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愚者と悪魔の物語  作者: らいった
第1章後編  愚者と悪魔
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第17話  闘いの果てに・・・

 眩い黒き光がスケルトンを包み込んだ後、スケルトンのいた場所にはスケルトンはおらず、代わりに黒髪に執事服を着て紅い眼を輝かせる男が立っていた。


 その様子を見て、先程までスケルトンと戦っていた男の一人が話し出す。



「スケルトンが人間になっただと!?おいおい、どんな冗談だよまったく。まぁいい、とりあえず死ーーー」



 その男は最後まで言葉を紡げなかった。ーー何故なら、男の首から上が、つい今さっきまであったはずの部分が喋っている間に消失していたのだーー。



「「うわぁぁぁぁ!?」」



 いきなりの状況に驚愕が隠せない冒険者達の悲鳴が響きわたる。その声を聞き、女に殺到してた男共が一斉に振り返った。


 それにより、ボロボロの状態で涙を流している女の目に執事服の男が映り、口から自然に言葉がもれる。



「・・・・・××??」



 その声に反応するように男が女の目の前に現れ、囁く。ーーーもう大丈夫だよーーーと。













ーーー



 メフィストと同化していくのを感じながら、ワタシの意識は覚醒する。それと同時に力が沸き上がり、どう力を行使すればいいのかを自然に感じ取れた。


 身体の隅々まで感覚が行き渡ったことを確認してワタシは動き出すーー全てを手に入れるために。


 まず、何事かわめいている男に向けて、力を使う。すると、男の首はまるで初めから無かったかのように消失し、血すら流れず崩れ落ちる。


 その光景を見て叫ぶ男達によって、レナに群がっていた男共がこちらに振り返りレナから離れる。それによって出来た男達の隙間からレナがワタシの名を呼ぶのを見て、ワタシはレナの前に転移し、優しく語りかける。ーーーもう大丈夫だよーーーと。


 そしてレナに背を向け、ワタシは男達の前に立ちふさがった。



「喋るスケルトンなど珍しいと思ったら人間でしたか。・・・・まぁなんでもいいが邪魔をするなぁぁぁぁぁ!!!行くぞ、野郎共ぉぉぉぉ!!!・・・・・・・!?」



 ワタシを前に怒声をあげるジーベルの顔が突如驚愕の表情に変わる。何故なら、何故ならそこには自分が連れてきた帝国の騎士、冒険者といった十分な力をもった人間達がすでに全員首から上が消失している光景が目に入ったからだ。



「は・・・はは・・・・なんだよ・・・なんだよこれは!?何でこんなことになっているんだよぉぉぉぉぉ!!!」



 ほとんど恐慌状態になっているジーベルが無茶苦茶に魔法を放つ。しかしろくに集中出来ていないためワタシは空間を歪め、全部叩き返す。



「ぐほぉぉぉ!?」



 情けない声をあげて吹っ飛ぶジーベル。ワタシは彼の目の前に転移し、魔力を集中させる。只では殺さない。そういう思いを込めて莫大な魔力を練り込む。



「止めろ・・・止めてくれぇぇぇぇ・・・」



 先程までの狂気が何処へ行ってしまったかのように怯えるジーベル。だが、ワタシはかまわず魔法を行使しようとする。しかし、その刹那ーーー





 ジーベルが出していたのとは比較にならない程の狂気と殺気がこもった剣が襲いかかってきた。


 凄まじい圧力、公爵級悪魔の力を持つワタシですら反射的に身体が強ばる殺気、それらの発生源は先程までメイジやアーチャーと戦っていた灰髪の男だった。



「ヴァランタイン!良いところに来てくれました!!貴方と私ならこの程度の敵何とかなります。さぁ共に戦い・・・・ぶべぇぇぇぇ!!!」



 ジーベルがヴァランタインに駆け寄りわめき散らす。するとヴァランタインが喋っているジーベルを殴り飛ばした。



「・・・・せぇ。・・・・・うるせえぇぇぇぇんだよぉぉぉ!!!」



 そしてヴァランタインは私の方を向き喋り出す。



「顔は変わっちまっているが、その服装、その魔力は忘れやしねぇ・・・ようやくだ・・・ようやく会えたなぁクソ悪魔よぅ。ようやく我は貴様をぶち殺せるぜぇぇぇぇぇぇぇ!!!」



