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愚者と悪魔の物語  作者: らいった
第1章後編  愚者と悪魔
24/50

第16話  我が身我が心は貴方と共に

 なんとか隙間に推敲したんで投稿。あと捕捉なんですが、前回の後半から主人公がやけに叫んだりしているのはマックスを食った影響を受けていると言うことで。説明忘れてましたすみません。

 〈強欲〉の魔王領にある森の中、ダンジョンから2キロ離れるか離れないかという距離の少し拓けている場所で多くの生物の叫び声が響く。


 その光景の中、一匹のスケルトンが立ち尽くし、何やら呟いている。



「・・・・・ろ。・や・・・めろ。・・・もう、やめてくれ・・・」



 目の前の光景に呆然としながら呟くスケルトン。その先には、魔物達が一方的に蹂躙されている光景が広がっていたーー














ーーー




 俺の目の前では惨劇が繰り広げられている。



 リーダーを中心に四方からチームワークを駆使して襲いかかるウルフ達、またその後ろから波状攻撃を仕掛けるように攻め立てるゴブリン達。


 そんな魔物達の猛攻はたった二人の男達によって、ダメージらしいダメージを与えることなく逆に次々と倒されていく。


・・・どうして、どうしてこうなった??




ーー始めに突撃した時は不意打ちだったこともあり、5人ほどしとめることが出来た。


 しかし、敵の一人のレナの仲間だった灰色の髪をした男の対応が異様なまでに素早かった。一撃目をかわすと同時に風を纏った斬撃を繰り出し、俺達全員を吹き飛ばす。それにより体勢が崩された俺達に対して、敵が臨戦態勢を取り直した。


 そして、奴らのリーダー格と見て取れるやはりレナの仲間だった青髪の眼鏡をかけた男が狂気を顔に表した状態で喋りだす。



「オヤァァァ!?何でこんな所に雑魚どもが群がっているんでしょうねぇぇぇぇ??まるでこれから待ちに待った愛しの勇者様ァを楽しむ時間の前に、神が私にオードブルを与えてくれたみたいじゃないですかぁぁぁ!?やはり日頃からイイ行いをしている人間は救われるぅんですかねぇぇ!?ギャーハッハッハッァ・・・・・・・・・ふぅ、それじゃあザコ共、とっとと死ねやぁぁぁぁぁぁ!!!」



 言葉と共に青髪の男は魔法を放つ。炎、土、闇の三種類の魔法を同時に使うという荒技を成し遂げながら男は心底楽しそうな笑みを浮かべながら魔物達をなぎ払う。そうして、今の光景は作られていった。














ーーー




「もう・・・もうやめて。ジーベル、ヴァランタイン・・・」



 余りに惨たらしい光景にレナは二人へと言葉を投げる。


 しかし、青髪に眼鏡のジーベルと呼ばれた男は心底楽しそうに、灰髪のヴァランタインは変わらず寡黙のまま、二人とも攻撃の手を休めることはしない。その光景にジーベルが連れてきた仲間達は全員後ろに後退して戦況を見守っていた。そうしないと巻き込まれるような激しい攻撃が続いていたからだ。







・・・その殺戮が始まって5分くらいだろうか。やっと男達は手を止めた。なぜなら男達の周りには立っているモノは居らず、魔物達は皆倒れているからだ。


 その中で上位種に進化していたモノは何とか息をしているものの、動けるような身体ではなく、普通のゴブリンやウルフ達は皆絶命していた。



「・・・あ、・・・・あ・・・・・ああ、うわぁぁぁぁぁ!?」



 その光景を見て俺は恐慌状態へ陥る。俺のために戦ってくれるといった仲間達。そいつらが皆やられていく。このままじゃ後ろにいるメイジやアーチャーも・・・嫌だ嫌だイヤだイヤだイヤだイヤだ!!俺は仲間をこれ以上死なせたくなんかない!!!


 感情が理性を追い越す。そして後ろで制止をかけるメイジの声を無視して俺は前へ駆け出す。



「これ以上やらせてたまるかぁ!!!」



 言葉とともに俺は槍を青髪へと突き出す。魔法を使わせないように前へ、前へ。青髪と俺は身体能力にそこまで差が無いのか、最初は避けられていたものの、段々とかすめていく。


 そしてあと少しで突き刺せる奴を倒す事が出来る!!そう思ったとき、横から剣撃が入り、俺は吹き飛ばされる。吹き飛ばされながら前を見るとそこには灰髪の男が剣を構えて立っているのが見えた。



「助かりましたよぅぅぅヴァランタイン。まさかスケルトンが喋るとは思わなかったので油断してしまいました。まぁ、けど前菜としては十分でしたねぇ。・・・・・そういうことで、死ねやカスがぁぁぁぁぁ!!」



 そう言って青髪は集中を行い、魔法を行使しようとする。 その行為を妨げようと俺が再び飛びかかろうとしたとき目の前を烈風が駆けめぐった。



「・・・・・・」



 俺を妨げた風の出先は寡黙なまま剣を振り下ろした男であった。そして、間に合わなかった俺に青髪の魔法が炸裂する。

 まず、地面が隆起し、鋭い槍のようになって殺到する。その槍に刺され身動きが取れない俺に黒い球体と燃え上がるような炎が巻き起こる。先程の男の風により、炎はさらに強く燃え上がって俺を苦しめた。



「グハァァァァ!?」



 抗うことの出来ない力を前に俺は叫びながら意識が遠のいていく。ーーまだだ、まだやられるわけにはいかない。そう強く思っても意識が消えていくことを止めることができなかった。




