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愚者と悪魔の物語  作者: らいった
第1章前編  誰にも負けないダンジョンを
7/50

第1話  森へと進むモノ 修正済

お気に入り登録が少しずつ増えていくの見るのって嬉しいですね~


ホントこんな文を読んでくれるだけでありがたいですm(_ _)m


読者の皆さまを飽きさせないように頑張らなくてはと思いつつも説明回(泣。作者の趣味全快でお送りします。

「ねぇ~主様~」


「……」


「主様ってば~」


「……」


 ロックケーブ近郊の街道。そこを歩く影が二つ。一つは全身を隠すように布切れで包んだ人間の形をしたモノ。もう一つは黙るということを知らないのか、先程からしゃべり続ける真っ黒な猫。


 彼等は今、街道を彼方に小さく見える森に向かって歩いていた。


「あんまり黙られてると寂しいんですよぅ。私寂しいと死んじゃうんですよぅ。ほら、寂しんボーイな私を慰めて下さいな? ……あれ私いまオスとメスのどっちなんでしょうか主様?? 私寂しんボーイなんでしょうか? 寂しんガールなんでしょうか? 」


 不可思議なことにペラペラと人語を話す猫。止まらないその言葉の嵐に、隣のモノ、ファウストという名を手に入れた俺は呆れたように問いかける。


「……喋るくらいしかすることないのか??」


「うわっ!? もしかして私喋ることしか出来ない役立たずキャラだと思われてる??失礼ですねぇ、もう。ちゃんとこうして話してる間にもあの女がこの身体に残した魔力を使って主様がステータス閲覧を使えるようにしていると言うのに」


「ステータス閲覧??」


 聞いたことのない単語に俺は反応する。


「ええ、主様の記憶にあるゲームのモノと同じようなものですよ。自分が今どれくらい強いのか~とか、どんな称号持っているのか~とかそういうのが見れるんです」


「称号??」


「称号はその生物の行為、実績を天上にいる神が評価して与えるモノです。大抵の称号はマテリアに補正をかけたり、特性やスキルを追加するって効果があります。また似たように神が実績を評価するものに魂の格がありますが、これは自分から上申しないと上がらないモノなんで、主様は忘れずに上申してくださいね。まぁ有能な私がついているから心配ありませんがねぇ~」


 今まで生きてきた世界には無かった概念。本当にゲームの世界のようなこのインテグラ特有のモノを聞きながら、ふと俺は疑問に感じたことを尋ねてみる。


「この世界には明確な神という存在が居るのか?」


「……ええ、いますよ。神は天上に。そもそも主様の世界にもいたはずですよ?姿を見せないだけで、主様が苦しんでいるのを眺めていたはずです」


 何気ない言葉のはずだった。だが、メフィストフェレスは先程までのおどけた態度から一変し、ひどくトゲのある言い回しをする。


「お前は神が嫌いなのか?」


「好きとか嫌いとかそういう感情はありません。ただ、奴は……、神は私を裏切った。与えられた使命をこなし、代価を払ったにも関わらず、私の望みを叶えてはくれなかった。だから私は神を信じない。ただ、それだけです」


 感情の起伏もなく淡々と告げられる言葉。それは隣の悪魔にとっての触れてほしくない所であることは明白であった。


「……変な質問してすまない」


「……なぜ主様が謝るのです? 私は貴方様に感謝しているのですよ?貴方は神が叶えてくれなかった望みを叶えてくれる可能性を持つ御方。主様のためなら私は神にすら頭を下げましょう」


「…………」


 紅き瞳を真っ直ぐ俺に向けメフィストフェレスは言葉を紡ぐ。

 告げられた可能性という意味が理解できず沈黙する俺。それを余所に、黒猫は顔を前へと向けた。


「……っとそろそろ森に着きますね。ちょうどこちらも魔法術式の最適化が完成致しました。私の本体からこちらの魔力回路を通じて出る余剰エネルギーを使うので主様の負担にはなりません。なので主様、さっそく〈ステータスオープン〉と唱えてくださいませ」


「わかった。ステータスオープン」


 黒猫の指示通りに俺が言葉を紡ぐと、眼前に液晶ディスプレイが展開した。




○●○●○●○●



name;ファウスト

race;スライム

class;悪魔(見習い)

Job;修得不能



Lv20


力:F+

タフネス :E-

敏捷:F-

魔力:無し

侵食率 2%



〈特性〉 〈二足歩行〉〈器用〉〈自己再生〉〈形状記憶〉〈捕食吸収〉



スキル 硬化



称号 *画面をタッチしてください。



○●○●○●○●




 見慣れない数値もあるが、大体は前の世界でやっていたRPGの知識でなんとなく理解できる。なので細かいところはメフィストにあとで聞くとして、とりあえず称号のところに指を触れる。





