XXXX年09月19日
心理学者に勧められて、この手紙を書くことにした。日々の出来事を記せ、と言う。自分を理解するのに役立つし、次回のセッションで話す材料にもなる、らしい。私は彼を信じていない。こんな手紙なんて、全部クソだと思っている。でも、とりあえず試してみることにした。今日は、この一年間と変わらない、いつも通りの一日だった。目が覚めて、オナニーをして、糞をして、食料を探しに外へ出た。近所のコンビニでカップ麺ひとつと「サッポロ ヱビスビール」の缶を10本買った。バーは夜まで開いていないし、もう喉がカラカラだ。家に戻り、カップ麺を淹れた。味は相変わらずいいけど、半年も同じ麺ばかり食べていると、さすがに飽きてくる。永遠に私に喜びを与えてくれる唯一のもの、それは酒だ。古ぼけて埃っぽいアームチェアに腰を下ろし、ビールの缶を開け、テレビをつけた。でも、未払いでケーブルを止められていたのを忘れていた。まあ、いい。ビールさえあれば、退屈しない。私は缶をひとつまたひとつと空けていった。飲みながら、虚空を見つめ、一年前の自分の人生を考えていた。あの頃は何もかも持っていた。安定した仕事、金、愛情。ただ一つ欠けていたもの、それは自由だ。だから、全部捨ててやろうと思った。……その話は、また次に書く。
気づけば、夜の8時になっていた。ちょうどビールが全部なくなった頃だ。足元はふらついていたが、まだ物足りない。立ち上がり、アパートを出た。バーは家から10分ほどのところにある。汚れて破れた服のせいで、人々はよく私をじろじろ見る。だが、奴らが何を思おうが、どうでもいい。そもそも、奴らには私にあるものがない。自由が。
バーに着いた。バーテンはもう私の顔を知っている。
「よう、ケイタ! いつものウィスキー・コークでいいか?」
「ああ、5杯頼む」
彼はさっと注ぎながら言った。
「いつもより調子悪そうだな。何かあったのか?」
「昨日、安いウォッカで食中毒った。一晩中吐いてた。でも、ビールが体を回復させてくれた」
「そっか。なあ、今回はちゃんとウィスキー代、払えるんだろうな?」
「ああ、知り合いから数千円借りた。前回も言っただろ、次は払うって。アル中でも、言葉に責任は持つつもりだ」
ウィスキー代を払い、飲み始めた。バーは相変わらず込み合っていたが、誰とも話さない。私はウィスキー・コークのためにここにいるんだ。何時間か静かに飲んでいると、どこからか娼婦が近づいてきた。
「ねえ、ハンサムさん。素敵な女の子に一杯おごってくれない?」
「やめとけよ。今日はセックスする気分じゃねえ。だから、とっとと失せろ」
「なにですって!?」
「失せろって言っただろ! さもなきゃぶちのめすぞ!!」
すると、巨大な男がやってきた。身長2メートルはある。
「このホームレス、何か問題でも?」
「ええ、この人、私に暴力をふるおうとしてるんです!」
その大男は私の襟首をつかんで持ち上げた。
「お前、俺にも噛み付いてみるか?」
「てめえもぶちのめしてやる、このクソ野郎が!」
大男は私の腹部を数回殴った。私は床に倒れ、吐いた。体中のウィスキーと少量の血が噴き出した。金の無駄だった。
「おいおい、俺の店で喧嘩はやめてくれ! ケイタ、お前、帰ったほうがいいぞ」
「わかってる……また明日な、バーテン!」
バーを出た。大男は追ってこなかった。もう十分だと思ったんだろう。家に帰ることにした。どうせ金もなくなったし。家に着いて、心理学者の言葉を思い出した。もしかしたら、本当に頭がおかしいのかもしれない。そして、この手紙が役に立つのかもしれない。
そんな一日だった。そろそろ寝るとする。明日、また手紙を書くかもしれない。一ヶ月後かもしれない。あるいは、ただこの手紙をウィスキーの空き瓶の奥深くに押し込み、私のゴミの山の中で漂わせておくだけかもしれない。