 先程までの寡黙さは何処に行ったのか、狂気が顔ににじみ出る状態にまでなっている男、ヴァランタイン。その男はワタシにどうやら恨みがあるらしい。


 いつ?どこで?そういった事を考えながら迫ってくる男に今までと同様に魔力を行使する。しかしーーーー






ーーー先程まで男達の首を狩った攻撃がヴァランタインには効かなかった。




「!?!?!?」



 よもやヒト如きに破られるとは思っていなかったため、動揺が走る。その隙をヴァランタインは見過ごさず、ワタシは胸に浅い傷を負った。なんとか転移をして体勢を立て直す。その様子をみてヴァランタインは話し出した。



「効かないのが信じられないといった顔だな?我は貴様の攻撃を一度見ているからな。首が消失しているのが、何かを媒体にして時空間を歪め、首から上を別の位相に持って行くことだとわかっている。だから我は時空間魔法を学び、貴様の攻撃の瞬間に我の周りの時空間を固定しているだけだ」



 その言葉を聞いてワタシは驚愕する。



「時空間魔法を学んだと?人の身でワタシの魔法に対抗するレベルの時空間魔法を身につけるとは恐ろしい才能ですね・・・。しかも貴方は剣士でしょう?よくもまぁここまで・・・」


「・・才能じゃあねぇ。我は貴様を殺す為だけにこの20年生きてきた。できることは何でもやった。その結果がこれだ。だから、だから今こそ敵をとらせてもらうぞぉぉぉぉぉ悪魔ぁぁぁ!!」



 ヴァランタインは両手持ちだった剣を片手に持ちかえ、もう一本を片手に持つ二刀流の構えをとり突撃してくる。


 前から、右から、左から、まるで嵐のような斬撃がワタシを襲う。薄皮一枚の距離をギリギリ避けながら、ワタシは力を行使する。しかし、相変わらず効果がない。



「無駄だ!!貴様の攻撃時の殺気は全て見切ったッ!!それにどうやら貴様は目に見えないほどの糸のようなものを媒体にしているみたいだなぁ!?放つ瞬間が見えているんだよぉぉぉぉぉ!!!」



 ヴァランタインによって手品のネタをばらされる。確かにワタシは時空間魔法で常人に見えない速度で手刀を振り、糸を放つことによって力を行使する。よもやそれを見破られるとは・・・


 段々とヴァランタインの攻撃が速度を上げてくる。〈特性〉〈二刀流〉を極めているのか、先程までの剛剣ではないが一撃、一撃が非常に重く、速い。避けた時に起こる烈風ですらダメージを受ける。


 その防戦一方の状況にワタシは焦りを感じた。刻一刻とワタシの中で侵食が進んでいるのだ。このままではマズい。そう思いワタシは転移する。ーー先程の冒険者達の転がっている方へ。


 追いかけるようにヴァランタインが距離を詰める。ワタシはレナの方から離れるように冒険者達の死体を越えていく。越える時にワタシは奴に見られないように手をせわしなく動かす。



「どうしたどうしたァ!!貴様の力はこんなモンじゃあないんだろうぉぉぉ!?あの日の時の様に!、この我に!!、絶望を教えるのが貴様なのだろぉぉぉぉぉ!!!」



 足下の冒険者の死体をまるで気にすることなく蹴飛ばしながら突っ込んでくるヴァランタイン。奴がワタシとの距離を詰める最後の一歩を踏み出した時。ワタシは魔力を行使する。ーーー冒険者達の武器へ。



「ぐっ!?」



 踏み出した体勢ののままうめくヴァランタイン。その身体には、斧、剣、槍、弓矢といった様々なモノが刺さっている。



「・・・なるほど、我ではなく周りをに干渉を行い、攻撃してきたか。・・・だが!この程度ぉぉぉぉ!!!」



 身体に刺さる物も気にせず再び攻めようとするヴァランタイン。だが、その時にはすでにワタシの準備は完了していた。



「これでぇぇぇ終わりですッ!!」



 奴が動きを止めた隙にワタシの両手に魔力を蓄える。すなわちーー



ーー右手に時を加速させる魔法を、



ーー左手に時を止める魔法を、



 そして、貯めた魔力を奴の胸に向けて両腕を突き出すと同時に放つ。



 奴はとっさに時空間魔法で対抗しようとするが効果はない。それもそのはず、今起こっているのは二つの正反対のベクトルを持つ力によって生じた純粋な力。奴の胸元に届く頃には魔法といったカテゴリーには入らず、普通の魔法ではまず止められない破壊の力として顕現していたのだ。