○●○●○●○●



(称号)



・(メフィストフェレスの契約者)


ーーー〈特性〉〈違法進化〉修得。浸食率により〈特性〉〈時空間魔法の使い手〉、〈契約の楔〉、〈我が身我が心は貴方と共に〉〈オーバードライブ〉が開放されます。ーーー



・(ディメンジョン・トラベラー)


ーーー全ステータスに3段階上昇補正ーーー



・(ダンジョンマスター(予定))


ーーーホームダンジョンにおいて全ステータスに1段階上昇補正ーーー



・(ヘタレ)


ーーー混乱耐性、恐怖耐性低下ーーー



・(果てなき強欲)


ーーー取得マテリア経験値40%上昇、〈捕食吸収〉の効果2倍ーーー




○●○●○●○●




 ……称号の欄を閉じ、俺は隣でにやにやしている黒猫に尋ねる。



「本当にあれを神が作ってるのか??」


「えぇ、能力は神が決めていますよぉ」


「……名前やテキストは?」


「それはもちろんこの私めが誠心誠意!! ……って痛いですよぉ!?」


 思わず俺はメフィストフェレスの尻尾を掴みつるし上げる。


「何故こんなことをした?」


「だってアスが言うんですよぅ。『貴方の主様は彼女一筋だから貴方はメインヒロインには成れませんわ。だからパロールの魔眼あげますから精々自己主張してサブヒロインの地位を築きあげなさいな』ってねぇ。そこまで言われたらこちらとしても全力で行うしかないじゃないですかぁ~。どう思います主様??」


 吊り上げられながらもどやぁという顔をするメフィストフェレス。それを見ていくら辞めろといっても結局続けるんだろうなと思い俺は妥協する。


「……ほどほどにな。それよりスキルや特性の説明を頼めるか??」


「えぇ!!程々にやらせていただきますよぅ!! ……でスキルと特性の説明ですね。お任せください!!」


 そう言ってメフィストは説明を始めた。


「そうですね……まず〈二足歩行〉、〈器用〉と〈形状記憶〉という〈特性〉がありますね? これは主様を人からスライムに変えた時に引き継いだ人がもつ〈特性〉です。

 この三つは主様を人の形に保つために必要なので契約の効果で自動的に取得してしまいました。申し訳ありません。

 なお、〈器用〉と〈形状記憶〉は主様がサーベルウルフを殺したときのように身体を好きに変えることが出来ますのでスライムにはピッタリだと思います。」


 俺の反応を見るかのように一度言葉を区切る。


「次に硬化と〈自己再生〉と〈違法進化〉なんですが、これは言葉通りなんで、省略します。言うことがあるとすれば、〈自己再生〉は体力回復にマテリア経験値を消費するという点とLv20で手に入れた特性だということでしょうか??」


 体力回復に経験値を消費するのは珍しい。感嘆する俺は見ながらさらに続ける。


「そして最後に〈捕食吸収〉ですが、これは喰らった相手の総所有経験値の10分の1を己のモノにする特性ですね。サーベルウルフ1匹でLv1から20まで一気に上がったのもこの特性が原因です。

 ただ、注意していただきたいのは必ず相手が絶命してから捕食してくださいませ。もし生きてるモノを取り込むと、喰いすぎで私の力が暴走して内部破裂します。……以上ですが何か質問ありますか??」


 必要な要点を巧くピックアップして話す黒猫に、いつもこれくらいで話してくれればいいのにと思いつつも、感謝の言葉を述べる。


「ありがとう。たすかったよ。」


「いえいえ、当然のことをしたまでです。それより主様、右前方をご覧ください。あれはピグと呼ばれる魔物であり、今の主様でも余裕だと思いますので、能力の試しにいかがでしょうか??」


 言葉にしたがって右斜め前を見ると、草むらを小型の豚に小さな角が付いた生き物が歩いていた。


 俺はメフィストフェレスに頷き、そのままピグに気配を殺して近づいて、後ろから硬質化した腕で殴りつける。


「ピギィィィィ!?」


 ピグの体は柔らかく、悲鳴をあげながら一撃で息の根が止まり、それから俺は腕をピグの身体に突き刺し、捕食吸収を行った。


 段々とピグの身体が分解され、俺の中に入ってくる。


 ……そうやって吸収し終えた時、俺の全身は満足感に包まれていたのだったーー









次回こそダンジョンへ・・・

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