表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愚者と悪魔の物語  作者: らいった
第1章前編  誰にも負けないダンジョンを
9/50

第3話  ダンジョンを作ろうその1 修正済

明日1日休みなので余裕出来るとふんでもう一個投稿。

「それでメッセージは終わったようだが、そろそろダンジョンについての説明を頼めるか??」


 アスモデウスからのメッセージを終えた後、俺は液晶画面に問いかける。


「かしこまりましたマスター。それでは部屋中央にある水晶球に触れてどのような情報が欲しいか考えてくださいませ」


 言われた通りに俺は両手で球に触れダンジョンの仕組みを知りたいということを考える。すると、壁の液晶に文字が現れ同時に音声が流れる。



○●○



~~~スライムでもわかるダンジョンの創り方~~~



(1)入門編



①ダンジョンにおいて有機、無機問わず全てのモノを生み出すためにはダンジョンポイント、通称DPを消費します。


②消費DPは強い魔物や効果が高いモノほど高くなります。


③ダンジョンでの魔物の食事にも全てDPが必要となりますので常にマージンをとっておく必要があります。


④ダンジョンでは宝箱作成の義務があるので毎年初めにDPを徴収させていただきます。


⑤DPはダンジョンに進入してきたモノを倒すか、外でダンジョンで創られた魔物が別のモノを倒すことで手に入ります。


⑥総取得DPがある程度貯まるとダンジョンマスターの格が上がります。




(2)応用編


①ダンジョンはマスターの格、消費されたDPなどによりランク付けされます。ダンジョン起動中は例外なく周りが光っていますが、青が初心者、黄が中級者、赤が上級者向けというように冒険者にわかりやすくなっています。また、ランク上昇によって作成出来るモノが増えますので頑張りましょう。


②魔物は格が高いモノほど消費DPが高くまたマスターより格が高いと言うことを聞かない可能性があります。しかし、格の低い魔物を進化させていけば、格が高くなろうとも、言うことを聞きます。魔物は使いすてにせず、大事に使いましょう。


③ダンジョン内で食事を作ると確かに楽だが、DPがかかる。それにお困りならばダンジョン外への採取へ行きましょう。外の世界のモノはDPを消費しませんし、外の世界には人間や他のダンジョンの壊滅に伴い野生化した魔物が存在します。これらと自分の魔物を戦わせてレベルアップをはかると良いかもしれません。ダンジョンの魔物は取得経験値の半分をダンジョンマスターに供給しますので、ダンジョンマスター自身の強化にもつながります。巧く活用して強くなりましょう。


④ダンジョン経営は何も穴蔵の中をいじるだけではありません。ダンジョンによって異なるが、周りの土地も経営の範囲です。油断しているモノを罠にかけたり、家畜を飼って自給自足をしたり、巧く使って賢く生きましょう。




○●○



「このような点がダンジョン経営の注意点になります。なお、現在当ダンジョンは前方を通る川と、周りを囲む崖までを領土とする超初心者用ダンジョンとして登録されております。また魔王アスモデウス様よりダンジョン改装費200ポイントを引いた800ポイントのDPが譲渡されており、ここから年間初級ダンジョン宝物代400ポイントを引いた400ポイントが当ダンジョンの現DPとなります」


「400ポイントという数字が多いのか少ないのかわからないのだが?」


「そうですね、初心者の頃は階層を増やさず500~600位のポイントでやりくりをするのでそう考えると多少は苦しいかもしれません」


「さすがに魔王が手助けをしないと言ったからには楽は出来ないか。まぁいい。とりあえず今ダンジョンで作れるモノを教えてくれないか?」


 了解です。と言葉が響き、液晶が光り輝く。





○●○



~~~ダンジョンNo.5121の現作成可能物一覧~~~



〈ダンジョン付属物、罠、etc……〉



・新規ダンジョン階層作成;100DP※一つ追加毎に+50DP



・新規ダンジョンフロア作成;50DP



・新規階段作成;20DP



・隠し扉作成;40DP※フロア内の魔物殲滅で開錠と隠しスイッチで開錠の任意選択可



・ダンジョンフロア改装;2DP※一カ所変える毎に2消費



・魔物のエサ;1DP※(1人前)



・人間の食べ物;1DP※(1人前)



