているだけで自身は交通事故で死んだだけなのかもしれない。
「っ....30秒.......か」
そして鳴瀬は意識を失った。
鳴瀬が目覚めたのは本来いたはずの川原だった。
「なにが起こったんだ....」
「言ったでしょ。私は君を殺すなんてこと全くもって怖くないって」
「わかんねぇ。なんにもわかんねぇ....」
「そりゃそうでしょ。私の能力はね、不完全で[よくわからない]ものなんだよ。」
「なんだそりゃ..」
「現時点でわかってるのは、[死因を操る]能力を私は持ってるってことだけ。恐らく私はもう数個だけ能力を持ってる」
「どういうことだよ」
「さっきから君、質問ばっかだなぁ。ていうか逆に質問させてもらうけどそもそも何であなたは能力も持ってるわけ?グローバルイコールとどういう関係なわけ?」
「グローバルイコール?」
グローバルイコールとは様々なメディアに精通している日本トップの企業の名前だ。
「どういう関係って、そりゃ生きていくうえで今やグローバルイコール製の物と関わらないってこと事は無理だろ」
「そうじゃなくて、どうしてあなたは[100%能力]の一部を持っているの?」
「は?お前ほんと何言ってんだよ」
「本当に何も知らないの?知らないわけないじゃない。貴方、どうやって盗んだの?」
「まてまてまて、本当に意味がわからん。1から説明しろよ」
リリリはあきれた顔でこう言った。
「まぁ、100%能力の一部を持ってる人間が味方に欲しいのは確かだし、いいわ、話してあげる」
「あれは数ヵ月前、グローバルイコールは陰で進めていた研究によって100%能力という幻想を具現化させることに成功しかけたの。それはいわば人工的な神の創造。しかし、99.999%まで完成していたその時、盗まれたのよ、そのうちの17%がね」
「さっぱりわからん」
「貴方のその能力だってもとはそのグローバルイコールの100%能力の数%なのよ?」
「....俺が盗んだって言いたいのかよ。あいにく俺は全く理解してねぇぞ今の話。だいたいお前さっき数ヵ月前とかなんとか言ってたよな」
「ええ」
「俺がこの能力に気づいたのって小学生の頃だぞ」
それを聞くとリリリはさっきまでの余裕さを失った。
「な、なにを......グローバルイコールが能力元素の存在にたどり着いたのでさえ1年前のことよ....それよりも前に能力という概念が存在すること自体あり得るわけないじゃない!そもそもおかしいとは思ってたのよ。どうして貴方みたいな人間が存在しているにも関わらずグローバルイコールが手を出さないのかって!」
「そういわれてもねぇ....」
鳴瀬は困り果てた。
「まぁ、もしも貴方がグローバルイコールが手を出さなかったのではなく[手を出せなかった]存在だとすれば、なんとなく筋は通らないことはないわね。でも、貴方が、100%能力の最後のピースである0.001%の所有能力者だとすれば、本当に危ないところだった。私が17%を盗んでいなければ下手したら完成していたのね....」
「よくわかんないけど、お前なのかよ、それ盗んだの」
「でもまぁここに来るまででどうやら8%ぐらい失っちゃったみたいだけど。それに残りの9%だって物凄く不安定なものだし」
「..もしもその100%能力ってのが完成するとどうなるんだ?」
「世界中、いや、宇宙全土の概念そのものをねじ曲げてしまう」
「そんな大規模なもの、できるわけ....」
「あなたの能力だってわずか0.001%のものかもしれないけれど、自分の死に絡む存在そのものに干渉してきたでしょ。今更、そんなことありえなーいなんて本気で言える?」
「言えないな」
「あら?素直ね」
「で?お前はなにがしたいんだ」
「グローバルイコールを潰す。100%能力は絶対に完成させない。貴方にも手伝って欲しいのだけどどうかしら?私が貴方を直接的に殺さないってわかってる今貴方にできること。100%能力のなかに死者を蘇生させる能力があるかもしれない、それを媽亜ちゃんのために手に入れるっていうのも賢い選択だとは思うけど?」
「全てが成功する可能性は?」
「0.001%....かしら」
「十分だ」
「あら、意外な反応。やっぱり君面白いね。あ、そうだ名前..」
「鳴瀬、古詩鳴瀬。リリリ、だっけ?、さっさと教えろ。グローバルイコールからその能力を手に入れる方法を」
「いいわ、作戦会議といきましょ」
そうして鳴瀬とリリリは歩き出した。