「ぬぉぉぉぉぉぉ!?」



 ヴァランタインの右胸部鎧に魔力が当たる。それと同時に爆発と衝撃波の嵐がワタシを襲う。


 その嵐から動けないレナを守るため、ワタシはレナの前に立ちふさがり、目の前の空間を固定する。荒れ狂う嵐、衝撃、冒険者達や魔物達の死体が飛ばされていく。



 そんな嵐がすぎた後、周りを見回してみると、爆心地たる場所は土煙で覆われていた。そしてそこに何かの動く影は無い。




「やったか!?」




 ワタシがそう呟いたときーー







ーーー土煙の中から銀の輝きをもつ何かが飛び出す。そしてそれはワタシのわき腹に深深と突き刺さった。



「うぐっ!?」



 ワタシに突き刺さった物、それは奴が持っていた剣だった。そして、煙の中から何かが向かってくる。



「・・・さすがに今のは効いたなぁぁぁぁ、おいぃぃぃ」



 そう言って悠然と歩いてくる男。徐々にはっきりする姿にはーー右上半身がごっそりと無くなっていた。


 それを見てワタシは信じられないと驚愕する。



「バカな!?何故その傷で生きていられる!?貴方は人間でしょう!!」


「あぁん??まだたかが右半身が無くなったくらいだろう??そんなことで動揺するんじゃねぇぇよ悪魔がぁ!?言っただろぉぉ!!貴様を倒すために出来る事はしたとなぁぁぁぁ!!!たとえ、この身を職業によって、半不死族化させようとも貴様を殺せるなら安いもんなんだよぉぉぉぉ!!!」



叫びながら、近づいてくるヴァランタイン。その右半身は徐々に再生している。



「職業で半不死族化ですって!?あり得ない!!ヒトが種族という神の理を越える様なことが出来るなんてーー」


「出来てるんだから関係ねぇだろう??それに今から死ぬ貴様にはもう知っててもしょうがねぇだろうがぁぁぁぁぁ!!」



 ヴァランタインはワタシに刺さった剣を抜き、ワタシを蹴飛ばす。不意をつかれたワタシは反応出来ず、無様に転がる。そしてヴァランタインはワタシの前に立ちーー



「・・・・あの時アイツ等を殺した罪、お前の命をもって償いやがれぇぇぇぇぇ!!!!」



 剣を振り下ろした。その時ーーー




「やめてぇぇぇぇぇ!!」



 何かがワタシの前、剣の直撃コースに割り込んだ。


 動き出した剣は止まらない。


 だが飛び込んできた何かが斬られるその瞬間、変化が起きた。ヴァランタインが飛び込んで来た者、レナを見て剣をギリギリ止めたのだ。


 理由はわからない。けれど奴の顔には明らかな動揺が浮かんでいた。そう、まるで何かと重ね合わせるように。


 それを見てワタシは最後の賭けに出る。







ーー侵食率90%突破。〈特性〉〈オーバードライブ〉解放。



 ワタシの体中に魔力が行き渡る。文字通り、命を削って。



 そしてレナの向こうで固まっているヴァランタインに両手を当てて、魔力を一気に解放する!!



「う・・うおぉぉぉぉぉ!?」



 ヴァランタインの背後に空間の歪みが出来、奴は徐々に飲まれていく。



「貴様ぁ・・・キィサァマァァァ!!!!」



 叫ぶヴァランタインを飲み込み歪みは元に戻っていった。















ーーー



 ヴァランタインが消え、森に静寂が戻る。そして静寂の中、レナが言葉を発した。



「・・・彼は・・死んだの??」


「いや、次元の迷宮に閉じこめただけですから、2年・・いや、1年後には再びここに現れるはずです。それよりーー」



ーーー貴方が無事で良かったーーー



とそう言おうとした時、急に身体中から力が抜け、意識が遠くなる。レナが何かを言っているが聞こえない。






そうして、ワタシーーいや、俺は意識を失った。










ーー侵食率95%突破





ーーーレベルが100に到達しました。進化することができます。





ーーー〈特殊条件〉を満たしているため進化先が増加します。





ーーーメフィストフェレスからの強制介入がありました。進化先を特定します。





ーーーバードマン・龍血混種ミックスドラゴンブラッドへ進化します。ーーー








というわけでチート回・・・敵の(笑)



次話で1章ラストです。

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