木材、鉄による生成物;2DP※家具などは1DP




・落とし穴;20DP※大きさは人3人分



・落とし床;100DP※フロア全体を落とし穴化



・水流トラップ;30DP※フロア1部屋分の水を発射



・針の穴トラップ;60DP※自動発動式かリモート式の選択可能



・放電トラップ;50DP※設置場所通過時に電流発生





〈モンスター〉



・スライム;2DP ※全ての能力が最低な代わりに消費DPが最も低い液状体の魔物。



・ゴブリン;5DP ※スライム程ではないが能力値が低い子鬼の魔物。上位者の命令にはよく従い、そこそこ手先は器用。



・ゴブリンリーダー;10DP ※ゴブリンの中で群れを率いる長。




○●○



「以上です。このデータから読みとれるダンジョンの特徴としては極めてオーソドックスなタイプです。ですのでこのダンジョンがどうなるかはマスター次第であります」


「ありがとう。助かったよ。……さて、作るとしてどう作るべきか、何かオススメはあるか?」


 労いの言葉をかけた後、再びダンジョンに尋ねる。


「とりあえずはマスター達の部屋は作るべきかと。やはり住む必要があるからにはきちんとした環境が必要です。また、罠などに関しては私が最初から考えるよりもまずマスター達が考えてくださいませ。それに私が手を加えましょう」



 確かに部屋は必要かもしれない。とりあえず50DPは確保だな。罠に関してはうまくかわされた気がするが、気にすることをやめて今度は先程から黙っている悪魔に問いかける。



「メフィスト、お前はどうだ?」


「あらあら主様??私に聞くんですかぁ??いいでしょう、教えて差し上げましょう私のキワモノ尽くしのプランを!!ーー」


「お前に聞いた俺がバカだった」


 嬉しそうに語り始めようとする猫を黙らせ、どうしようかと考えているとふと疑問が浮かんだのでダンジョンに尋ねた。


「罠で殺した場合、経験値はどうなるんだ??」


「その場合進入者の自殺と認識され、DPは入るもののマテリアの経験値は入りません。しかし、魔物との戦闘中に罠で死ぬと魔物の経験値になります。ですから罠は積極的に使わず、補助として使う方が多いですね」



 ……ふむ、なんとなくイメージが浮かんできてはいるものの実行出来るかがわからない。と、そんな心を読んだのかダンジョンが声をかけてくる。


「イメージがあるのならば球に触れてみてください。マスターのイメージをシュミレートして計算してみますので」


 ちょうど良いタイミングだったので俺は頷き、球に触れイメージをしてみる。すると液晶にダンジョンの立体図と俺の考えの詳細が現れた。



「………………」



 立体図になり一連のシミュレーション情報が写し出されるモノ。しれにダンジョンの声もメフィストも黙ってしまう。何かまずかったのだろうか?? そう思った矢先、黙っていたメフィストがいきなり興奮しだした。


「本当に最高です主様。私に考えられないことを平然と考えるそこに「シミュレート完了。問題はありません。マスターお見事です」


 メフィストの言葉に被せるようにダンジョンの声が響く。


「懸念材料として魔法が考えられますが、当ダンジョンにくるレベルの冒険者が使える魔法に脅威となるものが考えられません。よってこのプランを採用したいと思います。同意するならば念じていただけますか??」


 俺は頷き返し、了と念を送る。


「それではマスター達の部屋も含み、合計328ポイントのDPを消費し、ダンジョンを作成します。なお本行程は1日で完成予定です。」


「……1日か。その間に家具を揃えたりして生活する準備をしておくか。いや、そもそも侵入者が来ないとは限らないか。そこらはどうなっているんだ?」


「当ダンジョンはつい先程再起動したためまだ冒険者ギルドに認知されていないでしょう。この場所は戦乱とは程遠く、50年程前に前マスターが暴れて以来大きな出来事もなかったので大した人員も居ないと思われます。ですから焦ることはないかと」


 ならとりあえず身の回りを固めるとするか。しかし、いつまでも受け身ではいられないしな……。そう思っているとふと悪魔が妖しい笑みを浮かべているのが見えた。


「ふふふ、どうやら主様は猫の手も借りたいようですねぇ。……いいでしょう、今は猫の身である私がこのダンジョン向けの適当なカモを連れてきてさしあげましょう。ーーーただし、」