そして、俺は死んだーー










ーーー〈特性〉〈アンデット〉発動ーーー














ーーー




 消えていった意識が急に覚醒する。どうやら俺は〈アンデット〉の効果で甦ったらしい。だが、それでも再生に時間がかかったのか、先程とは目の前の光景が違っていた。


 灰髪の中年、ヴァランタインは俺の後ろにいたゴブリンメイジやアーチャー、スライム達と交戦しアイツラをなぎはらっており、青髪の男、ジーベルは仲間達と共にレナに迫っていた。そしてジーベルの仲間の一人が俺に気づく。



「隊長!!あの骸骨野郎がまだ生きてます!!」


「ああん?ちっ!そういやコイツら一度殺しても生き返るんだよなぁ。メインディッシュの邪魔しやがってクソ虫がぁぁ!!」



 激昂するジーベルを宥めるように部下達が動き出す。



「まぁまぁ大将、こんな死に損ないは俺らで殺っときますから、大将はお楽しみくだせぇ。その代わり俺らにも分け前くださいよ?」



 下品な笑い声をあげながら部下達が近づいてくる。俺はまだ身体の自由が完全に戻らず、立ち上がるのがやっとのことだった。



「「「死ねやぁぁぁぁ!!」」」



男達の攻撃が殺到する。それを俺は何とか捌く。一発、もう一発。しかし最後の男の攻撃が死角から魔法、しかも光属性だった。当たれば一撃で死ぬ。


 全てがスローモーションに見える中、球体の形をした魔法が迫る。避けられない避けられない避けられない。どうしようもない状況に諦めかけたその時、何かが俺の代わりに魔法を受け吹き飛ばされた!!そして何かは吹き飛ばされながら手に持った鉈のようなモノを投げ、魔法使いを怯ませる。




 その吹き飛ばされている何かはーー



「ゴブDぃぃぃぃぃ!!」



 本来なら間に合わない位置で倒れていたのに間に合ったモノ、魔法の前に飛び出すという恐怖を抑えて飛び出したモノ、ーーそれは(称号)(一番槍)を持つモノ、ゴブDだった。


 吹き飛ばされ、転がっていくゴブDの元へ俺は二人の男を蹴散らし、たどたどしい足取りで近づいていく。


 だが、俺が駆けつけた時にはゴブDは安らかな顔ですでに事切れていた。



「うがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



 その姿を見て、俺の中で何かが切れた。


 友を犠牲にナニをやっている??求めたヒトが手の届きそうな所にいると言うのにナニをやっている??何で全部俺の前に在るのに手に入らないんだ??・・・弱かったからか?俺が弱かったからこうなったのか??仲間が死ぬのもレナが泣くのも全部俺に力がなかったからなのか?なら俺は強さが欲しい。願いを叶えるための強さが。目の前の奴らを倒せるような強さが!!俺は、オレはーーー!!


 体勢を整えた男達が迫るなか、オレは強さを渇望する。、そして望み続けた時、オレは一つの可能性を見つけた。その可能性にかけて、オレは咆哮する。アイツがーーメフィストがおそらくあえて説明しなかったであろう〈特性〉を使用するためにーー!!





「俺を、オレを喰らえぇぇぇぇメフィィィストフェェェレェェスゥゥ!!」



 その言葉に反応するように、オレの胸にある球体から黒い光が放たれ、オレの意識は飛ばされた。













ーーー





 気がつくと俺は以前に来たことのある黒と赤で形づくられる空間にいた。そして以前と同じように声が響く。




ーーー貴方は気づいてしまわれたのですねーーー



 淡々と声が響く。



ーーー貴方には気づいて欲しくはなかったーーー



ーーー知れば貴方は代償など気にせず使うだろうからーーー



 その言葉を聞いて俺は確信する。



「ならば、やはり・・・」



ーーーええ、それは貴方の想像通りの力。代償も貴方の想像通り。それでも、たとえこの場を切り抜けても命を落とすようなことになっても貴方は力を望むのですね?ーーー



 その問いに俺はあえて答えず、逆に話しかける。



「なぁメフィスト。以前お前は契約の時に言ったよな?俺は心を知りたがっていると。・・けどさ、俺は思うんだ。俺が求めていたのは誰かの心じゃないと。ーーそう、俺は俺の中の強欲を御す為の強さ。己と向き合える力が欲しかったんだ」



ーーー・・・・・・・・ーーー



「マックスの心を喰らって知ったよ。俺の中にも強欲に負けない位感情がある。それを俺は知りたい。お前にも見せてやりたい。だからーーー」



 俺は息を整える。



「俺は死なない。絶対に生きてレナや仲間達を救い、お前の望む感情を、お前が見たことのない感情をお前にも見せてやることを約束する。だから、だからとっととオレに力をかせぇぇぇぇ!!!」



 オレの声が空間上に響き渡る。その声の反響が消えて少しした後、再び声が響く。



ーーー貴方は本当に最高の主様です。良いでしょう。我が身我が心を主様に捧げましょう。ただし、ーーー



 声と共にオレの足元から黒い影がオレを包み始める。



ーーー絶対に生き残って下さい。主様。ーーー



 そしてオレの大部分が影に喰われた。







ーーー侵食率70%突破。(メフィストフェレスの契約者)の効果により〈特性〉〈時空間魔法の使い手Lvmax〉〈契約の楔〉〈我が身我が心は貴方と共に〉が発動します。



ーーー〈特性〉〈我が身我が心は貴方と共に〉の効果によりステータスが引き上げられますが、一分毎に侵食率が増加します。





次回も戦闘パートです。描写ヘタでごめんなさい。週明けにでも投稿します。

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