 猫の姿をした悪魔は言葉を区切り、笑みを消して言う。


「主様には私が連れてくる間に覚悟をしていただきます。ーーつまり、元は同じ種族だった人間を殺すことを。ああ、強がらなくていいですよ?? 私の本体が主様の中にある影響で主様の心理はまるわかりですから。……そう、主様は心の奥で嫌悪しています。自分が人を殺し、平然としている悪魔になることを。ですが主様はそれ以上に渇望しています。たとえ悪魔になろうとも、心を満たし、レナさんに会いたいと。ですから主様、覚悟を決めてくださいませ。私が歩ませた道なれど、主様にはもう進んでいただくしかないのです。さもなければ私は貴方を殺すことになるでしょう」


 それでは行って参ります、という言葉と共に黒猫が出て行く。


 俺は呆然としているしかなかった。ーーメフィストは間違ったことなんて言ってない。けど決して割り切れるものでは無かったからだ。


「差し出がましいかもしれませんがマスター、私はメフィストフェレス様の言うとおりだと思います」


 呆然と立ち尽くす俺を前に、機械的な音声が響く。


「私は魔王様より大雑把な事情しか聞いておりませんが、今マスターが心の奥で大変苦しんでいるのはわかります。ですが貴方様の苦しみは私には自己防衛にしか見えません。今の貴方様を見ていると、まるで人間以外は生き物ではないように思っているようにしか見えないのです。

 しかし現実はそうではなく私達だって生きている。ですからマスター、貴方様は殺すことをただ嫌悪するのでなく、今までとこれから、命を奪う全てのモノの思いを喰らい、それを乗り越え己の望みを叶えてくださいませ」


 1つ1つ言葉を選ぶ用に紡がれるダンジョンの声。その言葉に俺は金槌で打たれたような衝撃を受けた。


「……そうだよな、俺はもう沢山の命を喰らっている。それにこれからメフィストの命を喰らおうとしているのに、たかが人のために何をためらっていたんだろうな」


 此処までの道程に俺はすでに多くの命を奪った。生きるため、ダンジョンに辿り着くため、この手で魔物という命を奪っていたのだ。



「ありがとう。君のお陰で迷いが吹っ切れたよ」


「いえ、私ごときが役に立てて光栄です。……ところでマスター、差し出がましいのですが1つだけお願いを聞いてもらってもよろしいですか?」


「何?」


 不意にかけられるダンジョンの声からのお願い。迷いを吹っ切るきっかけを貰ったわけだから出来る限り答えたいと思うものの、どんな願いがくるのかと思わず身構えてしまう。


「私に名前をいただきたいのです。前マスターにいただいた名前があるのですが、正直ブーブー口うるさいからブータなんて名前をつけられたのが嫌なのです。ですから是非名前をいただきたいのです。新たなマスターである貴方様から」


 確かにブータはひどい。声質からして女性的な印象を受けるダンジョンの声には似つかわしくない。故に俺は御安い御用だと名前を考え始め、ふと頭に単語が浮かんだ。


「それなら今日から君の名はヒェンでどうだ?」


 直感で選んだ名前。何時か読んだ物語の登場人物か何かの名前を呼び反応を見てみる。


「はい、ありがとうございますマスター。今日から私はヒェンと名乗らせていただきます!!」


 機械音声ながら嬉しそうに聞こえるヒェンの声。それを聞きながら、ふと部屋の入り口の柱の影から何か黒いものが覗いているのが目に入る。


「うぅ……主様が他の女(ダンジョンの仮想人格)と浮気しているぅ……この泥棒猫め~!!キィィ~」


 そこには先程出て行ったはずのメフィストがいた。


「お前あれだけ格好良く決めて出て行ったのになんでいるんだ??」


「格好良く出たのは良いけど、私は川を越えられないのでした。ですから、主様どうか橋を作ってくださいな」


 さすがにかなづちが恥ずかしいのか照れてねだってくるメフィスト。結局奴のためにDPを消費して橋を作ってやり、忙しかったダンジョン一日目が終わるのだった。




○●○


N;ファウスト

R;スライム

C;一般悪魔(見習い)


Lv60


浸食率;12%

残DP;70


new〈特性〉なし


newスキル なし


new〈称号〉・(ダンジョンマスター(予定))→(ダンジョンマスター)



ーーーホームダンジョン内において全ステータスに2段階上昇補正ーーー




○●○



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